11 / 36
おもちゃの硬貨
しおりを挟む
それを見つけたのは、実家にある勉強机を整理していた時だった。
引き出しの奥をガサガサと探り、ノスタルジーにふけっていた時のこと。
一枚の硬貨が出てきた。
表面には8の字を倒した無限のマーク。裏にはウルトラマンみたいな謎の絵柄。
その時、とても懐かしい感じがした。
このコインで遊んでいた。そんな気がした。
「これ、なんのおもちゃだっけな~」
何となくそのコインを財布にしまう。
その日の夕方、コインパーキングの駐車料金が払えなかった。
新しい500円玉に対応しておらず、都合の悪いことに1000円札までしか使えない。
財布の中に条件にあったお金は無く、わざわざコンビニで崩さなくてはならなかった。
そんな時、ふとあの硬貨に目が行く。
手に取り、硬貨投入口に入れる。
どうせ使えない。ガチャンと落ちてくるだけ。
と、思っていた。
「ご利用ありがとうございました。またのご利用お待ちしております」
くぐもった女性の声でそう聞こえた。
どうやら何の間違いか支払いが出来てしまった。
どうしよう、これ捕まるかな?
不安になった私は精算機の脇に書いてある番号に電話をかけた。
結論から言うと支払いに問題はなく、あったとしてもこちらの不手際なので気にしないでいいとの事。
なんと、あのおもちゃが使えたのだ。
がめつくもレシートを受け取るために、返却口に手を入れる。
そこには、あの硬貨が入っていた。
本来は使用できない硬貨やお釣り、返金の際にしか出てこないはず。
何故、この硬貨はここにあるのか。
何となく試してみたくなった。
まずは機械相手に支払うところで何度か使ってみた。
自販機、交通ICカードのチャージ、コンビニの自動精算機。
どれも問題なく使え、誰からも不審に思われない。
一番驚いたのは、どの支払いもピッタリの料金で済ませられること。
1枚の硬貨なのに端数までキリよく認識される。
段々と怖くなってきていた。
これは、犯罪なのだろうか。
そもそも意味がわからない。オカルト的な解釈だと悪魔による仕業。
それは流石に考えすぎだとしても、恐ろしく感じている。
財布を開き硬貨を見ようとした。
しかし、何度見てもそれは見当たらない。
先程まではあったはずなのだが、完全に無くしてしまったようだ。
その瞬間から、あれに対する懐かしさはどんどん薄れていった。
あんなもの持ってないよな。何だったんだろう。
不気味さを感じつつも少し安心する。
それと同時にもっと使っておけば良かったなと、お菓子がいっぱいに入ったレジ袋を見つめる。
引き出しの奥をガサガサと探り、ノスタルジーにふけっていた時のこと。
一枚の硬貨が出てきた。
表面には8の字を倒した無限のマーク。裏にはウルトラマンみたいな謎の絵柄。
その時、とても懐かしい感じがした。
このコインで遊んでいた。そんな気がした。
「これ、なんのおもちゃだっけな~」
何となくそのコインを財布にしまう。
その日の夕方、コインパーキングの駐車料金が払えなかった。
新しい500円玉に対応しておらず、都合の悪いことに1000円札までしか使えない。
財布の中に条件にあったお金は無く、わざわざコンビニで崩さなくてはならなかった。
そんな時、ふとあの硬貨に目が行く。
手に取り、硬貨投入口に入れる。
どうせ使えない。ガチャンと落ちてくるだけ。
と、思っていた。
「ご利用ありがとうございました。またのご利用お待ちしております」
くぐもった女性の声でそう聞こえた。
どうやら何の間違いか支払いが出来てしまった。
どうしよう、これ捕まるかな?
不安になった私は精算機の脇に書いてある番号に電話をかけた。
結論から言うと支払いに問題はなく、あったとしてもこちらの不手際なので気にしないでいいとの事。
なんと、あのおもちゃが使えたのだ。
がめつくもレシートを受け取るために、返却口に手を入れる。
そこには、あの硬貨が入っていた。
本来は使用できない硬貨やお釣り、返金の際にしか出てこないはず。
何故、この硬貨はここにあるのか。
何となく試してみたくなった。
まずは機械相手に支払うところで何度か使ってみた。
自販機、交通ICカードのチャージ、コンビニの自動精算機。
どれも問題なく使え、誰からも不審に思われない。
一番驚いたのは、どの支払いもピッタリの料金で済ませられること。
1枚の硬貨なのに端数までキリよく認識される。
段々と怖くなってきていた。
これは、犯罪なのだろうか。
そもそも意味がわからない。オカルト的な解釈だと悪魔による仕業。
それは流石に考えすぎだとしても、恐ろしく感じている。
財布を開き硬貨を見ようとした。
しかし、何度見てもそれは見当たらない。
先程まではあったはずなのだが、完全に無くしてしまったようだ。
その瞬間から、あれに対する懐かしさはどんどん薄れていった。
あんなもの持ってないよな。何だったんだろう。
不気味さを感じつつも少し安心する。
それと同時にもっと使っておけば良かったなと、お菓子がいっぱいに入ったレジ袋を見つめる。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
7
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる