追放されたので千年後に転生しました~その幼女、元転移転生魔術師の再来~

がっきー

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第一部 転生編

元転移転生術師、吹き込む 前編

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 テーブルにもたれ、くつろいでいるラスティア。
 いや、くつろぎ過ぎていた。
 目を閉じ、腕をぷらんと下ろし、寝息をたてており、その姿は余りに静かじゃったから。

「き、騎士様……? ど、どうしたんですか、突然……?」

 母のリーリエが、狼狽えておる。まあ無理もなかろう。
 ホットミルクを飲んだ途端に眠ってしまうなんて、予想していなかったじゃろうから。

「お母さん、きっと騎士さん疲れてたんだよ。だからマリーのベッドで休ませてあげて」

「そうなの? ならお父さんにお願いして、運んでもらいましょ」

 よしよし、いい流れじゃ。

 父のマイケルが、ラスティアをベッドまで運んでくれた。
 部屋から出た所で、ワシはサージャに声をかける。

「サージャ、どうじゃ、ラスティアの様子は」

『ラスティアのステータス分析……。眠りについています。熟睡状態です』

「よし……うまくいったわい」

 ワシは成功を確信した。
 ラスティアの口元に微かに残る、白いミルクの跡。ワシが用意したホットミルクを飲んでから、ラスティアは眠ってしまった。

 ワシの、まどろみ☆ホットミルクの絶大なリラックス効果によって、脱力してしまったためじゃ。

「寝る前のホットミルクは定番じゃからの……」

 ワシも、一度飲んだ事があるから、今のラスティアに共感できる。

 飲んだ途端に分かる旨み。ミルクの味が広がっていく。
 温かい喉越しがやがて胃を通り、五臓六腑に染み渡る。まるで牛さんが包み込んでくれるような……そんな多大なリラックス効果が、飲んだ瞬間に脱力させてしまうのだ。

「さてと……」

 ワシは心地よさそうに眠っている、ラスティアのそばに近づいた。

「お主にはもう少し、付き合ってもらうからの」

 もう一仕事。
 ワシは手を掲げ、魔力を込めた。

「転移魔法、発動――!」

 ――バチバチ! と音を立て、現れる稲妻。
 その刹那、ワシは求める物をイメージした。

「いでよ! ――遮断☆集中☆アイマスク!」

 詠唱であり名称を唱える。
 そして稲妻が止み、物質となってワシの手に落ちてきた。

 掲げた手でキャッチするそれは、布の感触。指に当たったのは、両端に付けられた二本の紐。
 転移魔法を発動し終えた所で、サージャが尋ねてきた。

『マスター、なぜまた転移魔法を?』

「コイツをラスティアに被す。今なら難なくできるじゃろう」

『人が寝ているスキに目を隠す……危ない構図ですね』

「やかましい! しょうがないじゃろ! ラスティアと話をするには、アイマスクが必要なんじゃ!」

『目隠しをして眠っている人と会話する……客観的に考えて意味不明です』

「言うな! ワシだってそれ位分かっとるわい!」

 全く、さっきからツッコミが過ぎるぞサージャめ。

 これも作戦の一つなんじゃ。と言うより、ここからが作戦の本番なんじゃ。
 そしてそのためには、このアイマスクがかなめなんじゃ。
 遮断☆集中☆アイマスクの効果がの。

 ワシは眠っているラスティアに近づき、アイマスクを被せる。

 一度、ワシは咳き込んだ。声を低くしようと調整するために。
 そしてラスティアの耳元まで口を近づけ、囁いてみた。

「ラスティアよ……ワシが分かるか……」

 なるべく、威厳をもったような話し方で声をかける。

「だ、誰だ……その声は……?」

 微かな声で、ラスティアから返事があった。

「ワシの声が分からぬか……。このデウディーンの声が……」

「えっ……で、デウディーン様……!」

 ビクッと身体を強ばらせ、反応するラスティア。
 そしてベッドから転げ落ちる。
 かと思ったら、土下座し始めたのだ。

「ははーーーーーーーーーっ!」

「お主……何をやっておる?」

「ぜ……全知全能の偉大なる皇陛下すめらぎへいか・デウディーン世界教皇せかいきょうこう様を前に無礼を働いた事……お許し下さい……」

「いや? 別に土下座するような無礼など、働いておらんではないか……」

「滅相もございません! 頭が高い、それだけで十分罪なのです! ましてやデウディーン様を前に、何て畏れ多い事か!」

 いやいや、何でこんなにかしこまってるのこの子は……。
 ワシ、そんなに怖い人って思われてるの?

「頭を上げてよいぞ……。別にそんな事でワシ、怒ったりせんから」

「ほ、本当ですか? しかし、頭が高い者の首を切り落としたという過去があるとか……」

「いや、んな事しとらんから! いいから頭上げて!!」

 何で何で……? 何でワシの過去デタラメ含まれてるん?
 ワシ生前は優しかったよ? たかしに暴言吐かれて言い返せん位には、大人しかったからね?
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