夢魔

アルファ

文字の大きさ
1 / 1

夢魔

しおりを挟む
夜更けの十二時を回り、わたしは寝室の扉を開く····。わたしが目を閉じると、ふかふかとした布団の中央で"夢魔"が羽を拡げ、すぼめ、窓の隙間から飛び立って行った····。                                                                                                                     羽の生えたわたしの身体を包む細胞を取り払い、水の中へ入って行くと、小さな貝殻の中から妖精が現れた····。  薄紅色のその妖精は、瞬く間に蝶に変身し、水の中から抜け出たと思うや否や、大空に向かって飛び立って行った····。                                                  月や星々が楽し気な表情で笑っている。宇宙空間の中で····。太陽の光の中で····、七色変化のネックレスをつけたゼウスの娘が、バレエを踊っている····。木々の間を縫って、毒を持った大蛇が現れると、雷がわたしに狙いをつける····。  雷を避けるようにして、古い城の中へ身を隠すと、そこには吸血鬼がわたしを待ち受けていた····。  庭の片隅には、薔薇の花の植木が並んでいた····。刺にさされないようにして、花の下の茎の方を覗くと、カメムシが茎に針を突き立てていた····。カメムシは、吸血鬼に変身したかと思うと、わたしの身体に牙を突き立てる····。 わたしの生き血を吸った吸血鬼は、わたし自身の分身になる····。吸血鬼となったわたしは、コウモリに化けわたしの屋敷へ飛び立った····。僅かに開いた窓の隙間から寝室へ戻ると、丑三つ時の部屋の中でわたしは目を覚ました····。·····················································································································································································································································································································································································································································································································································································································                                                             
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

ある国立学院内の生徒指導室にて

よもぎ
ファンタジー
とある王国にある国立学院、その指導室に呼び出しを受けた生徒が数人。男女それぞれの指導担当が「指導」するお話。 生徒指導の担当目線で話が進みます。

女神に頼まれましたけど

実川えむ
ファンタジー
雷が光る中、催される、卒業パーティー。 その主役の一人である王太子が、肩までのストレートの金髪をかきあげながら、鼻を鳴らして見下ろす。 「リザベーテ、私、オーガスタス・グリフィン・ロウセルは、貴様との婚約を破棄すっ……!?」 ドンガラガッシャーン! 「ひぃぃっ!?」 情けない叫びとともに、婚約破棄劇場は始まった。 ※王道の『婚約破棄』モノが書きたかった…… ※ざまぁ要素は後日談にする予定……

婚約破棄?一体何のお話ですか?

リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。 エルバルド学園卒業記念パーティー。 それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる… ※エブリスタさんでも投稿しています

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

旧王家の血筋って、それ、敵ですよね?

章槻雅希
ファンタジー
第一王子のバルブロは婚約者が不満だった。歴代の国王は皆周辺国の王女を娶っている。なのに将来国王になる己の婚約者が国内の公爵令嬢であることを不満に思っていた。そんな時バルブロは一人の少女に出会う。彼女は旧王家の末裔だった。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

処理中です...