2年ぶりに家を出たら異世界に飛ばされた件

後藤蓮

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1章

24話 べルート公爵

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 べルート公爵の馬車に同乗すると、すぐに目的地に出発しだす。目的地とはどこかって? そんなの俺が聞きたいね! マジでどこに連れてかれんだよ? と不安になっていると、それが伝わったのかべルート公爵から話しかけられる。

「まあ、そんな警戒しないでくれ。命の恩人を反故にはしないからもうちょっとリラックスしてくれないか?」

「そうですよ、っとまだ名前をきいてなかったですわね。失礼ですが、お名前を伺っても?」

 公爵夫人であるキャルアさんにそう言われて初めて名乗っていないことに気づくと、俺は慌てて名前を名乗り始める。

「あっ!す、すいません!自分はレイ.......です。えっとその多分かなりここら辺からは遥か遠くの場所から来たと思います? よ、よろしくお願いします!」

「ん?遥か遠く?ってなんで、疑問形なんだい?」

「あっ、えっと........そのー、さっき気がついたらあの近くにあった森の中にいきなり迷い込んでいて、そのここがまだどこなのかは分かっていないんです、その、すいません.........。」

 一応嘘は言ってないよな? うん、朝(昼)に気がついたら迷い込んでたし、異世界とは聞いたけど、そもそもそれどこにあるの?
って感じだしね。

「そうなのか? あれだけ簡単にワイバーンを倒したのだからてっきり名のある冒険者かと思っていたが、そうか.........。」

 何やら重たい雰囲気になってしまっているがどうしたらいいのこれ? うん、とにかく話題を変えないと.......。


「あ、あの、一つ疑問なのですが、この馬車の行き先ってどこなんでしょうか?」

「ん?ああ、そういえばどこに行くか言っていなかったな。これは失礼した。私たちは、これからデルの街に向かっているんだよ。なんと言ったって、私の領地であるからね?」

 俺が行き先を聞くと、何やらドヤ顔でそんな説明をしてくるべルート公爵。そういえば、名前の最後にデルってついてたっけ? あれ? ついてたよね? まあ、とにかくデルの街ってところが行き先って言うのは分かったし、そこから話を膨らませないとまた変な空気になってしまう。


 って!!!え!?!? デルの街ってさっきマップで見たところじゃん!!! てことは、行き先同じだったってことか! なんだよ! めちゃくちゃラッキーだったな!!

「そ、そうだったんですか! 人里を目指して歩いていたので、それは助かります! 本当にありがとうございます!」

 一人で行けないこともないけど、領主様御一行について行ったら入税とかとられなくて住むだろうし、かなりお得だっな。ビビって動けなくって流れに身を任せのが功を奏したってやつだ。

「ん?そうか。そう言ってくれると半ば無理やり連れてきてしまったが気が楽になったよ。ちなみにレイは、身分証とかお金とかは持ち合わせてるのか?」

「あっすいません。実は身分証の類は持っていないんです.....後、お金も銅貨五枚しか........,。」

 改めて考えると銅貨五枚で街に入れるわけないよな? 俺どんだけ後先考えないで行動しようとしてたんだよ。 てか、所持金聞いてくるってことは、もしかもしかもしかして入税は払って貰わないと困るぞ的な暗示なのかな? だったらまずいよ!


「そんな気を落とさなくても大丈夫よレイ君。誰だっていきなり無防備なところで急に他の場所に飛ばされたらそうなっちゃうわよ。デルの街は本来なら入税しないと入れないし、そもそも身分証がないと面倒な手続きが必要になるんだけど、私たちの命の恩人なんだから入税だって取らないし、身分証の方も後でこちらで用意してあげるわよ。ねえ、あなた?」

「ん?あ、ああ!もちろんだとも!レイは命の恩人だからな!そんなの当たり前じゃないか!!」

 ん?これもしかして、いや、もしかしなくてもべルート公爵の方は金取ろうとしてたし、身分証なかったら馬車から俺のこと追い出してたかも? いや、てかそれが普通か。金も身分証もない怪しいやつを自分の領地には招きたくはないわな。 
 そう考えると、奥さんのキャルアさんはちょっと無警戒すぎるんじゃないかな? いや、まあ俺としては助かるけども。

「あの、ほんとに何から何まで融通していただいてすいません。この御恩はいつかぜったいに返しますので、本当にありがとうございます!」

 オレは体面に座っている二人に座りながらではあるが、深くお辞儀をして感謝と謝罪の言葉を同時に告げる。すると、二人が慌てた様子で俺に頭をあげるようにわたわたとしだす。

「おおい!何を言ってるんだ!礼をしなければいけないのはこっちだし、この程度のことでは我等の命を救ってくれた恩を返せたとは思っていないんだからレイがそんなのととを言うな!」

「そうよ。レイ君。あなたは私たちの命の恩人であるということを自覚してくれないと困るわ。年上である私たちにある程度畏まるのは仕方ないことだと思って受け入れるけど、それ以上されると私たちが申し訳なくなってしまうから、ね? もっと気を楽にしてちょうだい。」


 オレは二人の言葉に思わず涙を流す流しそうになった。流れで命を助けただけなのにな........。俺からすれば異世界での身分を保証してくれるだけで充分なのにな......。

 全く、べルート公爵の方は最初は高圧的な感じだったし、話し方も上から上からでテンプレな偉そうな貴族だと思ってたけど、案外悪い人じゃないっぽいな。 

 キャルアさんは、言うまでもなく最高の女性だ。スタイルもいいし美人だし、べルート公爵の奥さんじゃなかったら正直、俺のハーレムに.........って彼女いない歴イコール年齢の俺が何を言ってるんだかな、ははは。


 うん、とりあえずなんだかんだで異世界にきた初日で、人との交流への足がかりがこんなに順調にいってるんだ。二人にはもう言わないでくれと言われたが、最後にもう一度言おう。


「本当にありがとうございます!!」


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