6 / 15
第六話 助けに。
しおりを挟むーーあたしは、昨日、体育の後からマクと話さなかった。
他の女とヘラヘラしてるマクにムカついたのもあるけど、一番は怖かったからだ。体育の後、ゆりあやほかの女と、喋ってるとき、本当に楽しそうで、あたしが去ったのにすら、気付いてなかった。最初は、ムカついてたけど、もしかしたら、もうマクはあたしを必要としてないのかもしれないって言う不安の闇が、あたしを包み込んだの。
結局、あたしは、マクにお払い箱だって、言われるのが怖くて、嫌われたくなくて、その後、昨日マクが話しかけようとしてても、それを避け続けた。
水無瀬や幸也とも、マクが何言ってるか怖くて話せなかった。
でも、幸也の言う通り、あたしがウカウカしてるうちに、本当にマクが取られてしまうかもしれない。
今日こそは、仲直りをしなきゃと思って学校に早めに来て見たけど、マクはまだ来てなかった。
「なによ…あたしはこんなに悩んでるって言うのに」
しばらくして、みんなが登校してきた。
それでも、マクは来なかった。いつもはこの時間に来るのに。
マクは学校が大好きだ。
初めてきた日も、制服や授業に目を輝かせてたし。
休むはずはないよね。
と思ってたけど……
あと1分しかないわよ?!
もしかして、本当に来ないつもり?!
「ねぇ、湊崎さん」
イライラしていると、ゆりあがあたしに聞いてきた。
「マクくんから何か聞いてる?休むとか」
「聞いてない……けど」
あたしが言うと、ゆりあは安堵したような顔でわざわざ言ってきた。
「そうなの……。貴方に言っていないなら来るのよね。
だって、今日はチケットを渡す日だし」
そう言うと、ゆりあはうっとりした顔になった。
なに?自慢?知らないわよ!
てか、マウントでも取ってるつもり?
ムカつくわね
ーーチャイムが鳴り始めた。
みんなが席につく。諦めかけていたその時だった。
ーーガラッ
マクがきた!遅いわよ!ホントに
でもマクの顔を見た瞬間、あたしは言葉を飲み込んだ。
マクの顔はアザだらけだったのだ。
口元には、血が滲んでるのが見える。
顔は、いつになく沈んでた。
何があったの?
そう聞きたかったけど、喧嘩してるあたしが聞けるはずもなく、そのままマクは何も言わずに、席についた。
あたしの隣を素通りして。
ーーズキン
いつもだったら、マクは微笑んでくれるのに……
あたしは、あたしの中の心が、少しだけ砕けたように思った。
あたしは、本当にお払い箱になってしまったのかも知れない……
ホームルームが終わると、すぐにゆりあがマクの方へ近づいていった。
「どうしたの?マクくん、そのあざ」
ゆりあが密のように甘ったるい声で聞くと、あたしのすぐ隣で、マクの声がする。
「こけちゃったんだ。ーー気にしないで」
気にするわよ!どうやってこけたら、そんなあざができるのよ!バカじゃないの?!
どう考えても殴られてるじゃない!!
と今すぐにでも言いたかったが、全部心の中で叫ぶあたし。謝れば済む話なのに、ゆりあたちに見られてると思うと、へんなプライドが邪魔して、言えなかった。
はぁ。
あたしはため息をつく。
席は隣で、距離はこんなに近いはずなのに、なんで遠くかんじるのよ!
ていうか、ゆりあのやつ!!もう少しはなれなさいよね!!ベタベタ触ってんじゃないわよ!!
あたしのマクよ?!
そんなこと言えるはずもなく、あたしは普段しない読書をかましてた。必死に本に集中しようとするけど、マクが気になって、何も頭に入らない。
どこでそんなアザを、こさえてきたのよ!
「心配してくれてありがとう」
マクが、言った。
「湿布もらって来るから、気にしないで」
そう言うと、隣でガタッと立ち上がった音がした。
ゆりあは、マクの腕を掴んでいう。
「私も行くわ。心配だもの」
きっと、上目遣いで言っちゃってるんでしょうね
つくづく、ムカつく!
やっぱり、あたしがーーー
そう思って、またあたしは言葉を飲み込んだ。
行けるはずないか。
だって、喧嘩してるんだもん
ーーいや、マクに嫌われてしまったのかな……
「大丈夫。1人で行けるから」
いつになく、マクの声が沈んでる気がした。
てか、教室に入ってきた時から、暗かった。
絶対に、来る前に何かあったんだわ……
マクはゆりあが、何か言ってるのも聞かないで、そのまま教室を出ていったみたいだ。
ーーどうしちゃったの?本当に。
ゆりあが、悔しそうに唇を噛んでる。
でも、まぁ言い様よ
マクが出ていった後、しばらくして男子が数人教室から出て行く。
あたしが首を傾げていると、頭の上で幸也の声がした。
「めんどくせぇことになったな」
あたしは、何が何だか分からず幸也に尋ねる。
「どういうこと?」
「男子にまで目をつけられたんだよ」
水無瀬が頭をかきながら言った。
「ゆりあちゃんが大々的に絡んできたから」
あたしは、その一言で全てを理解する。
ゆりあに好意を持ってるやつが、マクに腹いせをしてるのね。情けない!自分の力でおとしなさいよ!
てか、マクも抵抗しなさい!あのバカ!!
そう考えながら、またマクが殴られる、と思った瞬間、無我夢中であたしは教室を出て、マクの後を全力で追ったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように
柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」
笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。
夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。
幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。
王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
公爵令嬢は結婚式当日に死んだ
白雲八鈴
恋愛
今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。
「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」
突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。
婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。
そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。
その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……
生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。
婚約者とその番という女性に
『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』
そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。
*タグ注意
*不快であれば閉じてください。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
元恋人が届けた、断りたい縁談
待鳥園子
恋愛
シュトルム辺境伯の末娘ソフィに隣国の帝国第二皇子から届けられた『縁談』の使者は、なんと元恋人のジョサイアだった。
手紙ひとつで別れることになったソフィは、素直になれずジョサイアから逃げ回る。
「私に届けなければ、彼は帝国に帰ることが出来ない」
そう思いようやく書状を受け取ろうと決意したソフィに、ジョサイアは何かを言い掛けて!?
どうぞ添い遂げてください
あんど もあ
ファンタジー
スカーレット・クリムゾン侯爵令嬢は、王立学園の卒業パーティーで婚約もしていない王子から婚約破棄を宣言される。さらには、火山の噴火の生贄になるように命じられ……。
ちょっと残酷な要素があるのでR 15です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる