異世界成り上がり奮闘記

千耀

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第2章 イグニス国編

15 究極の武器

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 身体からウロコを一枚、バキッと引きはがしたフラムさん。

『うわっ、何してんですか⁉ 痛くないんですか?』
『うむ。主殿のためなら……これくらい……何ともないぞ』
『泣きながら言わないでください!』

 フラムさんは、ウロコを棒状に変えて、

『このように魔力で、形や色、強度などを自在に変化できる。主殿が変化させるには鍛錬が必要だがな』

 マジっすかああああぁ!
 それって究極の武器じゃないですかああああぁ!
 刀や槍、鞭など、必要に応じて変えられるし、普段は腕輪にすれば持ち運びに困らず、武器だとは悟られない。
 だけど……

『ありがとうございます。でも、それじゃ駄目なんです』
『なぜ?』

 僕は折れた日本刀を掲げ、

『これの最大の強みは、物理攻撃だから防御魔法で防げないことです。だから魔法で作られた武器では意味がないんですよ』
『それなら問題ない。魔力を使うのは、形などを変化させるときだけ。それ以外は魔力は不要で、物理攻撃の武器と同じだからな』
『フラム様、ありがたく頂戴いたします』

 日本刀をポイと投げ捨てた僕は、恭しく頭を下げて両手でウロコの武器を拝受した。
 このロマン溢れる究極の武器に、ワクワクが止まらない。

『早速ですが、フラム様。これを自在に変化させるには、どうすればいいのですか?』
『そのウロコは妾の魔力にしか反応しない。それを主殿の魔力でも反応するようにする。まずはそれを握り締め、意識を掌に集中させるのだ』

 そう言うとフラムさんは、ニエの姿になり、僕の背後から体を密着させて、僕の手を掴んだ。

『何してんですか? フラムさん』
『こうやって妾の魔力に、主殿の魔力を混ぜて、ウロコに注ぎ込む。そうするれば少しずつ主殿の魔力に、反応するようになるのだ』
『……本当ですか? 鼻息が荒いですけど』
『こ、これは魔力を注入すると、いつもこうなるのだ。決して、主殿に抱きついて興奮しているわけではないからな』
『………………』
『疑うのなら、もうやらぬぞ』
『わーっ、ごめんなさい。もう二度と疑いませんから、許してください』
『うむ。わかれば良い。これからも朝晩、奉仕してやるからな』

 晩はお断りします。
 掌に集中、集中、集中……って、出来るか!
 フラムさんの鼻息が荒すぎるわ!
 そこに銀髪兄妹が現れて、

「あっ、ヤスさん。朝から何してんですか⁉」
「ヤス、貴様! ニエさんに何してんだ!」

 どう見ても、されているのは僕の方だろ!
 頼むから邪魔しないでくれ。

 僕は彼らに事情を説明した。
 するとフラムさんに、ウロコ武器が欲しいと懇願するも、断られるシオン。
 お前、ニエ姿のフラムさんと体を密着させたいだけだろ!

 その後、僕たちは銀髪兄妹の両親を捜すため、各地をまわった。
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