父親に会うために戻った異世界で、残念なイケメンたちと出会うお話【本編完結】

ぴろ

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婚約者達が富豪な件

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ホテルを出て昨日の工房へと向かう。

「ねぇルーカス、昨日の洋服とか水着とか支払い俺にさせて…」

うちのスパダリ婚約者様、絶対にお財布を出させないんだよ…この世界のホテルの支払いシステムも分からないんだけど、部屋をでたらそのままホテルの皆様に見送られて今です。

昨日のお土産はちゃんと俺のお金で買えたけど、それ以外はいつの間にか支払われてる。
俺の常識では十代カップルのデートは割り勘なんだ。
確かにルーカスは騎士団の副団長だけど、俺だってデート代は負担したい。

「アキ、不満そうな顔も可愛いけどそれはいいよ。婚約者の楽しみを奪うのは駄目だよ、ホントはお土産だって全部買ってあげたい」

「申し訳ないよ…俺だって仕事してるし…」

「アキ俺ね、メチャクチャお金持ちなの…アキが思うよりずっと…」

それはわかる。ロメオ辺境伯家はサファで一番の財力を誇るって聞いた。

「子供の頃から魔獣狩りで貯まったお小遣いだけでもアキが一生遊んで暮らせるくらいはあるし、騎士団だけじゃなくて副業もしてるからその収入もあるし…」

スケールが大きすぎてよく分からないけど、確かに俺が思うよりお金持ちかもしれない…副業って何?
どうしてお小遣いで一生遊んで暮らせるの?

「資産は多分サファの国家予算くらいある。俺は金のかかる趣味もないから安心して奢られて…」

はい?国家予算?
ちょっと待って…意味が分からない…

「ま、カイには敵わないけどな…あいつ多分世界一の富豪だぞ。アキがどんなに浪費しても絶対無くならないと思う」

待て…はい?
今なんと?

「カイが?何で?」

「あいつ子供の頃から魔道具開発しまくってるからな…アキの部屋にある魔道具は殆どカイが作ってる。これからシールズでも売れまくるだろうから、さらに儲かるな…」

もうよく分からないけど、特許的なものがカイにあるって事か?

「確かに思ってたよりずっとお金持ちなのは分かった…スケールが大きすぎだけど…」

「だからアキは俺達の隣で笑ってくれたらいいんだ」

なんか納得はいかないけど、ルーカスは譲る気はないんだろうな…

店に着くと昨日オーダーしたリングが出来上がっていた。店主に着けていかれますか?って聞かれたけど、ルーカスはカイも一緒の時に改めて渡したいって言うから、大きめのケースに三つ入れてもらった。

店を出てネルドの転移門へ向かう。
こっちに来る時は公爵邸から直接領主様のお屋敷に行ったから街の転移門を使うのは初めてなんだ。

日本のバスターミナルみたいな感じかな?
待合所には旅行カバンを持った人が沢山いた。
行き先を告げてお金を払いチケットを持って転移門の部屋に行く。

着いたのは教会の近くにある転移門、アハト達にお土産を渡してから公爵邸に帰るんだ。

楽しかった旅はおしまい。
ルーカスと手を繋いで教会を目指した。
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