30 / 30
少女期
幹太、私募する。
しおりを挟む
カチャリ。
三ツ星レストランのVIPルームのドアが開く。
「お久しぶりですわ」
輝くような笑みを称え、可愛らしく佇む彼女を見つめる。
「久しぶりだね!はるちゃん」
駆け寄ってギュッと抱きしめる。
「なんなんですの!!いきなり」
ぷくっと頬を膨らませ抗議する姿も可愛い。
「待ってたよ」
ずっとね。
「幹太、従兄弟と言えど、いきなり抱きつくなんて失礼よ」
後ろから凛子お姉ちゃんが嗜める。
「はぁい」
ゴメンねと謝り、はるちゃんの手をひいて隣に座らせる。
彫りの深い美形が多い龍巻家の中で いくぶん薄い顔の遥ちゃん。
でもそれが すごく可愛い。
初めて会った時から僕は ずっと ずぅぅぅと大好きなんだ。
「おっきくなったな、遥」
「環さまも大人っぽくなられましたね。見違えましたわ」
「五年ぶりか。あのお転婆が随分 大人しくなったもんだな」
皮肉げに笑う。
僕は、ちょっとムッとしたけど、はるちゃんは綺麗に流して微笑んだ。
そして、
「……忍さま、凛子さまも お元気そうですね」
寄り添うように並んで座る二人に顔を向ける。
「……ああ」
言葉少なに頷く忍君。
「遥ちゃんも元気そうで なによりだわ。飛行機に疲れなかった?」
そんな忍君の横で凛子お姉ちゃんが会話を拾う。
「大丈夫ですわ」
はたから見たら親族の子供たちが集まっての会食。
はたから見たら、ね。
きっと はるちゃんは忍君が好きだ。
そして、忍君は凛子お姉ちゃんが好き。
《闇夜の神子と龍の受け皿》なのにね。
でもいいんだ。
だって僕の はるちゃんだからね。
「そう言えば、俺たちが こっちに来てから あの試練は やらなくなったらしいな」
環お兄ちゃんが はるちゃんに聞く。
あの日、はるちゃんが誘拐された年から子供たちの試練がなくなった。
「環さまは、すぐ留学されたから ご存知なかったのですね。きっと子供たちだけでは危ないと大人たちが話し合った結果だと思いますわ」
絶対ありえないね。
僕は前菜を口に運びながら突っ込む。
はるちゃんの前にも一度誰かが誘拐されてる。
その後どうなったかまでは小さすぎて覚えてないけど、それでも継続されていたんだ。
僕は《闇夜の神子と龍の受け皿》が見つかったからだと思ってる。
なぜ あの方法なのか、なぜ僕らの親族から探そうとしてたのかは分からないけどね。
あの眩い光の柱を昨日の事のように思い出す。
あれを大人たちは歓喜していたが、僕は世界が大きく変わっていくような気がして恐怖した。
この、望めば なんでも手に入る、なんにでもなれる時代に時間を逆戻りさせるような古の教えは僕たちに何をさせたいんだろう……。
三ツ星レストランのVIPルームのドアが開く。
「お久しぶりですわ」
輝くような笑みを称え、可愛らしく佇む彼女を見つめる。
「久しぶりだね!はるちゃん」
駆け寄ってギュッと抱きしめる。
「なんなんですの!!いきなり」
ぷくっと頬を膨らませ抗議する姿も可愛い。
「待ってたよ」
ずっとね。
「幹太、従兄弟と言えど、いきなり抱きつくなんて失礼よ」
後ろから凛子お姉ちゃんが嗜める。
「はぁい」
ゴメンねと謝り、はるちゃんの手をひいて隣に座らせる。
彫りの深い美形が多い龍巻家の中で いくぶん薄い顔の遥ちゃん。
でもそれが すごく可愛い。
初めて会った時から僕は ずっと ずぅぅぅと大好きなんだ。
「おっきくなったな、遥」
「環さまも大人っぽくなられましたね。見違えましたわ」
「五年ぶりか。あのお転婆が随分 大人しくなったもんだな」
皮肉げに笑う。
僕は、ちょっとムッとしたけど、はるちゃんは綺麗に流して微笑んだ。
そして、
「……忍さま、凛子さまも お元気そうですね」
寄り添うように並んで座る二人に顔を向ける。
「……ああ」
言葉少なに頷く忍君。
「遥ちゃんも元気そうで なによりだわ。飛行機に疲れなかった?」
そんな忍君の横で凛子お姉ちゃんが会話を拾う。
「大丈夫ですわ」
はたから見たら親族の子供たちが集まっての会食。
はたから見たら、ね。
きっと はるちゃんは忍君が好きだ。
そして、忍君は凛子お姉ちゃんが好き。
《闇夜の神子と龍の受け皿》なのにね。
でもいいんだ。
だって僕の はるちゃんだからね。
「そう言えば、俺たちが こっちに来てから あの試練は やらなくなったらしいな」
環お兄ちゃんが はるちゃんに聞く。
あの日、はるちゃんが誘拐された年から子供たちの試練がなくなった。
「環さまは、すぐ留学されたから ご存知なかったのですね。きっと子供たちだけでは危ないと大人たちが話し合った結果だと思いますわ」
絶対ありえないね。
僕は前菜を口に運びながら突っ込む。
はるちゃんの前にも一度誰かが誘拐されてる。
その後どうなったかまでは小さすぎて覚えてないけど、それでも継続されていたんだ。
僕は《闇夜の神子と龍の受け皿》が見つかったからだと思ってる。
なぜ あの方法なのか、なぜ僕らの親族から探そうとしてたのかは分からないけどね。
あの眩い光の柱を昨日の事のように思い出す。
あれを大人たちは歓喜していたが、僕は世界が大きく変わっていくような気がして恐怖した。
この、望めば なんでも手に入る、なんにでもなれる時代に時間を逆戻りさせるような古の教えは僕たちに何をさせたいんだろう……。
0
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】悪の尋問令嬢、″捨てられ王子″の妻になる。
Y(ワイ)
ファンタジー
尋問を生業にする侯爵家に婿入りしたのは、恋愛戦略に敗れた腹黒王子。
白い結婚から始まる、腹黒VS腹黒の執着恋愛コメディ(シリアス有り)です。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
悪役令嬢の父は売られた喧嘩は徹底的に買うことにした
まるまる⭐️
ファンタジー
【第5回ファンタジーカップにおきまして痛快大逆転賞を頂戴いたしました。応援頂き、本当にありがとうございました】「アルテミス! 其方の様な性根の腐った女はこの私に相応しくない!! よって其方との婚約は、今、この場を持って破棄する!!」
王立学園の卒業生達を祝うための祝賀パーティー。娘の晴れ姿を1目見ようと久しぶりに王都に赴いたワシは、公衆の面前で王太子に婚約破棄される愛する娘の姿を見て愕然とした。
大事な娘を守ろうと飛び出したワシは、王太子と対峙するうちに、この婚約破棄の裏に隠れた黒幕の存在に気が付く。
おのれ。ワシの可愛いアルテミスちゃんの今までの血の滲む様な努力を台無しにしおって……。
ワシの怒りに火がついた。
ところが反撃しようとその黒幕を探るうち、その奥には陰謀と更なる黒幕の存在が……。
乗り掛かった船。ここでやめては男が廃る。売られた喧嘩は徹底的に買おうではないか!!
※※ ファンタジーカップ、折角のお祭りです。遅ればせながら参加してみます。
転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて
ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記
大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。
それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。
生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、
まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。
しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。
無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。
これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?
依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、
いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。
誰かこの悪循環、何とかして!
まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる