2年ぶりに家を出たら異世界に飛ばされた件

後藤蓮

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1章

28話 異世界といえば公爵令嬢?

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 部屋に入った瞬間、中にいた人物を見て、俺は見蕩れて動けなくなった。

 銀髪の長い髪に、蒼く透き通った目。顔はかなり整っていて本当に美人だ。メイドさんたちも相当美人ぞろいだと思ったが、それすら凌駕する程の美形。見蕩れるなという方が無理だ。

 ただ、そんな俺の状況を知らないメイドさんは、俺のことなんて気にせずに、話を進め出す。

「失礼します、お嬢様。体調はいかがですか?」

「ん?........ええ、今のところは良好だわ......とはいっても、もう長くないでしょうけどね..........」

 目の前にいる美女は、俺がいることに気がついていないのか、俺には一瞥もくれることは無い。

 ん? てかそもそも目が見えていない?

「お嬢様.............はっ! お嬢様!!もしかしたらお嬢様の病気を治せるかもしれない人を連れてきたんです!!」

 メイドさんはそんなことを言いながら俺を前に突き出した。


 はっ? え? なに? 病気ってどうゆうことだ? いや、さっき自分で長くないとか言ってたし、目も見えてない様子だ。おまけにはベッド上から動く気配もない。

 うん、何も疑問に思うことは無い。 恐らく今目の前にいる美女がなにかの病気を患っているのだろあ。


「マーナ、私の病気を治せる力を持った人はこの国にはいないのよ......。もう、そんなこと半年前から分かっていた事じゃない。隣国のヘルバル聖王国の聖女様でも私の病気は治せなかったんだから.......もう私は諦めたし、自分の死がもうすぐ来るということを受け入れているわ。だから、だからそんなことありえないのよ.......」


 目の前の美女は、そんなことを言い始めた。


 そんな生きるのを諦めたような言葉を聞いた俺は、無意識にその美女に向かって魔法を行使していた。


「グレーターハイヒール......」

 俺が魔法を詠唱し終えた瞬間、瞬く間に目の前の美女の体の周りが光に包まれる。そして.........。


「う.......うそ.........み.....え.......る?」

「お、お嬢様!!!私のことが見えますか!?!?」

「み......える........わ。そ、それに鉛のように重かったはずの身体も軽い..........」

「うぅぅー! 良かったっ。お嬢様.....治って本当によかった.....。」

 目の前でメイドさんと美女でさんが抱き合いながら泣いている。目の前の美女の目には最初見た時とは全く違っていて、生気が宿って見える。うん、先程までの死んだ目でも美しいとは思ったが、こっちの方が遥かに美しい。

 あっ.....てか、なんの説明もなしに治癒魔法使っちゃったけど、良かったんだよな? メイドさんは俺にこの魔法が使えるか聞いてきてすぐにここに連れてきたし、つまりは俺にこの美女さんの病気を治して欲しかったってことだよね? 

「レイ様!!!! 本当にありがとうございました!!」

 メイドさんは1度俺の方に向き直ると、凄い勢いで俺に感謝してきた。 いやいや、俺の持ってる魔法で人の命が助かるなら俺はなんも躊躇しないし、そもそもこんなことで感謝されても困ってしまう。

「あーいや、えっと。人の命を助けるのは当たり前のことだから、お礼なんていりませんよ? そちらの美人さんの病気が治ったようで良かったですよ。」

「び.........びじんっ..........」

 俺がそういうと、目の前にいた美女は、何やら顔を真っ赤にしてボソボソと何かを口に出していたが、上手く聞こえなかった。うん、恐らく死ぬ気だったのにいきなり病気が治ってびっくりしているんだろう。

「あっと、その、僕への用事も済んだようですし、僕はそろそろ退室しますね? 年頃の女性の部屋にいつまでも見知らぬ男がいるのもあれでしょうし......では、失礼します!!」

「えっ!! ちょ、ちょっと待って..........」

 後ろで美女さんが何か言っているようだったが、俺は最後まで聞くことなく部屋から出て、早歩きで客間へと戻る。


 なんでこんないきなり退室したのか不思議に思うかもしれないが、答えは単純だ。


 同い年くらいの女の子の部屋に長居するなんて勇気は俺にはないからだ。俺のメンタルは豆腐メンタル。いくら命を助ける魔法を行使したのが俺とはいえ、あちらからしたらただの見知らぬ人、いわば不審者だ。そんな不審者がずっと自分の部屋にいたら気持ち悪いと思うのが普通だ。

 うん、あんな最高峰の美女にキモがられたとしたら俺はこの先やはり生きていく自信がなくなる。ブスに嫌われるのは全然いいけど、やっぱり美女には好かれたい。


 クズっぽく聞こえるかもしれないが、これこそ世界で唯一の真理なのだ。



 あっ、てか、来るまでの道覚えてなかったからここどこだかわかんねえや.............。



 うん、困った。
 
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