26 / 38
本編
No.3 君の名は?
しおりを挟む
「ねぇあんた!!いつまで ついてくる気!?」
ビクッ!!
真紀子さんの言葉に体が跳ねる。
「そんな大きな声だしたら可哀想だよ」
平凡男子が私を庇う。
それがまた気に入らないようで殺意のある視線を向けてくる。
「だってモンスターはもういないのよ?早く帰りなさいよ!!」
真紀子さんが再度 怒鳴る。
……私だって帰りたいよ!!
とても正義の味方とは思えない勇者一行なんて百害あって一理なしだ。
そう分かってるのに体が動かない。
いや動いている!?
なぜか、この勇者一行の後をついていくように。
考えたくない。
考えたくないが、たぶん これは なにかしらのシナリオが発動しているのだ。
しょせんモブ。
その他大勢。
一般ピーポー。
必死に逃げ回ること以外は普通の『日常』だし、うまくいけば どっかにいる勇者たちが魔王を倒してくれて逃げ回ることも なくなると楽観視していた。
まさか、その勇者に出会ってしまうなんて……。
偶然か運命か。
いや運命は勘弁してほしい!!
はぁと ため息をついて、何気なく目の前にある物を掴む。
「触るな!!」
ビクッ!!
怒鳴り声に手を引っ込める。
「今度 元樹に触ったら、その腕 切り落とすよ!!」
ヒステリックに怒鳴りちらす真紀子さん。
「は、はい」
思わず後退ったら、トンと何かに当たった。
「も、いっそ。殺す、か?」
ヒエッ。
黒衣の少年が私の顔を覗きこむように囁く。
怖い、怖い、怖い、怖い。
「二人とも怖がらせない!!」
平凡男子が二人を嗜め、私の目の前に座る。
……真紀子さんが怒らない距離で。
「君、名前は?住所は言える?」
「………」
「…まだ小さいからな。知らないよね……」
同情するように呟く。
知ってる。
知ってるよ!!
なのに頭に浮かぶ言葉は、どうやっても声に ならない。
これがシナリオなのか。
悔しさに唇を噛みながら話が流れてくのを待つ。
悔しいけど待つしかない。
『境目』と一緒で終われば『日常』が かえってくるのだから。
「じゃあ、家が見つかるまで俺たちに ついておいで」
「「はっ!?」」
思わず真紀子さんとかぶる。
「なに言ってんのよ!!こんな お荷物つれて魔王なんて倒せないわよ!!」
信じられない!!とばかりに怒鳴りちらす真紀子さん。
いやいや、問題そこじゃないよね?
「めんど、う。殺す」
黒衣の少年が両刃刀に手をかける。
あんたは、そればっかか!!
てか、警察!!
警察でイイんだよ!!
あんたら いなきゃ普通に保護してもらえるんだよ!!
「こんな小さい子、こんなとこに置いていったらモンスターの餌食になる!!」
と平凡男子。
おいこら!!不吉なこと言うな!!
ホントになったら責任とれんのか!!
「めんど、う。殺す」
と、黒衣の少年。
お前は黙ってろ!!
叫びたいのに声が出ない。
体も動かない。
このままじゃ、勇者一行に連れてかれるか、殺される。
「天使、いるんだろ?」
平凡男子が真紀子さんの肩口に声をかける。
ぽうぅと可愛らしい天使が現れる。
「この子は連れてくのか置いてくのか教えてくれ」
平凡男子が変わった聞き方をする。
ま、まさか気づいてる?
『連れてまいります』
「やっぱりか……」
天使の言葉に諦めるように ため息を吐く。
やっぱり、この平凡男子は私がシナリオに巻き込まれたことに気づいていたんだ。
「ごめんな。絶対 危険な目には合わせないから一緒に来てくれるかな?」
私に目線を合わせるように膝まづくと申し訳なさそうに言った。
こくり。
私の意思とは関係なく頭が動く。
もうこれは決定事項なんだと唇を噛む。
視界の角で面白くなさそうに真紀子さんが睨んでる。
「ところで名前は?」
ふいに聞かれ、言葉につまる。
というか、また声が出ない。
「記憶喪失ってやつかな?」
小首を傾げる平凡男子。
「もう!なんなの?その疫病神は」
イライラと吐き捨てる真紀子さん。
こりゃシナリオが落ち着いたら、名前と住所を紙に書いて渡すかな。
などと、のんびり考えていたら、平凡男子が 閃いたとばかりに私の頭を撫でる。
「では、今日から君はユーナだ」
ビクッ!!
真紀子さんの言葉に体が跳ねる。
「そんな大きな声だしたら可哀想だよ」
平凡男子が私を庇う。
それがまた気に入らないようで殺意のある視線を向けてくる。
「だってモンスターはもういないのよ?早く帰りなさいよ!!」
真紀子さんが再度 怒鳴る。
……私だって帰りたいよ!!
とても正義の味方とは思えない勇者一行なんて百害あって一理なしだ。
そう分かってるのに体が動かない。
いや動いている!?
なぜか、この勇者一行の後をついていくように。
考えたくない。
考えたくないが、たぶん これは なにかしらのシナリオが発動しているのだ。
しょせんモブ。
その他大勢。
一般ピーポー。
必死に逃げ回ること以外は普通の『日常』だし、うまくいけば どっかにいる勇者たちが魔王を倒してくれて逃げ回ることも なくなると楽観視していた。
まさか、その勇者に出会ってしまうなんて……。
偶然か運命か。
いや運命は勘弁してほしい!!
はぁと ため息をついて、何気なく目の前にある物を掴む。
「触るな!!」
ビクッ!!
怒鳴り声に手を引っ込める。
「今度 元樹に触ったら、その腕 切り落とすよ!!」
ヒステリックに怒鳴りちらす真紀子さん。
「は、はい」
思わず後退ったら、トンと何かに当たった。
「も、いっそ。殺す、か?」
ヒエッ。
黒衣の少年が私の顔を覗きこむように囁く。
怖い、怖い、怖い、怖い。
「二人とも怖がらせない!!」
平凡男子が二人を嗜め、私の目の前に座る。
……真紀子さんが怒らない距離で。
「君、名前は?住所は言える?」
「………」
「…まだ小さいからな。知らないよね……」
同情するように呟く。
知ってる。
知ってるよ!!
なのに頭に浮かぶ言葉は、どうやっても声に ならない。
これがシナリオなのか。
悔しさに唇を噛みながら話が流れてくのを待つ。
悔しいけど待つしかない。
『境目』と一緒で終われば『日常』が かえってくるのだから。
「じゃあ、家が見つかるまで俺たちに ついておいで」
「「はっ!?」」
思わず真紀子さんとかぶる。
「なに言ってんのよ!!こんな お荷物つれて魔王なんて倒せないわよ!!」
信じられない!!とばかりに怒鳴りちらす真紀子さん。
いやいや、問題そこじゃないよね?
「めんど、う。殺す」
黒衣の少年が両刃刀に手をかける。
あんたは、そればっかか!!
てか、警察!!
警察でイイんだよ!!
あんたら いなきゃ普通に保護してもらえるんだよ!!
「こんな小さい子、こんなとこに置いていったらモンスターの餌食になる!!」
と平凡男子。
おいこら!!不吉なこと言うな!!
ホントになったら責任とれんのか!!
「めんど、う。殺す」
と、黒衣の少年。
お前は黙ってろ!!
叫びたいのに声が出ない。
体も動かない。
このままじゃ、勇者一行に連れてかれるか、殺される。
「天使、いるんだろ?」
平凡男子が真紀子さんの肩口に声をかける。
ぽうぅと可愛らしい天使が現れる。
「この子は連れてくのか置いてくのか教えてくれ」
平凡男子が変わった聞き方をする。
ま、まさか気づいてる?
『連れてまいります』
「やっぱりか……」
天使の言葉に諦めるように ため息を吐く。
やっぱり、この平凡男子は私がシナリオに巻き込まれたことに気づいていたんだ。
「ごめんな。絶対 危険な目には合わせないから一緒に来てくれるかな?」
私に目線を合わせるように膝まづくと申し訳なさそうに言った。
こくり。
私の意思とは関係なく頭が動く。
もうこれは決定事項なんだと唇を噛む。
視界の角で面白くなさそうに真紀子さんが睨んでる。
「ところで名前は?」
ふいに聞かれ、言葉につまる。
というか、また声が出ない。
「記憶喪失ってやつかな?」
小首を傾げる平凡男子。
「もう!なんなの?その疫病神は」
イライラと吐き捨てる真紀子さん。
こりゃシナリオが落ち着いたら、名前と住所を紙に書いて渡すかな。
などと、のんびり考えていたら、平凡男子が 閃いたとばかりに私の頭を撫でる。
「では、今日から君はユーナだ」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる