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第二部 出会いと再会編
元転移転生魔術師、感慨深くなる 前編
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『マスター。エルフが起きています』
サージャの呼び掛けに、ワシは胸がドキリ、と反応した。
振り返ると、確かにエルフが目をあけていたのじゃ。
横になったままじゃが、不思議そうに見る眼差しで、ワシの方を向いておる。
ワシは少し、冷や汗をかいていたね。さっきの戦いを見られ、ワシの正体に気づかれたりでもしたら、面倒な事になるのは間違いない。あの、ラスティアの時のように……。
ワシは唾を飲み込んだ。
まだ大丈夫、戦いが終わった直後に目を覚ましたんだと、言い聞かせながら。
「あ、エルフのお姉さん。目を覚ましたんだねー、大丈夫ー?」
とりあえず、幼女のフリをする。
エルフはコクリ、と頷いた。
「いつ目覚めたのー? 体はもう平気ー?」
「結構前から。うねうねした生き物か何かが、服の中に入ってきて……」
ワシは血の気が引いたね。
あのタオルか……。エルフが喘いどった時点で、起きてしまった訳じゃな。
……言いにくそうにしておるの。恥ずかしそうに、頬が少し赤く染まっておる。
「ご、ごめんなさい。あの変なのが、私の体中を動き回って、思わず変な声が出ちゃったから、寝たフリで誤魔化そうと……」
「えーと、さっきまでの戦いは……?」
「最初から最後まで。見ていたわ」
あちゃー。最初から最後までかー。
「すごいわアナタ。こんなに手際のいい回復……体が弱っていたハズなのにあっさり治して、一瞬で刻印を拭き取って、おまけにB級クラスのモンスターをあっという間に倒すなんて……こんなのあり得ないわよ」
エルフがゆっくりと上体を起こしていく。
そしてワシを見る目が、尊敬する人に対する、輝いた眼差しへと変わっていく様子が分かった。
こりゃマズイ……。そう思いながら、ワシは必死の抵抗をする。
「えー、そうかなー? これ位、回復魔法使える人なら誰でも出来ると思うけどなー?」
「そんな訳ないじゃない!」
急に、エルフの語気が強くなった。
「そもそも、魔法で服も体調も治すなんて、とてもじゃないけど考えられないのよ!」
「そ、そう?」
「回復魔法は確かに、傷を治し、毒を癒す効果がある。けど実際は、モンスターや冒険者同士で受けた、傷や状態異常に限られるの。それ以外の傷や病気では効果が低いし、効かないなんてザラよ」
「そ、そうなの?」
語られる衝撃の真実。
回復魔法って、思ったより融通が効かんかったのか……。
「それに、さっきまで私、川に流されて体温も落ちていただろうし、死にそうだったハズ。それをこうも衣服も乾いて、しかも、体が暖かい……。こんな手際の良さ、魔法でこなせるなんて考えられない」
「へ? そ、そうなん?」
「あのね。魔法ってね、攻撃系統に分類される物はそれしか使えない物なの」
エルフの追及は、これだけで終わらない。
ワシの頭の整理が終わらない内に、エルフが魔法の真実を語っていく。
「攻撃魔法にね、火系統や水、氷とか属性があるのは知ってるでしょ? けどそれら魔法って、威力の下限が決まっているの。例えば意図的に威力を弱めて焚き火に使おう、肉を焼いて食べられるようにしよう……なんて出来ない。そんな事したら、初級魔法でも黒い炭になるだけよ」
え、ええ……。
そ、そうなん……。
要するに、攻撃魔法は生活には使えんって事か……。
「それに刻印だって……呪いの類いと同じよ。普通は教会にでも行かないと解ける物じゃないわ。おまけに、村や町を一つ滅ぼせるモンスターが潜んでいたのに……」
「…………」
これ、ワシ、マズイ事してもうたかのう……。
ワシがやった一連の流れって、普通じゃ無かったって事かのう……。
ダークアラクネの件は、まだ分かる。
しかし、魔法の件は分からんかった……。
言われてみれば、千年前も冒険者以外の一般庶民が、火の魔法や水の魔法で料理や家事をこなしている所を見た事が無かったわい……。
回復魔法もそうじゃ。
なぜ薬草や包帯など、治療用の道具が揃っておったのか。
なぜ病院があり、医者がおり、苦しむ患者が存在したのか。
単に、MPの消耗を抑えるだけじゃなかったのじゃな……。
――攻撃魔法の、威力の下限は変えられない。
――回復魔法は、モンスターもしくは冒険者につけられた傷と、状態異常しか治せない。
考えてみればワシ、転移、転生魔法以外の魔法って使えんのじゃ。
だから、そこん所の常識をよく知らんかったのじゃな……。
まあ、確かに魔法がそこまで便利なら、冒険者以外の庶民の生活にも、幅広く浸透しとるはずじゃろうし……。
「やっぱり……」
エルフが呟く。
ワシは思わず唾を飲んだ。
「あの道具の使いように、手際の良さ。やっぱり、アナタ……」
ああ、これ、来るな。
間違いなく来る、コレ。
「デウディーン様……ですよね?」
ほらやっぱり。
パターン入ったよコレ。
サージャの呼び掛けに、ワシは胸がドキリ、と反応した。
振り返ると、確かにエルフが目をあけていたのじゃ。
横になったままじゃが、不思議そうに見る眼差しで、ワシの方を向いておる。
ワシは少し、冷や汗をかいていたね。さっきの戦いを見られ、ワシの正体に気づかれたりでもしたら、面倒な事になるのは間違いない。あの、ラスティアの時のように……。
ワシは唾を飲み込んだ。
まだ大丈夫、戦いが終わった直後に目を覚ましたんだと、言い聞かせながら。
「あ、エルフのお姉さん。目を覚ましたんだねー、大丈夫ー?」
とりあえず、幼女のフリをする。
エルフはコクリ、と頷いた。
「いつ目覚めたのー? 体はもう平気ー?」
「結構前から。うねうねした生き物か何かが、服の中に入ってきて……」
ワシは血の気が引いたね。
あのタオルか……。エルフが喘いどった時点で、起きてしまった訳じゃな。
……言いにくそうにしておるの。恥ずかしそうに、頬が少し赤く染まっておる。
「ご、ごめんなさい。あの変なのが、私の体中を動き回って、思わず変な声が出ちゃったから、寝たフリで誤魔化そうと……」
「えーと、さっきまでの戦いは……?」
「最初から最後まで。見ていたわ」
あちゃー。最初から最後までかー。
「すごいわアナタ。こんなに手際のいい回復……体が弱っていたハズなのにあっさり治して、一瞬で刻印を拭き取って、おまけにB級クラスのモンスターをあっという間に倒すなんて……こんなのあり得ないわよ」
エルフがゆっくりと上体を起こしていく。
そしてワシを見る目が、尊敬する人に対する、輝いた眼差しへと変わっていく様子が分かった。
こりゃマズイ……。そう思いながら、ワシは必死の抵抗をする。
「えー、そうかなー? これ位、回復魔法使える人なら誰でも出来ると思うけどなー?」
「そんな訳ないじゃない!」
急に、エルフの語気が強くなった。
「そもそも、魔法で服も体調も治すなんて、とてもじゃないけど考えられないのよ!」
「そ、そう?」
「回復魔法は確かに、傷を治し、毒を癒す効果がある。けど実際は、モンスターや冒険者同士で受けた、傷や状態異常に限られるの。それ以外の傷や病気では効果が低いし、効かないなんてザラよ」
「そ、そうなの?」
語られる衝撃の真実。
回復魔法って、思ったより融通が効かんかったのか……。
「それに、さっきまで私、川に流されて体温も落ちていただろうし、死にそうだったハズ。それをこうも衣服も乾いて、しかも、体が暖かい……。こんな手際の良さ、魔法でこなせるなんて考えられない」
「へ? そ、そうなん?」
「あのね。魔法ってね、攻撃系統に分類される物はそれしか使えない物なの」
エルフの追及は、これだけで終わらない。
ワシの頭の整理が終わらない内に、エルフが魔法の真実を語っていく。
「攻撃魔法にね、火系統や水、氷とか属性があるのは知ってるでしょ? けどそれら魔法って、威力の下限が決まっているの。例えば意図的に威力を弱めて焚き火に使おう、肉を焼いて食べられるようにしよう……なんて出来ない。そんな事したら、初級魔法でも黒い炭になるだけよ」
え、ええ……。
そ、そうなん……。
要するに、攻撃魔法は生活には使えんって事か……。
「それに刻印だって……呪いの類いと同じよ。普通は教会にでも行かないと解ける物じゃないわ。おまけに、村や町を一つ滅ぼせるモンスターが潜んでいたのに……」
「…………」
これ、ワシ、マズイ事してもうたかのう……。
ワシがやった一連の流れって、普通じゃ無かったって事かのう……。
ダークアラクネの件は、まだ分かる。
しかし、魔法の件は分からんかった……。
言われてみれば、千年前も冒険者以外の一般庶民が、火の魔法や水の魔法で料理や家事をこなしている所を見た事が無かったわい……。
回復魔法もそうじゃ。
なぜ薬草や包帯など、治療用の道具が揃っておったのか。
なぜ病院があり、医者がおり、苦しむ患者が存在したのか。
単に、MPの消耗を抑えるだけじゃなかったのじゃな……。
――攻撃魔法の、威力の下限は変えられない。
――回復魔法は、モンスターもしくは冒険者につけられた傷と、状態異常しか治せない。
考えてみればワシ、転移、転生魔法以外の魔法って使えんのじゃ。
だから、そこん所の常識をよく知らんかったのじゃな……。
まあ、確かに魔法がそこまで便利なら、冒険者以外の庶民の生活にも、幅広く浸透しとるはずじゃろうし……。
「やっぱり……」
エルフが呟く。
ワシは思わず唾を飲んだ。
「あの道具の使いように、手際の良さ。やっぱり、アナタ……」
ああ、これ、来るな。
間違いなく来る、コレ。
「デウディーン様……ですよね?」
ほらやっぱり。
パターン入ったよコレ。
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