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26 王都到着
しおりを挟むみなさんこんにちは。ヒナタです。
王都に向けて、ウルレインの街を出発して4日目です。
コカトリスの襲撃以来、特に何事もなく順調に進んでいます。
今日の夕刻には王都に到着予定です。
「ヒナタお姉ちゃん、今日には王都に着くみたいですよ!」
「そうだね。楽しみだね」
この4日間サーシャとずっと一緒にいてすごい癒されたよ。
初対面の時は大人っぽく見えていたけど、この旅路で案外子供っぽいところが見られたので少し安心した。
例えば、お菓子が食べたいと駄々を捏ね始めたり、付き合っている男性がいるか私に聞いてきたり、私も聞き返したら顔を赤らめていたり、夜にずっと私の手を握って寝たりなど、可愛すぎて理性崩壊しそうでしたよ。
でも、気になっている男の子がいるのかは定かではないけど、あの反応を見るといるのかな。
ヒナタ、泣きそうだよ。
王都に近づくにつれて、街道が綺麗に舗装されている。
日本と違いアスファルトではないけど、歩道によくあったインターロッキングブロックによく似ている。
馬車がガタガタ揺れないから、お尻も痛くない。
そんなことを考えていると、前方に街道から外れた草原の中に馬車が止まっていた。
周りに4人の男性がいて困っている様子だ。
「サーシャちゃん、なんか前で馬車が止まっていて、困っているみたいだから少し話を聞いてくるね」
「何かあったんでしょうかね」
私は、馬車に近づき、40歳くらいの男性に話を聞く。
「どうかしましたか」
「あ、冒険者の方ですか? 実は、王都に向かっていたのですが、ウルフがきて馬が怯えて街道から逸れてしまったんですよ。ウルフはそのまま森の中に行ったので助かったんですが、馬車の車輪が窪んだ場所に嵌ってしまって動けなくなったんですよ」
なるほどね、多分この男性は商人で、周りにいる男性3人は冒険者だ。
嵌った馬車を持ち上げるにも重くて持ち上がらず、動けなくて困っているみたいだ。
こういう時は、魔法の出番だな。
「でしたら、私もお手伝いしましょうか」
「え、男性4人でも持ち上がらないのに女性の力ではさすがに無理ですよ」
私は無視して、そのまま馬車の車輪が嵌った場所に行く。
やったことないけど試してみよう。
土魔法で、馬車を持ち上げるように土を盛り上げるイメージをして魔力を込める。
すると、馬車が持ち上がった。でも馬車がちょっと重いから思ったよりも魔力を込めて、土を固めたけど。
「おお! ありがとうございます!」
「すげぇな、あんた! 魔法ってこんな風に使うこともできるのかよ」
商人と思われる男性に感謝され、冒険者には驚かれた。こういう魔法の使い方はあまりないのかな。
今まで周りに魔法使いがいないから比較もできないけど、魔法って本当に便利なのに勿体ないよね。
「いえ、これくらいでしたら。上手くいって良かったです」
「ありがとうございます。私は、ゲイル商会の商会長をやっているゲイルと言います。お礼に、私の商会で扱っている商品を格安でお譲りしますのでぜひ、いらしてください」
「あ、はい。私は冒険者のヒナタと言います」
私が挨拶をしたところで、後方からサーシャと騎士が1人来た。
「ヒナタお姉ちゃん、大丈夫でしたか」
「あ、うん大丈夫だよ。馬車が動けなくなっていたみたいだけどもう解決したから」
そんな会話をサーシャとしていると、ゲイルが驚いた表情になっていた。
「え、貴族のお方でしたか! ヒナタ様、貴族の方とは知らずご無礼を!」
確かに、綺麗なドレスを着たサーシャにお姉ちゃんって呼ばれていたらそう勘違いするよね。
私は、クスッと笑ってしまったが、ゲイルに訂正した。
「ふふ、いえ、私は貴族ではありませんよ。なので、そんな気を使わなくて結構です」
「え、でもお姉さんと……。あれ?」
「お初にお目にかかります。私はブルガルド伯爵家が次女サーシャ・ブルガルドと申します。ヒナタお姉ちゃんとは仲良くさせていただいているので、そう呼んでいるだけです」
サーシャも合わせて訂正してくれる。
ゲイルは分かってくれたのか、話を続けた。
「そうでしたか。いや、さすがブルガルド家には優秀な冒険者がいるのですね」
サーシャも微笑みながら、肯定していた。
「ヒナタ様、お礼もさせていただきたいので、時間ができたらゲイル商会に来てください。受付に私の名前を言っていただければ、またご挨拶させていただきますので」
おぉ、それは楽しみだ。落ち着いたら必ず行こう。
「わかりました。時間ができたら伺いますね」
そう言って、ゲイルさんは王都に向かっていった。
「では、私たちもこのまま進みましょうか」
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