13 / 75
第一部 転生編
元転移転生術師、吹き込む 前編
しおりを挟む
テーブルにもたれ、くつろいでいるラスティア。
いや、くつろぎ過ぎていた。
目を閉じ、腕をぷらんと下ろし、寝息をたてており、その姿は余りに静かじゃったから。
「き、騎士様……? ど、どうしたんですか、突然……?」
母のリーリエが、狼狽えておる。まあ無理もなかろう。
ホットミルクを飲んだ途端に眠ってしまうなんて、予想していなかったじゃろうから。
「お母さん、きっと騎士さん疲れてたんだよ。だからマリーのベッドで休ませてあげて」
「そうなの? ならお父さんにお願いして、運んでもらいましょ」
よしよし、いい流れじゃ。
父のマイケルが、ラスティアをベッドまで運んでくれた。
部屋から出た所で、ワシはサージャに声をかける。
「サージャ、どうじゃ、ラスティアの様子は」
『ラスティアのステータス分析……。眠りについています。熟睡状態です』
「よし……うまくいったわい」
ワシは成功を確信した。
ラスティアの口元に微かに残る、白いミルクの跡。ワシが用意したホットミルクを飲んでから、ラスティアは眠ってしまった。
ワシの、まどろみ☆ホットミルクの絶大なリラックス効果によって、脱力してしまったためじゃ。
「寝る前のホットミルクは定番じゃからの……」
ワシも、一度飲んだ事があるから、今のラスティアに共感できる。
飲んだ途端に分かる旨み。ミルクの味が広がっていく。
温かい喉越しがやがて胃を通り、五臓六腑に染み渡る。まるで牛さんが包み込んでくれるような……そんな多大なリラックス効果が、飲んだ瞬間に脱力させてしまうのだ。
「さてと……」
ワシは心地よさそうに眠っている、ラスティアのそばに近づいた。
「お主にはもう少し、付き合ってもらうからの」
もう一仕事。
ワシは手を掲げ、魔力を込めた。
「転移魔法、発動――!」
――バチバチ! と音を立て、現れる稲妻。
その刹那、ワシは求める物をイメージした。
「いでよ! ――遮断☆集中☆アイマスク!」
詠唱であり名称を唱える。
そして稲妻が止み、物質となってワシの手に落ちてきた。
掲げた手でキャッチするそれは、布の感触。指に当たったのは、両端に付けられた二本の紐。
転移魔法を発動し終えた所で、サージャが尋ねてきた。
『マスター、なぜまた転移魔法を?』
「コイツをラスティアに被す。今なら難なくできるじゃろう」
『人が寝ているスキに目を隠す……危ない構図ですね』
「やかましい! しょうがないじゃろ! ラスティアと話をするには、アイマスクが必要なんじゃ!」
『目隠しをして眠っている人と会話する……客観的に考えて意味不明です』
「言うな! ワシだってそれ位分かっとるわい!」
全く、さっきからツッコミが過ぎるぞサージャめ。
これも作戦の一つなんじゃ。と言うより、ここからが作戦の本番なんじゃ。
そしてそのためには、このアイマスクが要なんじゃ。
遮断☆集中☆アイマスクの効果がの。
ワシは眠っているラスティアに近づき、アイマスクを被せる。
一度、ワシは咳き込んだ。声を低くしようと調整するために。
そしてラスティアの耳元まで口を近づけ、囁いてみた。
「ラスティアよ……ワシが分かるか……」
なるべく、威厳をもったような話し方で声をかける。
「だ、誰だ……その声は……?」
微かな声で、ラスティアから返事があった。
「ワシの声が分からぬか……。このデウディーンの声が……」
「えっ……で、デウディーン様……!」
ビクッと身体を強ばらせ、反応するラスティア。
そしてベッドから転げ落ちる。
かと思ったら、土下座し始めたのだ。
「ははーーーーーーーーーっ!」
「お主……何をやっておる?」
「ぜ……全知全能の偉大なる皇陛下・デウディーン世界教皇様を前に無礼を働いた事……お許し下さい……」
「いや? 別に土下座するような無礼など、働いておらんではないか……」
「滅相もございません! 頭が高い、それだけで十分罪なのです! ましてやデウディーン様を前に、何て畏れ多い事か!」
いやいや、何でこんなにかしこまってるのこの子は……。
ワシ、そんなに怖い人って思われてるの?
「頭を上げてよいぞ……。別にそんな事でワシ、怒ったりせんから」
「ほ、本当ですか? しかし、頭が高い者の首を切り落としたという過去があるとか……」
「いや、んな事しとらんから! いいから頭上げて!!」
何で何で……? 何でワシの過去デタラメ含まれてるん?
ワシ生前は優しかったよ? たかしに暴言吐かれて言い返せん位には、大人しかったからね?
いや、くつろぎ過ぎていた。
目を閉じ、腕をぷらんと下ろし、寝息をたてており、その姿は余りに静かじゃったから。
「き、騎士様……? ど、どうしたんですか、突然……?」
母のリーリエが、狼狽えておる。まあ無理もなかろう。
ホットミルクを飲んだ途端に眠ってしまうなんて、予想していなかったじゃろうから。
「お母さん、きっと騎士さん疲れてたんだよ。だからマリーのベッドで休ませてあげて」
「そうなの? ならお父さんにお願いして、運んでもらいましょ」
よしよし、いい流れじゃ。
父のマイケルが、ラスティアをベッドまで運んでくれた。
部屋から出た所で、ワシはサージャに声をかける。
「サージャ、どうじゃ、ラスティアの様子は」
『ラスティアのステータス分析……。眠りについています。熟睡状態です』
「よし……うまくいったわい」
ワシは成功を確信した。
ラスティアの口元に微かに残る、白いミルクの跡。ワシが用意したホットミルクを飲んでから、ラスティアは眠ってしまった。
ワシの、まどろみ☆ホットミルクの絶大なリラックス効果によって、脱力してしまったためじゃ。
「寝る前のホットミルクは定番じゃからの……」
ワシも、一度飲んだ事があるから、今のラスティアに共感できる。
飲んだ途端に分かる旨み。ミルクの味が広がっていく。
温かい喉越しがやがて胃を通り、五臓六腑に染み渡る。まるで牛さんが包み込んでくれるような……そんな多大なリラックス効果が、飲んだ瞬間に脱力させてしまうのだ。
「さてと……」
ワシは心地よさそうに眠っている、ラスティアのそばに近づいた。
「お主にはもう少し、付き合ってもらうからの」
もう一仕事。
ワシは手を掲げ、魔力を込めた。
「転移魔法、発動――!」
――バチバチ! と音を立て、現れる稲妻。
その刹那、ワシは求める物をイメージした。
「いでよ! ――遮断☆集中☆アイマスク!」
詠唱であり名称を唱える。
そして稲妻が止み、物質となってワシの手に落ちてきた。
掲げた手でキャッチするそれは、布の感触。指に当たったのは、両端に付けられた二本の紐。
転移魔法を発動し終えた所で、サージャが尋ねてきた。
『マスター、なぜまた転移魔法を?』
「コイツをラスティアに被す。今なら難なくできるじゃろう」
『人が寝ているスキに目を隠す……危ない構図ですね』
「やかましい! しょうがないじゃろ! ラスティアと話をするには、アイマスクが必要なんじゃ!」
『目隠しをして眠っている人と会話する……客観的に考えて意味不明です』
「言うな! ワシだってそれ位分かっとるわい!」
全く、さっきからツッコミが過ぎるぞサージャめ。
これも作戦の一つなんじゃ。と言うより、ここからが作戦の本番なんじゃ。
そしてそのためには、このアイマスクが要なんじゃ。
遮断☆集中☆アイマスクの効果がの。
ワシは眠っているラスティアに近づき、アイマスクを被せる。
一度、ワシは咳き込んだ。声を低くしようと調整するために。
そしてラスティアの耳元まで口を近づけ、囁いてみた。
「ラスティアよ……ワシが分かるか……」
なるべく、威厳をもったような話し方で声をかける。
「だ、誰だ……その声は……?」
微かな声で、ラスティアから返事があった。
「ワシの声が分からぬか……。このデウディーンの声が……」
「えっ……で、デウディーン様……!」
ビクッと身体を強ばらせ、反応するラスティア。
そしてベッドから転げ落ちる。
かと思ったら、土下座し始めたのだ。
「ははーーーーーーーーーっ!」
「お主……何をやっておる?」
「ぜ……全知全能の偉大なる皇陛下・デウディーン世界教皇様を前に無礼を働いた事……お許し下さい……」
「いや? 別に土下座するような無礼など、働いておらんではないか……」
「滅相もございません! 頭が高い、それだけで十分罪なのです! ましてやデウディーン様を前に、何て畏れ多い事か!」
いやいや、何でこんなにかしこまってるのこの子は……。
ワシ、そんなに怖い人って思われてるの?
「頭を上げてよいぞ……。別にそんな事でワシ、怒ったりせんから」
「ほ、本当ですか? しかし、頭が高い者の首を切り落としたという過去があるとか……」
「いや、んな事しとらんから! いいから頭上げて!!」
何で何で……? 何でワシの過去デタラメ含まれてるん?
ワシ生前は優しかったよ? たかしに暴言吐かれて言い返せん位には、大人しかったからね?
99
あなたにおすすめの小説
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
転生したら王族だった
みみっく
ファンタジー
異世界に転生した若い男の子レイニーは、王族として生まれ変わり、強力なスキルや魔法を持つ。彼の最大の願望は、人間界で種族を問わずに平和に暮らすこと。前世では得られなかった魔法やスキル、さらに不思議な力が宿るアイテムに強い興味を抱き大喜びの日々を送っていた。
レイニーは異種族の友人たちと出会い、共に育つことで異種族との絆を深めていく。しかし……
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。
秋田ノ介
ファンタジー
88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。
異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。
その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。
飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。
完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
「お前は無能だ」と追放した勇者パーティ、俺が抜けた3秒後に全滅したらしい
夏見ナイ
ファンタジー
【荷物持ち】のアッシュは、勇者パーティで「無能」と罵られ、ダンジョン攻略の直前に追放されてしまう。だが彼がいなくなった3秒後、勇者パーティは罠と奇襲で一瞬にして全滅した。
彼らは知らなかったのだ。アッシュのスキル【運命肩代わり】が、パーティに降りかかる全ての不運や即死攻撃を、彼の些細なドジに変換して無効化していたことを。
そんなこととは露知らず、念願の自由を手にしたアッシュは辺境の村で穏やかなスローライフを開始。心優しいエルフやドワーフの仲間にも恵まれ、幸せな日々を送る。
しかし、勇者を失った王国に魔族と内通する宰相の陰謀が迫る。大切な居場所を守るため、無能と蔑まれた男は、その規格外の“幸運”で理不尽な運命に立ち向かう!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる