追放されたので千年後に転生しました~その幼女、元転移転生魔術師の再来~

がっきー

文字の大きさ
22 / 75
第一部 サークルポリス襲撃編

元転移転生魔術師、規模を知る 後編

しおりを挟む
 ワシは話題をかえる事にした。催眠の追求をしないため、他に話題が思いつかなかったからじゃ。
 あと、結局ワシの名の教団についてよく分かってなかったので、これを機に知っておこうと思った。

 するとラスティア、ぶるぶると上半身を震わせているではないか。

「おい……どうした? 大丈夫か?」

「いえ……嬉しいのです。こうしてデウディーン教団に興味を抱いていただけた事が……!」

「あーいや、ワシはただ聞きたいだけで……」

「分かっています! それで良いのです! こうして尋ねる事が知識の始まり! デウディーン教団入信への第一歩になるのです! まずは、歴史から知る必要がありますね!!」

 妙に鼻息が粗いラスティア。
 そのまま意気揚々と、教団の歴史……(別にそこまで聞いてないのに)について語りはじめたのじゃった。

「名はデウディーン教団。それは千年前、転移魔法を使えるのがデウディーン様だけであり、他の人も試みましたものの、結局誰も使いこなせないままでした。その希少性が、非常に高く評価されたのです」

  昨日聞いた話じゃ。ワシはふむふむと相槌をうつ。

「その評判は人々から関心を集めていきました。特に女性からの評判が良かったのです。それはもう、黄色い歓声が鳴り止まないほどに」

「ふむふ……む?」

「ある者はデウディーン様をイケオジと呼び、ある者は我こそが嫁であると豪語し、またある者は愛のあまり一生独身を貫き……そんな女性を中心に、いつの間にか集団が結成されていったのです。」

「ふ……ふむ? む?」

 段々と、相槌がおぼつかなくなっていくワシ。
 な、何じゃろう? 話がおかしな方向に進んでいくような……?

「やがて銅像も建てられた事で拝みに来る人が大勢集まり、集団は大きく膨らみました。当然、寄付金手付金も集まります。そんな潤沢な資金を元手に教会が国中に建てられ、女性だけに留まらず老若男女。デウディーン様のため、身も心も人生も捧げるハーレム教団へと拡大していったのです! ……これが、デウディーン教団設立の千年です!」

「……………………」

 ワシはもう、頭が痛くなっておった。
 しかしラスティアは止まらない。前を向いておるから、気づいておらんのじゃろうなぁ……。
 さらにテンションをあげ、デウディーン教団のすごさとやらについて語り続けていくのだ。

「今や、信者は二千万人にのぼります! これは我が国、国家国民のほぼ全員なのです! サークルポリスでは、早朝からデウディーン様に挨拶をかわし、デウディーン様を見上げ、デウディーン様に土下座をし、デウディーン様を称え、デウディーン様のために聖歌を合唱し一日が始まります! これは、町のほぼ全員が行っている日常なのです!」

「なぜそこまでするのかって? 理由があります。そうする事で死後の幸福が約束されているからです! 神々に等しいデウディーンのそばで、安寧の時を過ごす約束を果たしていただけるからです!」

「なので我ら信者は祈り、毎日訴え続けていくのです! デウディーン様にとって、我々など矮小にも満たない小粒の存在。それでもなお見つけてもらうために、何度でも何度でも続けていく必要があるのです! いつか訪れる、幸福の訪れを胸に抱いて!」

「もはや国全体がデウディーン様を信じていると言っても過言ではありません! 教団が決めた事は、国民全員が決めた事。国民全員とはすなわち、国家である事! その決定は、たかが一人の王様にさえ覆えす事など叶わなぬのです!」


「…………………………」

 ワシもう、疲れてしもうたわ。
 何なの、コレ? 何でワシ、ここまで崇拝されてるん? 
 死後の評価が異常すぎるじゃろ……。
 そもそも死後の幸福なんか約束しとらんし、幸せの訪れなんてできるはずなかろう……。

 かつてのワシは死んだ。デウディーンの人生は終わったのだ。しかも千年前に。
 なのになぜ、故人のためにそこまで熱狂的になれるのじゃろうか。信仰は勝手だが、程というものがあろう……。

 ワシはため息を吐いていた。
 ラスティアの話はまだ続いているが、もうしんどい。馬車の中で寝るとしよう……。

『お休みですか、マスター』

 ワシの意識が朦朧とした所で、サージャが声をかけてきた。

「ああ、そうじゃ。だから放っといてくれ……」

『了解。ラスティアに伝えておきます。デウディーン教団がたりの心地よさに癒やされたからもっと話してくれと』

「いや癒やされてねぇし聞きたくねぇし!」

 脊髄反射でツッコんだワシじゃったが、少し経って、やっぱり眠ってしまったのじゃった――



************************

【サージャ】≪『第十一話をお読みいただき、ありがとうございます』

【サージャ】≪『デウディーン教団はマスターの想像以上に巨大で、歪な教団でした』

【サージャ】≪『まずマスターはイケオジではありません』

【サージャ】≪『可もなく不可もない程度の少年であり、中年であり、老年でした』

【サージャ】≪『それと、デウディーン教団の信者は、死後の扱いにこだわりがあるようですね』

【サージャ】≪『何度も祈り崇拝し続けていく事で、マスターのそばに置いてもらい、死後の幸福を約束してもらうとの事』

【サージャ】≪『マスターはそんな約束をした覚えがありませんし、言うまでもなく転生していますので、死後に会う事も叶いません』

【サージャ】≪『『彼らは何に対して祈り、何に対してすがっているのでしょうか』

【サージャ】≪『それでは、次回をお楽しみに』
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

転生したら王族だった

みみっく
ファンタジー
異世界に転生した若い男の子レイニーは、王族として生まれ変わり、強力なスキルや魔法を持つ。彼の最大の願望は、人間界で種族を問わずに平和に暮らすこと。前世では得られなかった魔法やスキル、さらに不思議な力が宿るアイテムに強い興味を抱き大喜びの日々を送っていた。 レイニーは異種族の友人たちと出会い、共に育つことで異種族との絆を深めていく。しかし……

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

「お前は無能だ」と追放した勇者パーティ、俺が抜けた3秒後に全滅したらしい

夏見ナイ
ファンタジー
【荷物持ち】のアッシュは、勇者パーティで「無能」と罵られ、ダンジョン攻略の直前に追放されてしまう。だが彼がいなくなった3秒後、勇者パーティは罠と奇襲で一瞬にして全滅した。 彼らは知らなかったのだ。アッシュのスキル【運命肩代わり】が、パーティに降りかかる全ての不運や即死攻撃を、彼の些細なドジに変換して無効化していたことを。 そんなこととは露知らず、念願の自由を手にしたアッシュは辺境の村で穏やかなスローライフを開始。心優しいエルフやドワーフの仲間にも恵まれ、幸せな日々を送る。 しかし、勇者を失った王国に魔族と内通する宰相の陰謀が迫る。大切な居場所を守るため、無能と蔑まれた男は、その規格外の“幸運”で理不尽な運命に立ち向かう!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

処理中です...