29 / 57
1章
28話 異世界といえば公爵令嬢?
しおりを挟む部屋に入った瞬間、中にいた人物を見て、俺は見蕩れて動けなくなった。
銀髪の長い髪に、蒼く透き通った目。顔はかなり整っていて本当に美人だ。メイドさんたちも相当美人ぞろいだと思ったが、それすら凌駕する程の美形。見蕩れるなという方が無理だ。
ただ、そんな俺の状況を知らないメイドさんは、俺のことなんて気にせずに、話を進め出す。
「失礼します、お嬢様。体調はいかがですか?」
「ん?........ええ、今のところは良好だわ......とはいっても、もう長くないでしょうけどね..........」
目の前にいる美女は、俺がいることに気がついていないのか、俺には一瞥もくれることは無い。
ん? てかそもそも目が見えていない?
「お嬢様.............はっ! お嬢様!!もしかしたらお嬢様の病気を治せるかもしれない人を連れてきたんです!!」
メイドさんはそんなことを言いながら俺を前に突き出した。
はっ? え? なに? 病気ってどうゆうことだ? いや、さっき自分で長くないとか言ってたし、目も見えてない様子だ。おまけにはベッド上から動く気配もない。
うん、何も疑問に思うことは無い。 恐らく今目の前にいる美女がなにかの病気を患っているのだろあ。
「マーナ、私の病気を治せる力を持った人はこの国にはいないのよ......。もう、そんなこと半年前から分かっていた事じゃない。隣国のヘルバル聖王国の聖女様でも私の病気は治せなかったんだから.......もう私は諦めたし、自分の死がもうすぐ来るということを受け入れているわ。だから、だからそんなことありえないのよ.......」
目の前の美女は、そんなことを言い始めた。
そんな生きるのを諦めたような言葉を聞いた俺は、無意識にその美女に向かって魔法を行使していた。
「グレーターハイヒール......」
俺が魔法を詠唱し終えた瞬間、瞬く間に目の前の美女の体の周りが光に包まれる。そして.........。
「う.......うそ.........み.....え.......る?」
「お、お嬢様!!!私のことが見えますか!?!?」
「み......える........わ。そ、それに鉛のように重かったはずの身体も軽い..........」
「うぅぅー! 良かったっ。お嬢様.....治って本当によかった.....。」
目の前でメイドさんと美女でさんが抱き合いながら泣いている。目の前の美女の目には最初見た時とは全く違っていて、生気が宿って見える。うん、先程までの死んだ目でも美しいとは思ったが、こっちの方が遥かに美しい。
あっ.....てか、なんの説明もなしに治癒魔法使っちゃったけど、良かったんだよな? メイドさんは俺にこの魔法が使えるか聞いてきてすぐにここに連れてきたし、つまりは俺にこの美女さんの病気を治して欲しかったってことだよね?
「レイ様!!!! 本当にありがとうございました!!」
メイドさんは1度俺の方に向き直ると、凄い勢いで俺に感謝してきた。 いやいや、俺の持ってる魔法で人の命が助かるなら俺はなんも躊躇しないし、そもそもこんなことで感謝されても困ってしまう。
「あーいや、えっと。人の命を助けるのは当たり前のことだから、お礼なんていりませんよ? そちらの美人さんの病気が治ったようで良かったですよ。」
「び.........びじんっ..........」
俺がそういうと、目の前にいた美女は、何やら顔を真っ赤にしてボソボソと何かを口に出していたが、上手く聞こえなかった。うん、恐らく死ぬ気だったのにいきなり病気が治ってびっくりしているんだろう。
「あっと、その、僕への用事も済んだようですし、僕はそろそろ退室しますね? 年頃の女性の部屋にいつまでも見知らぬ男がいるのもあれでしょうし......では、失礼します!!」
「えっ!! ちょ、ちょっと待って..........」
後ろで美女さんが何か言っているようだったが、俺は最後まで聞くことなく部屋から出て、早歩きで客間へと戻る。
なんでこんないきなり退室したのか不思議に思うかもしれないが、答えは単純だ。
同い年くらいの女の子の部屋に長居するなんて勇気は俺にはないからだ。俺のメンタルは豆腐メンタル。いくら命を助ける魔法を行使したのが俺とはいえ、あちらからしたらただの見知らぬ人、いわば不審者だ。そんな不審者がずっと自分の部屋にいたら気持ち悪いと思うのが普通だ。
うん、あんな最高峰の美女にキモがられたとしたら俺はこの先やはり生きていく自信がなくなる。ブスに嫌われるのは全然いいけど、やっぱり美女には好かれたい。
クズっぽく聞こえるかもしれないが、これこそ世界で唯一の真理なのだ。
あっ、てか、来るまでの道覚えてなかったからここどこだかわかんねえや.............。
うん、困った。
13
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。
しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。
彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。
一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。
みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。
勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。
辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。
だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる