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第8章『総力戦』
第5話 国籍不明機
しおりを挟む19:40
中部航空警戒管制団、峯尾山分屯基地の大型固定3次元レーダーが、太平洋上に謎の飛行物体を捉えた。
その報は、直ちに航空自衛隊入門基地の地下にある『入門防空司令所』に伝えられた。
「『FREE LOCK』より、緊急連絡! 国籍不明機が太平洋上空に出現! 高度9000、約100ノットで西南西に飛行中! 約50マイルで領空に到達します!」
……池村首席管制官が
「100!? ……えれぇ遅く無ぇか? 」
……と独り言を呟いた。 レシプロ機でさえ、200ノットは余裕で出る。
レーダーの軌跡は、定規でも当てたかの様に直線を描き、それは東京を目指しているようだった。
「領空侵犯の可能性大! 通告を開始せよ!」
池村一佐の指示で、管制任務の武田士長が、日本語、英語……その他、複数の言語での通告を試みるが、国籍不明機は進路を変えない。
……管制室では、緊急報告を受けた伊丹司令ら幹部が緊張の面持ちで国籍不明機の動向を見ていた。
「国籍不明機、進路変更せず!」
その連絡を聴いた伊丹司令が、決断を下した。
「F-350A、緊急発進!」
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