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第一部 サークルポリス襲撃編
元転移転生魔術師、規模を知る 後編
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ワシは話題をかえる事にした。催眠の追求をしないため、他に話題が思いつかなかったからじゃ。
あと、結局ワシの名の教団についてよく分かってなかったので、これを機に知っておこうと思った。
するとラスティア、ぶるぶると上半身を震わせているではないか。
「おい……どうした? 大丈夫か?」
「いえ……嬉しいのです。こうしてデウディーン教団に興味を抱いていただけた事が……!」
「あーいや、ワシはただ聞きたいだけで……」
「分かっています! それで良いのです! こうして尋ねる事が知識の始まり! デウディーン教団入信への第一歩になるのです! まずは、歴史から知る必要がありますね!!」
妙に鼻息が粗いラスティア。
そのまま意気揚々と、教団の歴史……(別にそこまで聞いてないのに)について語りはじめたのじゃった。
「名はデウディーン教団。それは千年前、転移魔法を使えるのがデウディーン様だけであり、他の人も試みましたものの、結局誰も使いこなせないままでした。その希少性が、非常に高く評価されたのです」
昨日聞いた話じゃ。ワシはふむふむと相槌をうつ。
「その評判は人々から関心を集めていきました。特に女性からの評判が良かったのです。それはもう、黄色い歓声が鳴り止まないほどに」
「ふむふ……む?」
「ある者はデウディーン様をイケオジと呼び、ある者は我こそが嫁であると豪語し、またある者は愛のあまり一生独身を貫き……そんな女性を中心に、いつの間にか集団が結成されていったのです。」
「ふ……ふむ? む?」
段々と、相槌がおぼつかなくなっていくワシ。
な、何じゃろう? 話がおかしな方向に進んでいくような……?
「やがて銅像も建てられた事で拝みに来る人が大勢集まり、集団は大きく膨らみました。当然、寄付金手付金も集まります。そんな潤沢な資金を元手に教会が国中に建てられ、女性だけに留まらず老若男女。デウディーン様のため、身も心も人生も捧げるハーレム教団へと拡大していったのです! ……これが、デウディーン教団設立の千年です!」
「……………………」
ワシはもう、頭が痛くなっておった。
しかしラスティアは止まらない。前を向いておるから、気づいておらんのじゃろうなぁ……。
さらにテンションをあげ、デウディーン教団のすごさとやらについて語り続けていくのだ。
「今や、信者は二千万人にのぼります! これは我が国、国家国民のほぼ全員なのです! サークルポリスでは、早朝からデウディーン様に挨拶をかわし、デウディーン様を見上げ、デウディーン様に土下座をし、デウディーン様を称え、デウディーン様のために聖歌を合唱し一日が始まります! これは、町のほぼ全員が行っている日常なのです!」
「なぜそこまでするのかって? 理由があります。そうする事で死後の幸福が約束されているからです! 神々に等しいデウディーンのそばで、安寧の時を過ごす約束を果たしていただけるからです!」
「なので我ら信者は祈り、毎日訴え続けていくのです! デウディーン様にとって、我々など矮小にも満たない小粒の存在。それでもなお見つけてもらうために、何度でも何度でも続けていく必要があるのです! いつか訪れる、幸福の訪れを胸に抱いて!」
「もはや国全体がデウディーン様を信じていると言っても過言ではありません! 教団が決めた事は、国民全員が決めた事。国民全員とはすなわち、国家である事! その決定は、たかが一人の王様にさえ覆えす事など叶わなぬのです!」
「…………………………」
ワシもう、疲れてしもうたわ。
何なの、コレ? 何でワシ、ここまで崇拝されてるん?
死後の評価が異常すぎるじゃろ……。
そもそも死後の幸福なんか約束しとらんし、幸せの訪れなんてできるはずなかろう……。
かつてのワシは死んだ。デウディーンの人生は終わったのだ。しかも千年前に。
なのになぜ、故人のためにそこまで熱狂的になれるのじゃろうか。信仰は勝手だが、程というものがあろう……。
ワシはため息を吐いていた。
ラスティアの話はまだ続いているが、もうしんどい。馬車の中で寝るとしよう……。
『お休みですか、マスター』
ワシの意識が朦朧とした所で、サージャが声をかけてきた。
「ああ、そうじゃ。だから放っといてくれ……」
『了解。ラスティアに伝えておきます。デウディーン教団語りの心地よさに癒やされたからもっと話してくれと』
「いや癒やされてねぇし聞きたくねぇし!」
脊髄反射でツッコんだワシじゃったが、少し経って、やっぱり眠ってしまったのじゃった――
************************
【サージャ】≪『第十一話をお読みいただき、ありがとうございます』
【サージャ】≪『デウディーン教団はマスターの想像以上に巨大で、歪な教団でした』
【サージャ】≪『まずマスターはイケオジではありません』
【サージャ】≪『可もなく不可もない程度の少年であり、中年であり、老年でした』
【サージャ】≪『それと、デウディーン教団の信者は、死後の扱いにこだわりがあるようですね』
【サージャ】≪『何度も祈り崇拝し続けていく事で、マスターのそばに置いてもらい、死後の幸福を約束してもらうとの事』
【サージャ】≪『マスターはそんな約束をした覚えがありませんし、言うまでもなく転生していますので、死後に会う事も叶いません』
【サージャ】≪『『彼らは何に対して祈り、何に対してすがっているのでしょうか』
【サージャ】≪『それでは、次回をお楽しみに』
あと、結局ワシの名の教団についてよく分かってなかったので、これを機に知っておこうと思った。
するとラスティア、ぶるぶると上半身を震わせているではないか。
「おい……どうした? 大丈夫か?」
「いえ……嬉しいのです。こうしてデウディーン教団に興味を抱いていただけた事が……!」
「あーいや、ワシはただ聞きたいだけで……」
「分かっています! それで良いのです! こうして尋ねる事が知識の始まり! デウディーン教団入信への第一歩になるのです! まずは、歴史から知る必要がありますね!!」
妙に鼻息が粗いラスティア。
そのまま意気揚々と、教団の歴史……(別にそこまで聞いてないのに)について語りはじめたのじゃった。
「名はデウディーン教団。それは千年前、転移魔法を使えるのがデウディーン様だけであり、他の人も試みましたものの、結局誰も使いこなせないままでした。その希少性が、非常に高く評価されたのです」
昨日聞いた話じゃ。ワシはふむふむと相槌をうつ。
「その評判は人々から関心を集めていきました。特に女性からの評判が良かったのです。それはもう、黄色い歓声が鳴り止まないほどに」
「ふむふ……む?」
「ある者はデウディーン様をイケオジと呼び、ある者は我こそが嫁であると豪語し、またある者は愛のあまり一生独身を貫き……そんな女性を中心に、いつの間にか集団が結成されていったのです。」
「ふ……ふむ? む?」
段々と、相槌がおぼつかなくなっていくワシ。
な、何じゃろう? 話がおかしな方向に進んでいくような……?
「やがて銅像も建てられた事で拝みに来る人が大勢集まり、集団は大きく膨らみました。当然、寄付金手付金も集まります。そんな潤沢な資金を元手に教会が国中に建てられ、女性だけに留まらず老若男女。デウディーン様のため、身も心も人生も捧げるハーレム教団へと拡大していったのです! ……これが、デウディーン教団設立の千年です!」
「……………………」
ワシはもう、頭が痛くなっておった。
しかしラスティアは止まらない。前を向いておるから、気づいておらんのじゃろうなぁ……。
さらにテンションをあげ、デウディーン教団のすごさとやらについて語り続けていくのだ。
「今や、信者は二千万人にのぼります! これは我が国、国家国民のほぼ全員なのです! サークルポリスでは、早朝からデウディーン様に挨拶をかわし、デウディーン様を見上げ、デウディーン様に土下座をし、デウディーン様を称え、デウディーン様のために聖歌を合唱し一日が始まります! これは、町のほぼ全員が行っている日常なのです!」
「なぜそこまでするのかって? 理由があります。そうする事で死後の幸福が約束されているからです! 神々に等しいデウディーンのそばで、安寧の時を過ごす約束を果たしていただけるからです!」
「なので我ら信者は祈り、毎日訴え続けていくのです! デウディーン様にとって、我々など矮小にも満たない小粒の存在。それでもなお見つけてもらうために、何度でも何度でも続けていく必要があるのです! いつか訪れる、幸福の訪れを胸に抱いて!」
「もはや国全体がデウディーン様を信じていると言っても過言ではありません! 教団が決めた事は、国民全員が決めた事。国民全員とはすなわち、国家である事! その決定は、たかが一人の王様にさえ覆えす事など叶わなぬのです!」
「…………………………」
ワシもう、疲れてしもうたわ。
何なの、コレ? 何でワシ、ここまで崇拝されてるん?
死後の評価が異常すぎるじゃろ……。
そもそも死後の幸福なんか約束しとらんし、幸せの訪れなんてできるはずなかろう……。
かつてのワシは死んだ。デウディーンの人生は終わったのだ。しかも千年前に。
なのになぜ、故人のためにそこまで熱狂的になれるのじゃろうか。信仰は勝手だが、程というものがあろう……。
ワシはため息を吐いていた。
ラスティアの話はまだ続いているが、もうしんどい。馬車の中で寝るとしよう……。
『お休みですか、マスター』
ワシの意識が朦朧とした所で、サージャが声をかけてきた。
「ああ、そうじゃ。だから放っといてくれ……」
『了解。ラスティアに伝えておきます。デウディーン教団語りの心地よさに癒やされたからもっと話してくれと』
「いや癒やされてねぇし聞きたくねぇし!」
脊髄反射でツッコんだワシじゃったが、少し経って、やっぱり眠ってしまったのじゃった――
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【サージャ】≪『第十一話をお読みいただき、ありがとうございます』
【サージャ】≪『デウディーン教団はマスターの想像以上に巨大で、歪な教団でした』
【サージャ】≪『まずマスターはイケオジではありません』
【サージャ】≪『可もなく不可もない程度の少年であり、中年であり、老年でした』
【サージャ】≪『それと、デウディーン教団の信者は、死後の扱いにこだわりがあるようですね』
【サージャ】≪『何度も祈り崇拝し続けていく事で、マスターのそばに置いてもらい、死後の幸福を約束してもらうとの事』
【サージャ】≪『マスターはそんな約束をした覚えがありませんし、言うまでもなく転生していますので、死後に会う事も叶いません』
【サージャ】≪『『彼らは何に対して祈り、何に対してすがっているのでしょうか』
【サージャ】≪『それでは、次回をお楽しみに』
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