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07 ウルレインの街
しおりを挟むみなさんこんにちは。ヒナタです。
私は今、土下座をしています。
なんでかって? 伯爵令嬢にプロポーズしたからだよ。
絶対に怪しい人間だと思われる。
怪しくないようにさっきまでは完璧だったのに……。恥ずかしすぎる。
いや本気で結婚とか思ってないよ。
なんか焦って口から出たのがプロポーズだったんだよ。
「申し訳ございません!」
深々と頭を下げる。下げすぎてでんぐり返ししてしまいそうだ。
「あ、いえ、急だったので驚いてしまいました」
そりゃそうだろう。
女性が女性に向けてプロポーズするとか、この場にいた人の中で何人が想像できるだろう。誰もおらんわ。
ヒナタはゆっくり立ち上がり平然を装いながら名乗った。
「私はヒナタと言います。先程の発言は忘れてください」
平然とした顔でさっきのプロポーズをなかったことにする。
湯気が出そうなくらい赤面していたが。
「え、えぇ……。わかりました。命の恩人のヒナタ様にお礼をしたいのですが、今はお礼ができる状態ではありません。なので、この先にあるウルレインという街に行けば私が住んでいる屋敷がありますので、そこまで同行願えますか?」
サーシャは先程のプロポーズを忘れ、凛とした態度だった。
さすが貴族だな。年齢は私と同じ15歳くらいに見えるが大人に見える。
え? 私が子供すぎるって? 転生してから精神年齢が後退気味だよ……。
というよりこの先に街があるのか!
やっとここまで来たか……長かったね。
「私も道に迷っていて困っておりましたので助かります。是非ご同行させていただければと思います」
私も負けじと凛とした態度で返答した。
これ以上怪しい女だって思われたくないしね。
それより街までこんな可愛いお嬢様と一緒の馬車に乗れるなんて……ぐふふふ。
馬車の中という密室で2人きりなんて、何か間違いが起きないよね。
きっと大丈夫だ。理性を保てるはず……。
おい誰だ。私をロリコンって思った奴。今は15歳だからなんの問題もないだろ。
というわけで、ウルレインという街に到着しました。
馬車の中ではサーシャから道に迷っていた理由を聞かれて、小さい頃から母と森にある小さな家屋で暮らしており、母が病気で亡くなったので街を目指して、道に迷ったということにした。すらすら回答できたのはこういう時のために設定を考えておいたのだ! 私ってできる女だからね。
あと、森で暮らしていたため世情に疎いことを説明すると、国のことや貴族について教えてもらえた。
まず、この国の名前はサンドラス王国というらしい。
貴族には地位が高い順から公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵となっており、ウルレインの街はサーシャのお父さんが領主を務める伯爵領なんだとか。いきなり領主の娘に接触できたのか。
仲良くなれれば、後ろ盾になってくれないかな。
あ、悪いことをするわけじゃないよ。
私って自分で言うのもなんだけど、結構可愛いからトラブルに巻き込まれそうだしね。うん、フラグかな。
あ、ちなみにちゃんと理性は保ったよ?
門番の衛兵に事情を説明し、身分を証明するものがないから通行税として銀貨1枚を支払った。
あ、出してくれたのはサーシャだったけどね。助かります。一人だったら入れなかったよ……。
この世界の通貨には白金貨、金貨、銀貨、銅貨の順で価値があるみたい。
各通貨が日本円にしてどのくらいの価値があるのかは、実際に市場に行ってみないと分からない。
とりあえず私は、伯爵家の屋敷に向かった。
「おぉ……、大きい」
さすが領主の屋敷だ。大きいな。
中に入ると数人のメイドさんが出迎えてくれていた。
「「「お帰りなさいませ、お嬢様」」」
おぉ! メイドさんだ!
前世ではメイド喫茶でしか見たことがないから新鮮だ。
みんな綺麗な人だなぁ……なんて思っていると。
「サーシャ!!!」
奥から全速力で走ってきた人がサーシャに抱きついてきた。
「ちょっと、お父様!」
お父様!?
めっちゃイケメンだしモデル体型だ。年齢も20代前半に見える。
でも、サーシャが15歳だとするとありえないよね。ということは30代なのは確実だ。
「君がヒナタさんだね。私はこの街の領主フィリップ・ブルガルドだ。早馬で盗賊に襲われたと聞いた時は生きた心地がしなかったが、娘を助けてもらい感謝する」
急に頭を下げてお礼を言われたので恐縮してしまった。
「いえ! 頭をお上げください! 偶然通りがかっただけですので……。私も路頭に迷っていたので助かりました。ありがとうございます」
頭を下げてお礼をする。
こういうのは第一印象が大事だ。領主にいい印象を与えておくことに損はないしね。
ここは萎縮して対応した方が良いだろう。
「ほう。礼儀正しい素敵なお嬢さんだな。しかし、娘を助けてもらったのに礼をしないのは貴族として以前に親として失礼に当たる。申し訳ないが、私の執務室まで来てくれないか」
よかった。印象は良くなったな。
ふふふ、計画通り。前世で営業もしていたからなぁ。
それにしても貴族ってあまりいい印象はなかったけど、この人は優しい貴族みたいだ。
そこから執務室に案内され会議用の長机の椅子に腰掛けた。
フィリップが執事に声を掛け、私の目の前に巾着袋のようなものが置かれた。
「その中に金貨で50枚入っている。ヒナタさんの事情は聞いているから、お金が必要だと思ってね。少ないと思うが貰ってくれ。何、娘の命に比べたら大したことないから」
金貨50枚!?
価値は分からないけど、多いんだよね。うわー、めっちゃ嬉しいな。
でも、これにすぐ食いつくと卑しい女と思われないかな。
少しだけ謙遜しておこう。
「私にはもったいないです。ここまで馬車に乗せていただき、サーシャお嬢様には私が世情に疎いと分かり、たくさんのことをご教授いただきました。それに、街に入る時にも通行税を肩代わりしてもらい、その上このような大金をいただくのは些か恐縮してしまいます」
これでどうだ。
したたかな女性に思われたかな?
「ほぅ。本当に礼儀正しいお嬢さんだな。でも、本当に気にせずに貰って欲しい。これは父親としての感謝の印だ」
よし! 好印象!
さすがにこれ以上断るのは失礼にあたる。
「分かりました。このお金は大切に使わせていただきます」
「よかったら、この後、夕食をご馳走させてくれないか。それにもう日も暮れてきたし、これから宿に行くのも大変だろう。今日は屋敷に泊まって行くといい」
「それではお言葉に甘えて、一晩お世話になります」
まさか泊めてもらえるとも思っていなかったので嬉しい誤算だ。
サーシャともうちょっと一緒にいたかったし。
その後、フィリップとサーシャと一緒に夕食を食べた。
その時にサーシャは13歳だと教えてもらった。その年齢でこんなに大人びているのか。将来が楽しみだな。それにしてもお母さんの姿が見えないのが気になるけど、聞くのも失礼だと思い聞かなかった。
次にはなんとサーシャが一緒にお風呂に入りたいと言ってきた。私は快く承諾する。
犯罪じゃないよね、大丈夫だよね!?
脱衣所でお互いに服を脱ぎ、生まれたままの姿でお風呂に向かった。
さすが貴族、お風呂が大きい。私が作ったお風呂の倍の広さがあるよ。
お風呂に入る前にサーシャの身体を拭くためタオルを持って、石鹸を使いながら拭いてあげた。
「ヒナタさんはお風呂に入ったことがあるのですか」
「…………あ、ありますよ」
サーシャの身体を堪能していたため反応が遅れた。
ちょっとびっくりなんだけどサーシャって13歳だよね。
日本でいうと中学1年生だよね。……胸がCカップくらいはありそうだ。
それにまだ成長期だからか揉んでみると結構硬い。
これって客観的にみると女性同士の仲睦まじい光景なんだけど、私のせいで犯罪行為にしか見えないのは何故だろうか……。
「平民の方だとお風呂に入る機会なんてないと聞いていたのですが、なんかヒナタさんはお風呂に慣れているようだったので聞いてしまいました」
「あぁ~、そういうことですか。お風呂に入る前に身体を拭かなくちゃいけないこととかは平民の方は知らないかもしれませんね」
サーシャの身体を堪能……もとい、拭き終わったところで、今度はサーシャが私の身体を拭いてくれることになった。
「……あっ、ちょっと……」
別にサーシャはいやらしく拭いているわけではないが、胸のあたりを触られてくすぐったかった。
男の身体では胸を触られても何も感じなかったけど、女性の身体だとなんか変な感じだな。興奮する。
もう一度言います、ヒナタ興奮します。
「はい、終わりましたよ」
「ありがとうございます……」
耐え切った。女性の身体はちょっとやばいな。早く風呂に入って気分を変えよう。
浴槽に向かい、湯船に浸かる。
「「はぁ~、気持ちいいぃ~」」
湯船に10分ほど浸かり、先程の興奮も相まってのぼせそうなのでそそくさとお風呂を後にした。
その後は、サーシャが一緒に寝たいと言われたので、これも快く承諾しお話をしながら眠った。
変なことはしてないよ?
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