悪役令嬢が転生してきました

冷暖房完備

文字の大きさ
17 / 30
幼児期

遥(仮)脱出する。No.1

しおりを挟む
いかにも悪者の棲み家という雰囲気の大きな建物に入る。
えれべーたーという動く箱に乗り、扉が開くと重々しいドアがあり、その中へと通される。
そして大きな窓ガラスの前に鎮座するグレーのスーツを着た男が こちらに振り返る。
「……思っていたのと違うな」
低い声で そう言うと、ワタクシを連れてきた男が ふっと笑った。
「本家の子供では ありませんので」
「ああ、なるほど。末っ子の子供か」
口許を歪めて笑う。
 
外見を笑われるのは、あまり気分の良いものでは ありませんわね。
 
前世は国の至宝とか傾国の美女とか当たり前のように賛辞を受けていたワタクシにとって、他者からの不躾な視線に晒されない今世は とても居心地が良かった。
しかし、こんな下卑た笑いを向けられると腹もたつと言うものだ。
この凹凸はないが愛嬌のある愛らしい顔をワタクシは とても気に入っているのだ。
少し、いやかなりムッとしながら黒幕の男を見つめるが、そんな視線など気にもかけずワタクシを連れてきた男に向き直る。
「いらんな。元の場所に捨ててこい」
 
な、なんですって!?
 
このミレイユ・デ・ワトソンに向かって、いらん?捨ててこい!?
 
思わず身を乗り出すワタクシを片手で制して、男が低く伝える。
「このまま計画を実行されるのが得策かと。きっとボスの お眼鏡に叶う結果をもたらしてくれると思いますよ?」
「………へぇ」
男の言葉にボスと呼ばれた男は口角をあげる。
「では、引き続き実行せよ。ただし」
笑みを消し、凄むように男を睨む。
「それが間違いだったと気づいた時には、それなりの代償を払ってもらう」
「なんなりと?」
「では その時こそ、お前を拐って俺のモノにする」
「………いいですよ」
 
な、なんなんですの!?
この重いんだか甘いんだか分からない変な空気は!!
 
置いてきぼり感が否めませんが、これはチャンスだと割りきり見つめ合う男たちを尻目に こっそりと部屋を抜け出した。
そして気配を消し、人目を避けながら あのえれべーたーを目指す。
 
 
 








 
 
 
「……ほう。やはり あの一族の子だな」
ところ狭しと並ぶモニターを見ながらボスと呼ばれた男が呟く。
「あの年代で あれほど綺麗に気配を消すとは想像以上です」
あの人好きのする笑顔でモニターを見つめる。
「だがまだ子供だな。防犯カメラの存在には気づかずって感じだ」
「ですが、おかげで監視し放題です」
「確かに、な」
さも面白そうにボスが笑う。
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【完結】悪の尋問令嬢、″捨てられ王子″の妻になる。

Y(ワイ)
ファンタジー
尋問を生業にする侯爵家に婿入りしたのは、恋愛戦略に敗れた腹黒王子。 白い結婚から始まる、腹黒VS腹黒の執着恋愛コメディ(シリアス有り)です。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

悪役令嬢の父は売られた喧嘩は徹底的に買うことにした

まるまる⭐️
ファンタジー
【第5回ファンタジーカップにおきまして痛快大逆転賞を頂戴いたしました。応援頂き、本当にありがとうございました】「アルテミス! 其方の様な性根の腐った女はこの私に相応しくない!! よって其方との婚約は、今、この場を持って破棄する!!」 王立学園の卒業生達を祝うための祝賀パーティー。娘の晴れ姿を1目見ようと久しぶりに王都に赴いたワシは、公衆の面前で王太子に婚約破棄される愛する娘の姿を見て愕然とした。 大事な娘を守ろうと飛び出したワシは、王太子と対峙するうちに、この婚約破棄の裏に隠れた黒幕の存在に気が付く。 おのれ。ワシの可愛いアルテミスちゃんの今までの血の滲む様な努力を台無しにしおって……。 ワシの怒りに火がついた。 ところが反撃しようとその黒幕を探るうち、その奥には陰謀と更なる黒幕の存在が……。 乗り掛かった船。ここでやめては男が廃る。売られた喧嘩は徹底的に買おうではないか!! ※※ ファンタジーカップ、折角のお祭りです。遅ればせながら参加してみます。

転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて

ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記  大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。 それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。  生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、 まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。  しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。 無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。 これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?  依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、 いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。 誰かこの悪循環、何とかして! まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

処理中です...