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第2章 イグニス国編
4 国王対決
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「100人の衛兵が見えておらぬとは、やはり貴様の目は節穴らしいな。たかがガキ3人では、どうにもならぬことを、思い知るがいい」
そう言って蔑むような目つきで僕たちを見るエストゥス国王。
僕は伝心魔法で銀髪兄妹に作戦を伝え、
「つまり貴方は、僕に服従するつもりはないのですね」
「衛兵。この愚か者どもを、死なぬ程度に懲らしめてやれ。もう二度と生意気な口をきけぬようにな」
エストゥス国王が命じると、衛兵たちが一斉に攻撃を開始した。
さすがにこれほどの攻撃を受け続けたら、防御魔法は長くもたない。
僕たちがエストゥス国王を目掛けて突進すると、多くの衛兵が立ちふさがった。
僕は日本刀で衛兵の手を斬りつけて、魔法を使えないようにしていく。
すると衛兵たちが悲鳴をあげて退き、僕たちは一気に階段を駆け上がる。
エストゥス国王の喉元に刀を突きつけた僕は、
「貴方が選んだのは、討ち取られる方、でしたよね」
「ふ、服従する。だから殺さないでくれ」
恐怖で青ざめたエストゥス国王が、声を絞り出した。
まだ二度目の実戦にもかかわらず、上出来な結果に大満足。
これもルドベキアの容赦ない猛特訓の成果である。
その後エストゥス国王と衛兵全員に、僕たちへの忠誠を誓わせた。
そして誓いを破ると死ぬことを伝えるも、この国に誓約魔法はないらしく、疑っているようだ。
衛兵に幼竜の鎖を外させていると、背後から悲鳴があがった。
振り向くと、ひとりの衛兵が干からびてミイラになっていく。
あれだけ警告したにもかかわらず、僕たちに攻撃しようとしたらしい。
片隅で怯えているエストゥス国王を呼ぶと、彼は血相をかえて駆けてきた。
誓約魔法の効果は絶大で、つい先ほどまで僕たちを虫けらのごとく見下していた国王が、僕の前でひれ伏している。
「治癒魔法使いを集めて、幼竜と衛兵たちを治癒させてください」
「はい」
「それから僕たちが、この国を支配したことは、口外厳禁とします。貴方の配下にも、秘密を徹底させてください」
「はい」
つまり平常を装い、これまで通りエストゥス国王がイグニス国を治める。
そうしないとセルウス国が、民から反感を買うのは必至だからな。
こんな大国を治めるなんて、面倒なことはやってられない、というのもあるけどね。
「それと奴隷たちを解放して、国民と同じ扱いにすること。奴隷たちの生活を保証してください」
「はい」
忠実な下僕然として、僕の指示に従うエストゥス国王。
一通り指示し終えると、僕は蹲る幼竜の元へ行き、
『治癒は終わったけど、調子はどう? まだ具合の悪いところはある?』
『もう大丈夫だよ。どこも痛くない。ありがとう。お兄ちゃん』
嬉しそうに顔をあげる幼竜。
『それは良かった。僕はヤスと言うんだ。君の名は?』
『ボクはルークス』
『よろしくね。ルークス。彼女はカトレアで、彼はシオンと言うんだ』
可愛いと言って、カトレアが近づくと、ルークスは怯えた表情で後退りした。
どうやらルークスは、僕以外の人間が恐ろしいようだ。
『ルークス。この二人は僕の大切な仲間で、家族のようなものなんだ。僕と同じで、君の味方だから、怖がらなくていいんだよ』
『ヤスお兄ちゃんの……家族?』
『うん。彼女は君と仲良くなりたくて、抱きしめようとしたんだ。ルークスはママに抱かれたことがあるでしょ。それと同じだよ』
『ママと一緒……なら……いいよ……抱きしめても』
許可を得たことをカトレアに知らせると、彼女は優しく幼竜を抱きしめた。
はじめは強張っていたルークスだが、カトレアの思いが通じたのか、まるで仔犬のように彼女の頬をなめ始める。
そのあと僕と銀髪兄妹は、ルークスのママを捜すため、王宮を後にした。
僕たちはグリプスに乗って、先頭を飛ぶルークスに付いて行く。
ママの行方はわからないというので、ドラゴンの巣を目指した。
そう言って蔑むような目つきで僕たちを見るエストゥス国王。
僕は伝心魔法で銀髪兄妹に作戦を伝え、
「つまり貴方は、僕に服従するつもりはないのですね」
「衛兵。この愚か者どもを、死なぬ程度に懲らしめてやれ。もう二度と生意気な口をきけぬようにな」
エストゥス国王が命じると、衛兵たちが一斉に攻撃を開始した。
さすがにこれほどの攻撃を受け続けたら、防御魔法は長くもたない。
僕たちがエストゥス国王を目掛けて突進すると、多くの衛兵が立ちふさがった。
僕は日本刀で衛兵の手を斬りつけて、魔法を使えないようにしていく。
すると衛兵たちが悲鳴をあげて退き、僕たちは一気に階段を駆け上がる。
エストゥス国王の喉元に刀を突きつけた僕は、
「貴方が選んだのは、討ち取られる方、でしたよね」
「ふ、服従する。だから殺さないでくれ」
恐怖で青ざめたエストゥス国王が、声を絞り出した。
まだ二度目の実戦にもかかわらず、上出来な結果に大満足。
これもルドベキアの容赦ない猛特訓の成果である。
その後エストゥス国王と衛兵全員に、僕たちへの忠誠を誓わせた。
そして誓いを破ると死ぬことを伝えるも、この国に誓約魔法はないらしく、疑っているようだ。
衛兵に幼竜の鎖を外させていると、背後から悲鳴があがった。
振り向くと、ひとりの衛兵が干からびてミイラになっていく。
あれだけ警告したにもかかわらず、僕たちに攻撃しようとしたらしい。
片隅で怯えているエストゥス国王を呼ぶと、彼は血相をかえて駆けてきた。
誓約魔法の効果は絶大で、つい先ほどまで僕たちを虫けらのごとく見下していた国王が、僕の前でひれ伏している。
「治癒魔法使いを集めて、幼竜と衛兵たちを治癒させてください」
「はい」
「それから僕たちが、この国を支配したことは、口外厳禁とします。貴方の配下にも、秘密を徹底させてください」
「はい」
つまり平常を装い、これまで通りエストゥス国王がイグニス国を治める。
そうしないとセルウス国が、民から反感を買うのは必至だからな。
こんな大国を治めるなんて、面倒なことはやってられない、というのもあるけどね。
「それと奴隷たちを解放して、国民と同じ扱いにすること。奴隷たちの生活を保証してください」
「はい」
忠実な下僕然として、僕の指示に従うエストゥス国王。
一通り指示し終えると、僕は蹲る幼竜の元へ行き、
『治癒は終わったけど、調子はどう? まだ具合の悪いところはある?』
『もう大丈夫だよ。どこも痛くない。ありがとう。お兄ちゃん』
嬉しそうに顔をあげる幼竜。
『それは良かった。僕はヤスと言うんだ。君の名は?』
『ボクはルークス』
『よろしくね。ルークス。彼女はカトレアで、彼はシオンと言うんだ』
可愛いと言って、カトレアが近づくと、ルークスは怯えた表情で後退りした。
どうやらルークスは、僕以外の人間が恐ろしいようだ。
『ルークス。この二人は僕の大切な仲間で、家族のようなものなんだ。僕と同じで、君の味方だから、怖がらなくていいんだよ』
『ヤスお兄ちゃんの……家族?』
『うん。彼女は君と仲良くなりたくて、抱きしめようとしたんだ。ルークスはママに抱かれたことがあるでしょ。それと同じだよ』
『ママと一緒……なら……いいよ……抱きしめても』
許可を得たことをカトレアに知らせると、彼女は優しく幼竜を抱きしめた。
はじめは強張っていたルークスだが、カトレアの思いが通じたのか、まるで仔犬のように彼女の頬をなめ始める。
そのあと僕と銀髪兄妹は、ルークスのママを捜すため、王宮を後にした。
僕たちはグリプスに乗って、先頭を飛ぶルークスに付いて行く。
ママの行方はわからないというので、ドラゴンの巣を目指した。
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