追放されたので千年後に転生しました~その幼女、元転移転生魔術師の再来~

がっきー

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第一部 サークルポリス襲撃編

元転移転生魔術師、出発する 後編

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 教会の入口まであと僅か。

 ワシは、過去を振り返っておった。当時の出来事と、千年後に伝わっている内容が違っておったがの。

 ともかく、今はやるべき事がある。
 そう、今暴れているレッドドラゴンと話をするためじゃ。
 千年たって再び現れたレッドドラゴン。千年前でも娘は『レッドフレイム』を名乗っておった。

「もし子孫だというなら、ワシが止めてやらねばな」

 そう思い、扉を開いた。
 すると目の前に、ラスティアが立っておったのじゃ。

「どこに行かれるのです、マリー様」

 ラスティアが仁王立ちで構えておる。
 どういう事じゃ? 完全にまいたと思っておったのじゃが……。

「マリー様の行動を予想したのです。それにここは総本山。教団騎士しか知らない近道も多く隠されているのです」

 それで先回りできたのか……。

「ら、ラスティア……、予想……とは?」

「ずばり、レッドドラゴンのもとに行かれるのでしょう」

 正解じゃ。
 兵士や冒険者たちが動く前に、先に行って解決してしまおうと思っておったのじゃが……。

「マリー様は目立とうとしたがりません。が、トラブルや事件が起きた時は、我先に首を突っ込み転移魔法で解決されてきた。今回もレッドドラゴン討伐のため、真っ先に動くのではないかと予想していたのです」

「まあ、当たっておるな……。当たっておるが……」

「本題に入ります。私も連れていって下さい」

「……はぁ?」

 自分も行きたい?
 何を言っとるんじゃこヤツは。教団所属といえど騎士なのに、独断で動くつもりか?

「何でじゃ? お主の役目はワシをサークルポリスまで連れてくる事……。それ以上ついていく事もなかろう」

「いいえお供します! 短い期間ですがせっかく旅をしてきた仲です。ここで別行動なんてあんまりじゃありませんか!」

 食い下がってくるラスティア。一歩も引く様子はない。

「いやな、ちょっと出かけるだけなんじゃ。ちょっと散歩にでも行って、すぐに帰ってくる。お主はワシの帰りでも待っといてくれればいい」

「分かりました。でしたらこちらも考えがあります」

 何じゃ? 今度は改まってきおったぞ?

「私も教団騎士のはしくれ。一人残った私は任務の報告をせねばなりません。森でオーガやゴブリンに襲われた事から、マリー様に転移魔法で助けられた事まで逐一……」

「お、おい」

「それはもう、上層部に分かってもらうよう詳細に伝えなければなりません! 突如上空から現れる未知なる道具の数々! 包んだだけで人間を軽々持ち上げられるふろしき! 妖精を名乗るカラクリ! 鎧を瞬時に剥がす帯と民族衣装! 貫通したキズすら完治してしまう貼り物! 病みつきになるカップの麺! そしてゴブリンとオーガを打ち倒すデザート!」

「いや、ちょ……」

「それらを即座に呼び寄せ、自在に扱え状況を一変させる道具の数々! その類まれなる転移魔法と活躍はまさにデウディーン様そのもの! しかしマリー様はデウディーン様ではない! そう、報告せねばなりません! 第二の皇陛下すめらぎへいか・デウディーン世界教皇せかいきょうこう様! そう、デウディーン様に限りなく近い幼女がいると……!」

「わーわー! 分かった! 分かったから!」

 ものすごい大声でラスティアが脅迫してくる。信者に聞こえてはマズイと思い、大声で遮ろうとする。しかしワシは幼女。年上の少女に声で張り合えるはずもなかった。

「分かった! お主もついてこい! お主も一緒に行こう! レッドドラゴンの所まで行くんじゃ!」

「えっ! いいんですかマリー様!?」

「いいも何もお主が騒ぐからじゃろが! もうよい、さっさと来い!」

「やったぁ! このデウディーン教団所属騎士、ラスティア・ライラ・ラグーンティーン。この命をもって、マリー様についていく所存です!」

 剣まで抜いて誓ってきおったわい。
 全く、周りに聞こえるように騒いで脅迫してきたくせに、調子のいい事言いおって。

 デウディーンに限りなく近い幼女じゃと? ホットミルクの効果でワシをデウディーン本人と思わぬとはいえ、抜け穴というか強引な解釈をしおって……。

「それで、どうされるのです? いまや外壁の門周辺も厳戒態勢。モンスターの侵入を防ぐため、何人たりとも出入りが許されていないはずですが……」

「そうか。だったらこれを使えばいい」

 ワシとラスティアは広場まで来ていた。
 辺りはすっかり日が暮れて、月が出てきておる。

 ラスティアの疑問もよく分かる。
 じゃからこその、コレじゃろう?

「転移魔法、発動――!」

 ワシは手を掲げ、転移魔法を発動する。

「いでよ! ――どこまでも☆飛び風船!」

 掲げた手の先から稲妻が発生。
 そしてワシは掴み取る。膨らんだ風船を。

「なっ……! 丸い球体が浮かんでる……! これは一体……!」

「この中にはの、ガスが詰まっておるんじゃ」

「が、ガス……?」

「ヒモがあるじゃろ? ソイツを掴むんじゃ」

「こ、こうですか……うわっ!」

 風船のヒモを掴んだ瞬間、ラスティアの体が宙に浮く。
 ワシも風船のヒモを掴んだ。ゆっくりと空に向かって上昇していく。

「ま、マリー様 これ、どうなって……!」

「ただ捕まっておれ! この調子で聖域まで飛んで行くからな!」

「ええっ!」

 驚くラスティアに構わず、ワシは風船のヒモを前に引っ張る。すると宙に浮いた状態から前進していき、街の外に向かって進んでいく。すでに屋根より高く上昇していた。

 これこそ、どこまでも☆飛び風船の効果じゃ。

 風船の中にガスが詰まっており、そのおかげで宙に浮く事ができる。その力は強力で、人が掴んでも構わず浮かび上がる程じゃ。もちろん、目的地まで飛べるようにコントロールもできる。さっきワシがやったように、ヒモを行きたい方向に引っ張るだけ。 

「ついてこい、ラスティア。このまま壁を超える」

「お、お待ち下さいマリー様~!」

 懇願しながらも、ラスティアもついてきておる。
 要領のいいヤツじゃ。これなら風船に集中できそうじゃな。

 そう思っているうちに、ワシとラスティアは街を覆う外壁を通り過ぎていく。
 見上げる程に大きかった建造物。それが今や、ワシたちの足元じゃ。

「サージャよ。あとどれくらいで聖域とやらに着くかの」

『計算します。おおよそ一時間後には聖域が見えるでしょう』

 一時間か。
 それまで、空の旅でも楽しもうかの。

 月が高く昇った夜空の中。
 誰にも気づかれる事なく、ワシとラスティアは空を飛び続けるのじゃった。



************************

【サージャ】≪『第十五話をお読みいただき、ありがとうございます』

【サージャ】≪『千年前のマスターの話。レッドドラゴンとは、田中たかしと二人で戦っていたんですね』

【サージャ】≪『それにしても田中たかし、女神化する前から下衆でしたね』

【サージャ】≪『マスターもよく我慢して行動していたものです。親友と言っていましたが、マスターの趣味が特殊だったのでしょうか?』

【サージャ】≪『それでは、次回をお楽しみに』
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