父親に会うために戻った異世界で、残念なイケメンたちと出会うお話【本編完結】

ぴろ

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さようなら日本

まとめるとたぶん夫婦喧嘩

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確かに話せば長くなるな…
あれだ…犬も食わないやつだ…

「だからね、この世界で有紀を育てる訳にはいかないと思ったわけよ!」

はぁ…

「母さん一人残してるのもやっぱり心配じゃん!」

はぁ…

成る程…
母の長い長い話をまとめると…

俺が産まれたフォレスト王国は森と湖に囲まれた自然豊かな国らしい。
国王夫妻も兄の王太子も母を新しい家族として大切にしてくれて、俺が産まれると国中がお祭り騒ぎだったらしい…聖女様と勇者の子供だもんな、そりゃ盛り上がるわ…

綻びはおれが二歳になる頃…
幸せに浮かれていた母はこの世界の男女比に気が付いてなかった。

クールな竜人レオさんが奥様(男)と息子さん(三歳)を連れてやって来たのだ。
勝手に奥様は女性だと思っていた母は、ファンタジーの世界は同性同士でも子供が出来て、何なら男女比8:2だから同性婚の方が多い事を知り驚愕する。
男ばっかだな~同姓婚ありなんだ~くらいの感覚だったんだって。
兄嫁も姑も女性だったから、気が付かなかったのね。うんうん

そして事件は起こった…
初対面の息子くんが俺に駆け寄り、首筋に顔を埋めて首筋の匂いをクンクン嗅ぎながら言ったのだ…

「アキとけっこんしゅる」

目の前で息子が初対面の男(男の子)に首筋の匂いを嗅がれる衝撃の状況に、固まる母…
そんな母の隣で父親は言った…

「アキはもてるな~レオんとこなら安心だから、もう婚約しちゃう?」

母は生粋の日本人だ。
日本人の常識で二歳の息子に同性の婚約者というのはあり得ない…

母は激怒した…
夫と友人夫婦(夫)は何故激怒したのかわからなかった…

怒り冷めやらぬ母は王太子に相談する。
王太子エーミルは常識人だ、バカ夫を叱ってくれるだろうと…

確かに兄は弟を叱った…
婚約なんて大事な問題を勝手に決めるな、アキは他所の国なんかに嫁にはやらんと…
さすが常識人、普通はそうだよね~と聞いてたらエーミルの口からとんでもない言葉が飛び出したのだ…

「アキにふさわしいのはクラウスだろう!あんなにもお似合いの二人を見てるのに、お前は何とも思わないのかい?まだ早いと思ってたけど、そろそろ考えた方がいいな…」

母はこの世界が同性婚に寛容なだけではないことを知る。
優しいお兄ちゃんだと思っていたエーミルの長男クラウス(七歳)と、常識人だと思ってた義理の兄までもがアキを狙っていたなんて…

母は夫と連日話し合う。
価値観が違いすぎる二人の話し合いは、どこまで行っても平行線で…

母は悩んだ…
そして逃げた…

なるほど、ファンタジーの世界はBL天国だったという事か…
知ってるぞ、中学の時クラスの女子たちが騒いでたやつだ。
俺と春斗は最高のカップリングらしい…
いろんなポーズ取らされたな…黒歴史だ…

「女神様に頼んで次の桜の季節までの約束で日本に戻ったの」

女神様…いいのかそれで…

「おばあちゃんに孫もみせたかったし」

確かに、里帰り大事。
ん?じゃあなんで俺は今ここにいるの?

「いろいろあってね…」

はぁ…なるほど…
いろいろが何なのかめちゃくちゃ気になるけど、逃げ出してくれた事に感謝だな…















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