せんしゃぶ!

yoshius

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第4話 公式戦突破せよ その3

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そっけない1回戦の始まり。
会場の鶴見緑地も客席はガラガラ。
選手の数のほうが多いんじゃないか?と言いたくなった。
それでも我が校は物珍しさもあって結構来ている。
松風先生、チアダンス部にみちるたち歴史部のメンバー、昨日見に来た美香、などなど。
高校にもなると保護者やら兄弟姉妹やら家族のたぐいはあまりいない。
かくいう俺の家族も単身赴任の母さんが月1度の帰宅で父さんとどこぞへ遊びに行った。
ギャラリーの連中もスマホゲームのタンクオブゾンビをいじるのが目立つ。
このタンクオブゾンビ、戦車の廃車体がゾンビのように襲ってくるゲームだがなかなか面白い。
まあ俺も小学時代からずっとやってるが。

「ふう、こんなもんか」
「まあ1回戦の堺丘だしな」

対戦相手の宇治川商業。
京都は宇治にある高校。
1週間前に発表されてからずっと動画も記録もずっと目を通してきた。
堺堀よりまだ強いらしい。地域決勝にも出たことがあるそうだ。

「いきなりこんなのと戦うのかよ」
「スポーツじゃよくあること」
俊也はその辺経験豊富なようだ。
「マンガやコスプレの世界でもそうだぜ」
守も経験あるらしい。

フィールドは平原に小山が堺丘の補給基地から見ると向かって左の位置にある。
山頂を取れば有利なのは言うまでもない。
「よろしくお願いします!」
ざっと見て敵は中国系の装備が多い。
99式戦車2人に8式歩兵戦闘車が1人、5式自走榴弾砲が2人。
「歩兵戦闘車が参謀、司令塔と見ていい。」
「基本に忠実なのが宇治商だ」
「こっちも基本で返そうぜ」
「ああ、そういいたいところだが」
晴が俺たちに耳打ちする。
「本気か?」
「ああ、教科書通りの堅物相手ならこっちのほうが効く」
5式自走榴弾砲が牽制兼ねて砲撃。99式戦車が1人、威力偵察とばかりに突っ込んでくる。
もう1人の99式戦車は8式歩兵戦闘車と煙幕張って自走砲を隠しにかかる。
煙幕張ってる方の戦車がキャプテン。
あらかたそのすきに山頂に陣取るつもりだろう
こっちも煙幕の中へ礼介がロケット砲を打ち込む。
突っ込んできた99式戦車の脇を俊也が回り込んで砲撃する。
とっさに防御してきた。
砲塔に当たる。
大したダメージではない。
それでも小破判定が出る。
「俊也、そこで足止めしてろ」
「了解」
「あいつら、そのすきに山の上から自走砲で砲撃って策だろう」。
いつの間にか煙幕は消え、自走砲ももう1人の99式戦車も見えない。
が、8式歩兵戦闘車が小山の影に隠れるのが見えた。
そう予想して晴は俊也と小競り合いしている99式戦車に自走砲を打ち込む。
俺たちも取り囲む。
あえてオトリに引っ掛かったふりをするわけだ。


俊也の敏捷さが99式の反撃をかわし、装甲をゴリゴリ削っていく。
「全員、離れろ!」
距離をおいていた礼介のロケット砲が発射される。
とっさに俊也は離れる。
子弾に分かれたロケット弾がバラバラと命中する。
「トドメだ!」
大破状態の99式戦車に俊也の主砲が炸裂!
撃破に追い込んだ。
だが俊也も小破。いまわの一発を食らったようだ。
俊也以外は山を四方から取り囲むよう移動する。

その間に山頂に連中は陣取っていた。

包囲網を敵戦車の射程範囲をやや出たあたりまで狭める。
俺と守は自走砲の砲撃をジグザグにかわしながら近づいていく。
向こうも歩兵戦闘車のミサイルやら自走砲の榴弾を浴びせてくる。
「8式は100mm砲も持ってるぜ、気をつけな」

山頂に煙幕を張り、その中から砲撃してくる。
山頂からの一斉攻撃でこちらを1人ずつ撃滅するつもりらしい。

次第に礼介に自走砲の砲撃が集中する。
まずは軽装甲の礼介から、のようだ。
「礼介、とりあえず反撃せず逃げ回れ」
「分かった」
99式の射程外を逃げ回る。
ミサイルと榴弾が雨のように降り注ぐ。
「こりゃ面白いことになってきた」
「晴、あんたの言うとおりになってきたな」
そう、敵を弾切れに追い込んで始末する。
中でも長距離攻撃できる自走砲と歩兵戦闘車のミサイルはくせ者だ。
おそらく歩兵戦闘車はある程度予備弾薬も持ち込んで山頂に陣取っているはず。
俺たち主力戦車の装甲でもダメージをかなり食らう。

ようやく弾切れになる。
煙幕も切れたらしい。
まさかここまで俺たちが逃げ切れるとは思ってなかったようだ。
俺と守、俊也の3人が斜面を上って包囲網を狭める。
麓から礼介と晴が攻撃する。
晴の砲撃が命中!歩兵戦闘車に撃破判定が出たようだ。
と、山頂から降りてきた99式戦車に遭遇。
すかさず99式戦車を俺は狙い撃った。
装甲のない箇所に当たる。
撃破!

残るは自走砲2人。
守が砲撃を食らう。
とっさの防御で中破に抑える。
と、礼介のロケット砲が山頂に降り注ぐ。
歩兵戦闘車が運び込んだ弾薬に着弾したようだ。
山頂で大爆発!
2人とも撃破判定が出た。

堺丘勝利!
それも5人とも残っての勝利。

「ふう、作戦負けか」
「なかなかの名勝負だったぜ」
「山頂はおめえらが取ったんだ。」
「スマホゲーなら勝利条件は山頂占領とかあるからな、あんたたちの勝ちかもよ」

「おめでとう!」
松風先生がかけよってきた。
「どうです、俺たち!」
「まずは1勝、だよね」
「そうですよ」
「戦車部にとっては大きな1勝だ」
「堺丘にとってもでしょ?」
「そうだよ、1回戦の堺丘を卒業したんだからさあ」
「だな」
さあ、次はどんな戦いになるのだろうか?

続く
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