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第一部 サークルポリス襲撃編
元転移転生魔術師、追い詰める 後編
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――パチン。
はさみ、切れる音。
レッドドラゴンの振り下ろしたツメは、ワシの体を切り裂かなかった。
「なっ……なっ……」
レッドドラゴンが驚き、声を漏らしておる。
短くなった、自分のツメを見て。
ま、早い話、ワシが切ったからじゃ。このツメ切り☆てこカット☆収納カバー付きでの。
「どうじゃ? 武器を無くした気分は? 降参する気になったか?」
「なっ……! これはお前がやったのか……!」
「そうじゃ、このツメ切り☆てこカット☆収納カバー付きは、さっきも言ったようにツメを切るための道具。どれほど強力で頑丈であろうとツメである限り、絶対に切る効果がある。分かったらもうこんな戦いはやめて、話し合いでも……」
「だまれ! まだ左手がある!」
そう叫んだレッドドラゴンは、もう片方の、切られていない方のツメを振り上げる。
やれやれ、まだ懲りていないようじゃな。仕方ない。今度はもう少し切ってやるか。
レッドドラゴンのツメが振り下ろされる。それに合わせ、ワシはツメ切り☆てこカット☆収納カバー付きを掲げた。
――パチパチパチパチパチ……!
ワシは五回、掴んだ手で握ってみせた。てこの原理の要領で。親指に力を入れて。
「なっ……あぁ……っ!」
レッドドラゴンが驚き、戸惑っておる。
無理もない。何せ今度は、ツメを全部切られてしまったのじゃ。
要するにじゃ。攻撃を仕掛けたら、相手にダメージを与えるどころか、逆に己の戦闘力を失ってしまったという訳じゃ。
「どこへ……どこにやった?」
うろたえながらも、レッドドラゴンはワシにキバを剥いてくる。
「私のツメを……どこにやった!? 返せ! 私の……私の大事な武器なんだぞ!」
「ほいほい、返してやるとも」
ワシは受け入れた。耳を塞ぎながら。余りに怒声がうるさかったからの。
快諾したワシは、ツメ切り☆てこカット☆収納カバー付きを天に掲げ振り回す。
すると、ツメ切りの先から、ワシの背丈くらいはある特大の白い塊が飛び出してきたではないか。
――ズドン、ズドン! とワシの周囲に散らばっていく。
「あ……これは……!?」
「お主のツメじゃ。返せと言うからホラ、出してやったぞ」
そう、これら白い塊の正体はレッドドラゴンのツメ。
その逃れようのない事実を目の当たりにしたのか、あヤツは震え始めておる。
「さて、どうする?」
ワシは一歩、レッドドラゴンに近づいてみせる。向こうは合わせるかのように後ずさった。
「もう少しツメで攻めてみるか? まだ片方の手に四本残っておろう。それとも足で攻めるか? 切られたら最後、踏ん張りがきかなくなってしまうがのぉ」
「な、何だ……何なんだ……」
レッドドラゴンの声が震えておる。加えて、叫んだ声も裏返っておった。
「何なんだお前は! 見た事もないおもちゃみたいな道具を出す! かと思えば私の攻撃を次々と退ける! そんな冒険者知らない、私はA級だぞ! 勇者でもなければ私をここまで……キサマ、一体……?」
「レットフォルトタッチネットデュース!」
さて、そろそろよかろう。ここまで追い詰めれば。
そろそろ話し合いの余地も生まれているじゃろうて。
ラスティアも、ボールがやってこないせいか、テニス用語を連呼しておるし。
「なぁ、お主こそ聞かなかったのか? ここでデウディーンとレッドフレイムが戦争終結を約束したという話を」
「な! それは人間側が一方的に占領したから……いや、なぜその話を幼女が知っている……?」
レッドドラゴンが戸惑いを隠せないでおる。
ふむ、何か気になる事を言ったのう……。しかしまだ弱いか。ワシのこの見た目では話し合いに応じてもらえんと見える。
仕方ない。ここはご先祖にも登場してもらおうか。
そう思ったワシは、両手を振り上げた。
「おい……何をしている?」
「お主に見せてやろうと思うての。我が魔法、【超転移魔法】を」
「なにぃ!?」
ワシは両手を天に掲げておった。その手に、絶大な魔力を込めて。
それに合わせるかのように、手のひらから稲妻が発生。――バチバチ! と音を鳴らす。
「ジャストジャストジャストワンボール! ツーゲームズオール!」
「ワシの転移魔法はの、異世界【日本】から道具を転移する魔法じゃ。……が、それだけでなく土地も転移できる」
「と、土地だと……?」
ふふ、驚いておる。
ワシの転移魔法の真の力に、もっと驚くがよい。
「では見せてやろう! ワシの超転移魔法! 土地転移! ――発動! おそれ……」
「オーバールールコレクションポイントスコアゲームスコアタイブレーク! ジャスト!」
「…………」
「ザヴェストオブマッチ、ラスティアサービスプレイ! ゲームセット、マッチウォンバイ、ラスティアトゥー……」
「ええいうるさい! 少し黙っとれ!」
その瞬間、手のひらから稲妻が消滅する。
気が散ったからじゃ。ラスティアの声で。
そして苛立ったワシは、なりきり☆テニスラケットを没収する。
「ゲームセット……げ、ゲームセッ……」
「転移魔法、消滅!」
「……はっ」
ワシはなりきり☆テニスラケットを消してみせる。
そしてラスティアは、正気にかえったのじゃった。
************************
【サージャ】≪『第十九話をお読みいただき、ありがとうございます』
【サージャ】≪『ラスティアとマスター、二人が繰り出す転移道具によりレッドドラゴンが追い詰められていきます』
【サージャ】≪『マスターはかつて竜人族と戦争終結を約束したはずなのに、相手の主張は食い違っている様子』
【サージャ】≪『先祖に登場してもらうとマスターは言っていましたが、その意味は果たして……』
【サージャ】≪『ちなみに、テニス用語を連呼していたラスティアですが、なりきり☆テニスラケットの副作用というか暴走に過ぎず、本来テニスにおいて用語を連呼する事などありません』
【サージャ】≪『田中たかしもその件は知っており、マスターからその転移道具で誘われた時に、「興味ねぇしそもそも叫ぶスポーツじゃねぇから」ときっぱり断ったとの事』
【サージャ】≪『転移魔法の効果により、本来の使い道とはズレてしまう所が、転移道具の欠点ですね』
【サージャ】≪『それでは、次回をお楽しみに』
はさみ、切れる音。
レッドドラゴンの振り下ろしたツメは、ワシの体を切り裂かなかった。
「なっ……なっ……」
レッドドラゴンが驚き、声を漏らしておる。
短くなった、自分のツメを見て。
ま、早い話、ワシが切ったからじゃ。このツメ切り☆てこカット☆収納カバー付きでの。
「どうじゃ? 武器を無くした気分は? 降参する気になったか?」
「なっ……! これはお前がやったのか……!」
「そうじゃ、このツメ切り☆てこカット☆収納カバー付きは、さっきも言ったようにツメを切るための道具。どれほど強力で頑丈であろうとツメである限り、絶対に切る効果がある。分かったらもうこんな戦いはやめて、話し合いでも……」
「だまれ! まだ左手がある!」
そう叫んだレッドドラゴンは、もう片方の、切られていない方のツメを振り上げる。
やれやれ、まだ懲りていないようじゃな。仕方ない。今度はもう少し切ってやるか。
レッドドラゴンのツメが振り下ろされる。それに合わせ、ワシはツメ切り☆てこカット☆収納カバー付きを掲げた。
――パチパチパチパチパチ……!
ワシは五回、掴んだ手で握ってみせた。てこの原理の要領で。親指に力を入れて。
「なっ……あぁ……っ!」
レッドドラゴンが驚き、戸惑っておる。
無理もない。何せ今度は、ツメを全部切られてしまったのじゃ。
要するにじゃ。攻撃を仕掛けたら、相手にダメージを与えるどころか、逆に己の戦闘力を失ってしまったという訳じゃ。
「どこへ……どこにやった?」
うろたえながらも、レッドドラゴンはワシにキバを剥いてくる。
「私のツメを……どこにやった!? 返せ! 私の……私の大事な武器なんだぞ!」
「ほいほい、返してやるとも」
ワシは受け入れた。耳を塞ぎながら。余りに怒声がうるさかったからの。
快諾したワシは、ツメ切り☆てこカット☆収納カバー付きを天に掲げ振り回す。
すると、ツメ切りの先から、ワシの背丈くらいはある特大の白い塊が飛び出してきたではないか。
――ズドン、ズドン! とワシの周囲に散らばっていく。
「あ……これは……!?」
「お主のツメじゃ。返せと言うからホラ、出してやったぞ」
そう、これら白い塊の正体はレッドドラゴンのツメ。
その逃れようのない事実を目の当たりにしたのか、あヤツは震え始めておる。
「さて、どうする?」
ワシは一歩、レッドドラゴンに近づいてみせる。向こうは合わせるかのように後ずさった。
「もう少しツメで攻めてみるか? まだ片方の手に四本残っておろう。それとも足で攻めるか? 切られたら最後、踏ん張りがきかなくなってしまうがのぉ」
「な、何だ……何なんだ……」
レッドドラゴンの声が震えておる。加えて、叫んだ声も裏返っておった。
「何なんだお前は! 見た事もないおもちゃみたいな道具を出す! かと思えば私の攻撃を次々と退ける! そんな冒険者知らない、私はA級だぞ! 勇者でもなければ私をここまで……キサマ、一体……?」
「レットフォルトタッチネットデュース!」
さて、そろそろよかろう。ここまで追い詰めれば。
そろそろ話し合いの余地も生まれているじゃろうて。
ラスティアも、ボールがやってこないせいか、テニス用語を連呼しておるし。
「なぁ、お主こそ聞かなかったのか? ここでデウディーンとレッドフレイムが戦争終結を約束したという話を」
「な! それは人間側が一方的に占領したから……いや、なぜその話を幼女が知っている……?」
レッドドラゴンが戸惑いを隠せないでおる。
ふむ、何か気になる事を言ったのう……。しかしまだ弱いか。ワシのこの見た目では話し合いに応じてもらえんと見える。
仕方ない。ここはご先祖にも登場してもらおうか。
そう思ったワシは、両手を振り上げた。
「おい……何をしている?」
「お主に見せてやろうと思うての。我が魔法、【超転移魔法】を」
「なにぃ!?」
ワシは両手を天に掲げておった。その手に、絶大な魔力を込めて。
それに合わせるかのように、手のひらから稲妻が発生。――バチバチ! と音を鳴らす。
「ジャストジャストジャストワンボール! ツーゲームズオール!」
「ワシの転移魔法はの、異世界【日本】から道具を転移する魔法じゃ。……が、それだけでなく土地も転移できる」
「と、土地だと……?」
ふふ、驚いておる。
ワシの転移魔法の真の力に、もっと驚くがよい。
「では見せてやろう! ワシの超転移魔法! 土地転移! ――発動! おそれ……」
「オーバールールコレクションポイントスコアゲームスコアタイブレーク! ジャスト!」
「…………」
「ザヴェストオブマッチ、ラスティアサービスプレイ! ゲームセット、マッチウォンバイ、ラスティアトゥー……」
「ええいうるさい! 少し黙っとれ!」
その瞬間、手のひらから稲妻が消滅する。
気が散ったからじゃ。ラスティアの声で。
そして苛立ったワシは、なりきり☆テニスラケットを没収する。
「ゲームセット……げ、ゲームセッ……」
「転移魔法、消滅!」
「……はっ」
ワシはなりきり☆テニスラケットを消してみせる。
そしてラスティアは、正気にかえったのじゃった。
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【サージャ】≪『第十九話をお読みいただき、ありがとうございます』
【サージャ】≪『ラスティアとマスター、二人が繰り出す転移道具によりレッドドラゴンが追い詰められていきます』
【サージャ】≪『マスターはかつて竜人族と戦争終結を約束したはずなのに、相手の主張は食い違っている様子』
【サージャ】≪『先祖に登場してもらうとマスターは言っていましたが、その意味は果たして……』
【サージャ】≪『ちなみに、テニス用語を連呼していたラスティアですが、なりきり☆テニスラケットの副作用というか暴走に過ぎず、本来テニスにおいて用語を連呼する事などありません』
【サージャ】≪『田中たかしもその件は知っており、マスターからその転移道具で誘われた時に、「興味ねぇしそもそも叫ぶスポーツじゃねぇから」ときっぱり断ったとの事』
【サージャ】≪『転移魔法の効果により、本来の使い道とはズレてしまう所が、転移道具の欠点ですね』
【サージャ】≪『それでは、次回をお楽しみに』
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