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夢魔
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夜更けの十二時を回り、わたしは寝室の扉を開く····。わたしが目を閉じると、ふかふかとした布団の中央で"夢魔"が羽を拡げ、すぼめ、窓の隙間から飛び立って行った····。 羽の生えたわたしの身体を包む細胞を取り払い、水の中へ入って行くと、小さな貝殻の中から妖精が現れた····。 薄紅色のその妖精は、瞬く間に蝶に変身し、水の中から抜け出たと思うや否や、大空に向かって飛び立って行った····。 月や星々が楽し気な表情で笑っている。宇宙空間の中で····。太陽の光の中で····、七色変化のネックレスをつけたゼウスの娘が、バレエを踊っている····。木々の間を縫って、毒を持った大蛇が現れると、雷がわたしに狙いをつける····。 雷を避けるようにして、古い城の中へ身を隠すと、そこには吸血鬼がわたしを待ち受けていた····。 庭の片隅には、薔薇の花の植木が並んでいた····。刺にさされないようにして、花の下の茎の方を覗くと、カメムシが茎に針を突き立てていた····。カメムシは、吸血鬼に変身したかと思うと、わたしの身体に牙を突き立てる····。 わたしの生き血を吸った吸血鬼は、わたし自身の分身になる····。吸血鬼となったわたしは、コウモリに化けわたしの屋敷へ飛び立った····。僅かに開いた窓の隙間から寝室へ戻ると、丑三つ時の部屋の中でわたしは目を覚ました····。·····················································································································································································································································································································································································································································································································································································································
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