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本編
No.7 中ボスご対面
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「ねぇ社長ってどんなヤツなの?」
ふいに真紀子さんが尋ねた。
「素敵な方ですよ!!クールな美形で背も高いですし、なにより仕事ができます!!ほぼ視界に入ることも叶いませんが洗練された立ち居振舞いで声も素敵なんだそうです」
エレベーターガールが恋する乙女のように頬を染める。
「ふぅん」
真紀子さんは聞いといて興味なさげに返事をする。
でも、なんだろ?
違和感。
「……そんな完璧な人が こんな歪んだハーレムみたいな世界 作るかな」
元樹お兄ちゃんが私と同じ疑問を口にする。
『ですよね?そんなことしなくても女の人が放っておかないと思います』
何かある、そう気を引き締めた。
チン
「最上階、社長室でございま~す」
眼前には重厚な両開きのドアがあった。
「こちらはワンフロアになっておりますので そちらのドアから お入りください」
恵くんが歩き出すのに続く。
「なお、皆様は ここから人間として外へは出られないと存じ上げます」
閉まる直前エレベーターガールが深々と頭を下げ、低く告げた。
こ、こわい。
知らず元樹お兄ちゃんに掴まる。
「大丈夫」
私の手を握って微笑んだ。
そして再度、保護魔法をかけてくれた。
「これが中ボスに効くか分からないけど、何もしないより ましだ」
「うん」
心底、感謝しかない。
「あと、ここで待てそうだったら待ってて。生きて帰ってこれたら、ちゃんと迎えに来るから」
その言葉に泣きそうになりなる。
「ちゃんと生きて帰ってきて」
元樹お兄ちゃんは苦笑いで返した。
エレベーターを降りた所からシナリオは発動していた。
待ってるつもりだったけど、もう自分の意思では足を止められないみたいだ。
こんな非力な私がシナリオに巻き込まれる理由って なんなんだろう。
震える体をギシギシしならせながら歩く。
きっと意味がある。
私じゃなきゃいけない理由が。
でもそれは、できれば お断りしたい案件だけどね。
ガチャリ
ドアは思ったより軽く開き、エントランスのように また綺麗な女の人が立っていた。
「お待ちしておりました。わたくし、秘書の北川と申します」
冷たさを感じる長身のモデル風美女。
見た目だけでなく、隙のない所作から仕事も できそうだと子供心に思った。
「社長が お待ちです」
くるりと背を向けて歩き出す。
「切っ、ていい?」
「ダメよ」
恵くんの呟きを真紀子さんが軽くいなす。
ここへ来てから恵くんの殺気が目に見えるようだ。
殺る気まんまんね……。
恐ろしいのか頼もしいのか分からない。
「失礼いたします」
秘書が新たなドアを開けると、ビックリするくらい広い応接室。
その向こう側で大きな窓の前、逆光で よく見えないが長身のスタイルの良さそうな男の人が立っていた。
「いよいよね」
楽しそうに呟くと真紀子さんは、元樹お兄ちゃんの腕から離れるように歩き出し恵くんの横に並ぶ。
「元樹は自分を守ることだけを考えてね」
「……ああ」
なんの 力もない私たちは こんな時、邪魔でしかない。
元樹お兄ちゃんが私の手を握ってくれた。
「ようこそ……と言った方がイイかな?」
サッと窓ガラスの色が変わって太陽光が抑えられた。
「!!!」
眼前にいるのは、隙のない凍えるような美貌の男。
まるで英国スターのような長い足、適度に鍛えられたスーツの似合う体。
成功者が醸し出す どっしりとした重厚なオーラ。
魔物 以前に この雰囲気に飲まれてしまったのか恵くんも固まっている。
「勇者ご一行がいらっしゃると聞いていたが、これはまた ずいぶんと可愛らしい」
一ミリと表情を変えず皮肉を言う男。
「……あなたも敵にしておくには惜しいほど素敵なおじ様ね」
真紀子さんの言葉に初めて表情を崩す。
「おじ様は酷いな。これでも若いつもりでいるんだけどね」
フッと優しげに微笑む姿に真紀子さんも頬を染める。
豪華絢爛な室内、ファッションモデルのような威風堂々とした若社長。
まるでドラマの中にでも入り込んでしまったかのような状況。
その中で1つだけ場違いなものを発見して我にかえった。
それは部屋の隅に ひっそりと座っていた。
誰の目に止まることなく、気配を消して そこにいたのは雑種の犬だった。
ふいに真紀子さんが尋ねた。
「素敵な方ですよ!!クールな美形で背も高いですし、なにより仕事ができます!!ほぼ視界に入ることも叶いませんが洗練された立ち居振舞いで声も素敵なんだそうです」
エレベーターガールが恋する乙女のように頬を染める。
「ふぅん」
真紀子さんは聞いといて興味なさげに返事をする。
でも、なんだろ?
違和感。
「……そんな完璧な人が こんな歪んだハーレムみたいな世界 作るかな」
元樹お兄ちゃんが私と同じ疑問を口にする。
『ですよね?そんなことしなくても女の人が放っておかないと思います』
何かある、そう気を引き締めた。
チン
「最上階、社長室でございま~す」
眼前には重厚な両開きのドアがあった。
「こちらはワンフロアになっておりますので そちらのドアから お入りください」
恵くんが歩き出すのに続く。
「なお、皆様は ここから人間として外へは出られないと存じ上げます」
閉まる直前エレベーターガールが深々と頭を下げ、低く告げた。
こ、こわい。
知らず元樹お兄ちゃんに掴まる。
「大丈夫」
私の手を握って微笑んだ。
そして再度、保護魔法をかけてくれた。
「これが中ボスに効くか分からないけど、何もしないより ましだ」
「うん」
心底、感謝しかない。
「あと、ここで待てそうだったら待ってて。生きて帰ってこれたら、ちゃんと迎えに来るから」
その言葉に泣きそうになりなる。
「ちゃんと生きて帰ってきて」
元樹お兄ちゃんは苦笑いで返した。
エレベーターを降りた所からシナリオは発動していた。
待ってるつもりだったけど、もう自分の意思では足を止められないみたいだ。
こんな非力な私がシナリオに巻き込まれる理由って なんなんだろう。
震える体をギシギシしならせながら歩く。
きっと意味がある。
私じゃなきゃいけない理由が。
でもそれは、できれば お断りしたい案件だけどね。
ガチャリ
ドアは思ったより軽く開き、エントランスのように また綺麗な女の人が立っていた。
「お待ちしておりました。わたくし、秘書の北川と申します」
冷たさを感じる長身のモデル風美女。
見た目だけでなく、隙のない所作から仕事も できそうだと子供心に思った。
「社長が お待ちです」
くるりと背を向けて歩き出す。
「切っ、ていい?」
「ダメよ」
恵くんの呟きを真紀子さんが軽くいなす。
ここへ来てから恵くんの殺気が目に見えるようだ。
殺る気まんまんね……。
恐ろしいのか頼もしいのか分からない。
「失礼いたします」
秘書が新たなドアを開けると、ビックリするくらい広い応接室。
その向こう側で大きな窓の前、逆光で よく見えないが長身のスタイルの良さそうな男の人が立っていた。
「いよいよね」
楽しそうに呟くと真紀子さんは、元樹お兄ちゃんの腕から離れるように歩き出し恵くんの横に並ぶ。
「元樹は自分を守ることだけを考えてね」
「……ああ」
なんの 力もない私たちは こんな時、邪魔でしかない。
元樹お兄ちゃんが私の手を握ってくれた。
「ようこそ……と言った方がイイかな?」
サッと窓ガラスの色が変わって太陽光が抑えられた。
「!!!」
眼前にいるのは、隙のない凍えるような美貌の男。
まるで英国スターのような長い足、適度に鍛えられたスーツの似合う体。
成功者が醸し出す どっしりとした重厚なオーラ。
魔物 以前に この雰囲気に飲まれてしまったのか恵くんも固まっている。
「勇者ご一行がいらっしゃると聞いていたが、これはまた ずいぶんと可愛らしい」
一ミリと表情を変えず皮肉を言う男。
「……あなたも敵にしておくには惜しいほど素敵なおじ様ね」
真紀子さんの言葉に初めて表情を崩す。
「おじ様は酷いな。これでも若いつもりでいるんだけどね」
フッと優しげに微笑む姿に真紀子さんも頬を染める。
豪華絢爛な室内、ファッションモデルのような威風堂々とした若社長。
まるでドラマの中にでも入り込んでしまったかのような状況。
その中で1つだけ場違いなものを発見して我にかえった。
それは部屋の隅に ひっそりと座っていた。
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