異世界に転生しました?

冷暖房完備

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本編

No.5 魔物退治

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悪魔というものは人を惑わせるため、その姿形は天使のそれより美しいのだという。
大きな両刃刀の切っ先すら綺麗と思ってしまうのは、このおかしな展開に頭が考えることを諦めてしまったからなのか……。
あの黒衣の美少年は軽々と獲物を操り、襲いかかってくる人型モンスターを次々と真っ二つにしてゆく。
その血吹雪すら舞台の演出なのでは?と思うほどキラキラと太陽の光に乱反射する。
「ユウ、動かないで」
元樹お兄ちゃんに腕を掴まれ、ハッとする。
 
そうだ、動いたら襲われるんだった。
 
ピタリと動きを止めた私を見てホッと一息ついた元樹が真紀子さんに声をかける。
「なんだか同じ所を回ってる気がするんだが気のせいかな」
「アタシだって初めてなのよ?そんなの知らないわ」
『魔物の異形さ、残虐さが増してきているので この道で間違いないと思います』
さして興味なさそうに元樹おの腕に絡みつく真紀子さんの肩で天使が説明する。
「ならイイんだが、なるべく恵くんには命を殺めてほしくない」
「元樹……優しいね」
うっとりと見つめる真紀子さんに現状を気にする様子はない。
「おわっ、た」
ピュッと両刃刀を振り、血を飛ばす。
「じゃ行こう」
真紀子さんが元樹お兄ちゃんを引っ張るように歩き出す。
「あそこ、に、なにか、いる」
恵くんが高層ビルを指差す。
『中ボスには もったいないくらいの根城ですね』
禍々しく暗雲 たちこめるビルは私でも分かるくらい異彩を発していた。
「なるべく僕が傍にいるけど、ユウもヤバいなと思ったら動かないようにね」
「はい」
「全部 終わったら迎えに行くから安全だと思う所で待ってるんだよ?」
 
なるべく一人になりたくないけど、下手に動いて死んでしまうくらいなら目を瞑って終わるのを待つ方が得策だ。
 
私は、こくこくと頷いた。
 
それにしても……。
 
この状況に慣れてきたのか周りを見る余裕が出てきた。
倒されたモンスター、徘徊するモンスターは全員 男の人なんじゃないかと思った。
いや、モンスター自体に性別があるのかは分からないけど、なんとなく そんな気がした。
これは私の勝手な想像なんだけど、モンスターは1から作り上げてゆくものではなく、何かしらが変形してモンスターになってるのでは?と思う。
そのことを元樹お兄ちゃんに伝えると、彼も同じことを思っていたらしく頷いてくれた。
「僕たちの町でもモンスターと呼ばれていたのは人間だった。もしかしたらボスのレベルによって どんどん人ではない形になっていくのかも知れないね」
……元は人であったものが異形に変わる。
それはつまり、私たちが相手にするのは人間だと言うことだ。
胸が ど~んと重くなってゆく。
「僕たちに できることは必要最低限の犠牲で早く魔王を倒すことだ」
「恵がいるから大丈夫よ」
真紀子さんが言うと、嬉しそうに目を細めて恵くんが笑った。
 
わ!!そんな表情かおもできるのね。
天使。
まさに天使が そこにいた。
が、こいつは天使の皮を被った悪魔だから不用意に近づいたらダメ。
 
もう何に警戒をしたらイイのか分からなくなる中、悪の巣窟であるビルの中へと入って行く。
「いらっしゃいませ~」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
え?
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