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3 シェリール
しおりを挟む「私じゃない!!」
ひんやりとした空気が漂う牢屋の中で叫ぶのは、王太子妃の妹、シェリールだった。
「嘘をつくな。証拠が全て揃っている」
「何の証拠よ!?」
「貴様の部屋に今回妃殿下に使われた毒があった。購入経路も分かってるし、貴様に脅されて命令された侍女も白状したぞ。侍女はまさか毒だとは思っていなかったみたいだがな」
「………っ」
「まあ自白したとしても無駄だがな。王太子妃殿下を殺害した罪で、貴様は死刑になるだろうよ」
シェリールは唖然とし血の気が引いていった。わなわなと拳が震える。
「ふざけないでよ……私じゃないと言っているでしょう!?」
「…………」
シェリールを見張る騎士はもう返事もしなくなった。シェリールが嘘を言っていると思っているのだ。
「私じゃない!!私じゃないのに!!アレックス殿下!アレックス殿下を呼んでよ!!!」
騎士は何故罪人が殿下を呼んでいるのか不思議に思った。
だが罪人の様子は上に報告しなければならない。
だから報告しただけだ。
すると妃殿下の妹だからか、妃殿下を殺した罪人を痛めつけようと思ったのか、理由は分からないが王太子殿下はこの汚い異様な雰囲気が纏う地下牢へやってきた。
騎士は王太子殿下の怒りを押し殺した表情に衝撃を受けた。
殿下が怒るのを長年一緒に居る騎士でも見たことがなかったからだ。
シェリールは殿下を見るなり鉄格子まで駆け寄り、涙を流しながら喜んだ。
殿下の動きに、皆注目した。
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