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第7章 エルデン帝国編
10 復興
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その後エルデン帝国に向かったブリギッタは、ヴェラントと共に偽ゼウス皇帝と偽教皇に扮して、ドラゴニア王国へ支援物資を送らせた。
翌日から男爵領を皮切りに、火竜たちの復興支援が急ピッチで行われた。
火竜たちは、資材の加工や運搬、畑仕事などの力仕事を軽々とこなした。
男爵とテオドールは、火竜に乗って各被災地を奔走し、エルデン帝国からの支援物資を運んだ。
瀕死の者には、男爵家秘伝の万能薬と称した、火竜の魔力を与え回復させた。
式典で顕彰されたテオドールは、敵を撤退させた立役者として人々に広く知られていた。
敵の侵略時に囚われた婦女子は、奴隷として売買され、非道の限りを尽くされる悲惨な末路が待っていた。
だがテオドールの活躍により、恐怖に震えながら絶望する彼女たちは解放され、救われたのである。
火竜に乗って颯爽と現れ、人々を支援していく英雄を、彼女たちは放っておかなかった。
行く先々で女性たちに取り囲まれたテオドールは、ちやほやと持て囃され、言い寄る女性が後を絶たなかった。
今や貴族たちにとって男爵は、最も無視できない存在である。
国王の寵愛を受け、火竜を使役し、民衆から絶大な人気を得ている英雄の父親だからだ。
また、男爵家秘伝の万能薬も、貴族たちの関心を引いた。
何人もの命を救ったという話に、尾ひれがついて不老不死の薬として伝わり、貴族たちが欲したのである。
各地で男爵とテオドールは、支援のお礼として貴族から食事に誘われた。
その席で貴族は大金を提示して、
「オークハート男爵。貴殿の万能薬を譲ってもらえぬか? 金ならいくらでも出すぞ」
「恐れながら、ご意向に沿うことは叶いません。万能薬は火竜様からの授かり物で、先の戦いで負傷した者以外に使用することは、禁じられているのです」
男爵は角を立てぬように上手く断った。
すると貴族は同席する娘を紹介し、
「わが娘はテオドール殿に心を奪われ、どうしても奥方になりたいと、深く望んでいるのですよ――」
などとテオドールに身内を嫁がせようとするも、これもまた男爵が見事に躱してみせた。
◇◆◇◆◇
男爵とテオドールは、支援先から帰る途中で王城を訪れ、国王に状況報告をした。
謁見の間で男爵が報告をしている間、国王の依頼によりテオドールは、セリーヌ王女の相手をさせられた。
王女の私室でテオドールは、セリーヌの要求に応じて、お姫様抱っこをしたのである。
テオドールが王城を去ってから、王女に責められて困っていた国王は、状況報告という名目で、男爵たちに王城を訪れるよう命じたのだ。
それを察して報告を早めに切り上げようとする男爵と、無駄話で時間稼ぎをしようとする国王。
謁見の間では、二人の父親が我が子のために奮闘していた。
◇◆◇◆◇
王城から出た男爵は、貴族や国王とのやり取りで疲れてしまい、思わずため息を漏らした。
「大丈夫? お、お父さん」
照れくさそうにテオドールは、初めて男爵をお父さんと呼んだ。
テオドールと男爵夫妻は、実の親子とわかった後も、お互いの呼び方を変えていなかった。
それは育ての親への配慮に加え、気恥ずかしさもあったからだ。
男爵は滝のように涙を流しながら喜んで息子を抱きしめた。
そして帰宅するや否や、妻に自慢したのである。
するとグレース夫人は期待の眼差しをテオドールに向け、
「お帰りなさい」
「ただいま」
「……お帰りなさい」
「? ただいま」
「お帰りなさい。テオ」
初めてテオと呼ばれ、ようやく気付いたテオドールは照れくさそうに、
「ただいま。お母さん」
グレース夫人も感涙して息子を抱きしめた。
翌日から男爵領を皮切りに、火竜たちの復興支援が急ピッチで行われた。
火竜たちは、資材の加工や運搬、畑仕事などの力仕事を軽々とこなした。
男爵とテオドールは、火竜に乗って各被災地を奔走し、エルデン帝国からの支援物資を運んだ。
瀕死の者には、男爵家秘伝の万能薬と称した、火竜の魔力を与え回復させた。
式典で顕彰されたテオドールは、敵を撤退させた立役者として人々に広く知られていた。
敵の侵略時に囚われた婦女子は、奴隷として売買され、非道の限りを尽くされる悲惨な末路が待っていた。
だがテオドールの活躍により、恐怖に震えながら絶望する彼女たちは解放され、救われたのである。
火竜に乗って颯爽と現れ、人々を支援していく英雄を、彼女たちは放っておかなかった。
行く先々で女性たちに取り囲まれたテオドールは、ちやほやと持て囃され、言い寄る女性が後を絶たなかった。
今や貴族たちにとって男爵は、最も無視できない存在である。
国王の寵愛を受け、火竜を使役し、民衆から絶大な人気を得ている英雄の父親だからだ。
また、男爵家秘伝の万能薬も、貴族たちの関心を引いた。
何人もの命を救ったという話に、尾ひれがついて不老不死の薬として伝わり、貴族たちが欲したのである。
各地で男爵とテオドールは、支援のお礼として貴族から食事に誘われた。
その席で貴族は大金を提示して、
「オークハート男爵。貴殿の万能薬を譲ってもらえぬか? 金ならいくらでも出すぞ」
「恐れながら、ご意向に沿うことは叶いません。万能薬は火竜様からの授かり物で、先の戦いで負傷した者以外に使用することは、禁じられているのです」
男爵は角を立てぬように上手く断った。
すると貴族は同席する娘を紹介し、
「わが娘はテオドール殿に心を奪われ、どうしても奥方になりたいと、深く望んでいるのですよ――」
などとテオドールに身内を嫁がせようとするも、これもまた男爵が見事に躱してみせた。
◇◆◇◆◇
男爵とテオドールは、支援先から帰る途中で王城を訪れ、国王に状況報告をした。
謁見の間で男爵が報告をしている間、国王の依頼によりテオドールは、セリーヌ王女の相手をさせられた。
王女の私室でテオドールは、セリーヌの要求に応じて、お姫様抱っこをしたのである。
テオドールが王城を去ってから、王女に責められて困っていた国王は、状況報告という名目で、男爵たちに王城を訪れるよう命じたのだ。
それを察して報告を早めに切り上げようとする男爵と、無駄話で時間稼ぎをしようとする国王。
謁見の間では、二人の父親が我が子のために奮闘していた。
◇◆◇◆◇
王城から出た男爵は、貴族や国王とのやり取りで疲れてしまい、思わずため息を漏らした。
「大丈夫? お、お父さん」
照れくさそうにテオドールは、初めて男爵をお父さんと呼んだ。
テオドールと男爵夫妻は、実の親子とわかった後も、お互いの呼び方を変えていなかった。
それは育ての親への配慮に加え、気恥ずかしさもあったからだ。
男爵は滝のように涙を流しながら喜んで息子を抱きしめた。
そして帰宅するや否や、妻に自慢したのである。
するとグレース夫人は期待の眼差しをテオドールに向け、
「お帰りなさい」
「ただいま」
「……お帰りなさい」
「? ただいま」
「お帰りなさい。テオ」
初めてテオと呼ばれ、ようやく気付いたテオドールは照れくさそうに、
「ただいま。お母さん」
グレース夫人も感涙して息子を抱きしめた。
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