闇に飲まれた謎のメトロノーム

八戸三春

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第二章

70話 ムラトのお料理

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「疲れましたね。お腹空きました」と、機嫌悪そうなアリスとお腹をさするムラトが俺に話しかけてきた。


「空、腹減った!」とアリスがつぶやいた。


外食を決めるときに、ムラトが俺に提案した。「おっけ。じゃあ外食するか」と俺が返事をすると、ムラトが驚くような提案をしてきた。「あ、やっぱ私の家で食べに行きませんか?」


家で食べるだって?俺はなぜそこまで飯にこだわるか知らないし、興味もないが、ムラトの提案にのることにした。「ああ、いいよ」と俺は答え、ムラトとアリスと一緒に車に乗って出発した。



繁華街を出て、住宅街の中を走る車の中で、俺たちはムラトの家に向かっていた。車は静かに進み、街の景色が次第に変わっていく。高層ビルや煌めく看板から離れ、木々が立ち並ぶ閑静な通りへと入っていく。


車で30分ほど経った後、ムラトが指を指しながら「止まって」と合図する。車から出ると、異様な雰囲気を漂わせるボロアパートが目の前に広がっていた。塗装がはがれ、錆が目立ち、天井の電球も点滅している。壁が剥がれ、天井はヒビだらけで今にも壊れそうだ。玄関は扉の下端と上端を細い針金で吊るしてあるだけで、どこか不安定な印象を与えていた。


俺とアリスは顔をしかめながら、恐る恐る扉に近づく。ムラトは平然として金属を擦る音がするドアを開けてくれた。

「どうぞ、靴を脱いで中に入ってください」と、ムラトが俺たちに言った。誰でも当たり前のお客さんの接待をする彼の姿勢に、俺は感心した。


俺たちは靴を脱ぎ、中に入る。しかし、足元からギシギシと軋む音が聞こえる。部屋の中に目を向けると、キッチンやテーブル、椅子など、最低限の生活必需品が揃っている。しかし、部屋は汚れており、疑問を感じざるを得なかった。


「これ、本当に家なのか怪しくなってきたな」と俺が言った。


ムラトは謝るような表情で俺の言葉を受け止めた。「すみません、少し荒れていますが、このアパートが俺の住まいなんです。」


その言葉に、俺は驚きを隠せなかった。彼の立場や才能を考えると、こんなところに住んでいるとは思わなかった。しかし、ムラトの身に何かあったのか、と心配になった。


「大丈夫か?なんでこんなところに住んでるんだ?」と俺が訊ねると、ムラトは微笑みながら答えた。「いや、特に問題はないです。このアパートは安くて便利なので、私にはちょうどいいんです。」


「お前って一人暮らしなの?メシとかどうしてんの?」俺は素朴な疑問を口にすると、ムラトは淡々とした表情で答えた。「外食は週に二回するけど、毎日料理で済ませてるよ」。彼の言葉に、俺は少し驚きを感じた。こんな状態のアパートで料理をするなんて、想像もしていなかった。


ムラトはそう言って台所に向かい、冷蔵庫から水が入ったペットボトルを取り出した。そして、俺たちに水を差し出すと、俺たちはその水を受け取ってのどが渇いていたのか一気に飲み干してしまった。水を飲み終わると同時に、ムラトが俺たちに告げた。「まずは座ってくつろいでください」と。


俺はムラトの言葉に従ってリビングの椅子に座ることにした。床は封筒の紙切れが散乱し、周囲には飛び回るコバエがいた。壁には何枚かの絵が貼り付けてあり、テーブルの上には包帯と消毒薬が置かれていた。この環境は、まるで窮屈なアパートの中で生活しているような感覚を促していた。


コバエが飛び回るのを鬱陶しく感じた俺は、つい呟いてしまった。その後、アリスも俺の隣に座った。


ムラトは冷静なまなざしで俺たちを見ながら、何か考え事でもしているのかと思わせる表情を浮かべていた。そして俺とアリスはリラックスしながらムラトを見つめた。「ところで今日は何を作るの?」

アリスが問いかけると、ムラトは笑みを浮かべながら言う。

そして、俺とアリスはリラックスしながらムラトを見つめた。部屋の中に漂う異様な雰囲気を忘れ、彼の料理に興味津々だった。


ムラトは笑みを浮かべながら答えた。「野菜カレーにするつもりだよ」彼の言葉に、期待が高まる。


ムラトは台所に立ち、包丁を握る。アリスは興味津々な様子でムラトの料理を見つめ、その手際の良い包丁さばきに注目していた。野菜を丁寧に切り、鍋に水と切った野菜、そしてスパイスを躊躇なく入れていく。彼の料理の手際は見事であり、その様子を見ているだけで、口の中がすでにカレーの香りで満たされるような気がした。


「すごいね、ムラト。手際がいいよ」と俺が感心しながら言うと、彼はにこやかに頷いた。「ありがとう、空。料理は芸術だから、楽しんでやってるんだ」。彼の言葉から、料理への愛情と自信が感じられた。


俺たちはムラトの料理が完成するのを楽しみに待ちながら、彼の技術と情熱に敬意を払った。そして、彼の手によって生み出される野菜カレーの香りが、部屋中に広がっていくのを感じながら、心地よいひとときを過ごした。数十分が経過すると、ムラトが味見をしながら「うん、美味しい」と呟いた。その言葉に、俺たちはさらに期待が高まった。ムラトはそう言うと、皿にご飯を盛り付けてその上に野菜カレーをかけた。スパイスの香りが鼻をくすぐり、食欲をそそった。俺は生唾を飲み込んだ。その音が聞こえたのか、ムラトは笑みを浮かべ、俺とアリスの料理をテーブルに置いた。


ムラトの手による野菜カレーは、見た目も美しく、香りも豊かだった。彼の料理に対するこだわりと技術が感じられ、俺たちはただただ感心するばかりだった。


テーブルに並んだ料理を前に、俺たちはムラトに感謝の気持ちを伝えた。彼のハンブルなアパートでの料理体験は、普段の生活から一瞬抜け出したような特別な時間となった。


「いただきます!」俺たちは揃って声をかけ、スプーンを取って料理を頬張った。その瞬間、口の中に広がる味は、想像以上の美味しさだった。野菜の甘みとスパイスの効いたカレーが絶妙に組み合わさり、舌の上で踊るような感覚を味わった。


ムラトの料理は、ただの食事以上のものだった。それは彼の心意気と情熱が詰まった料理であり、俺たちにとって忘れられないひとときとなった。



俺たちは無我夢中で野菜カレーを食べ続けた。一口、また一口と、スプーンをつけては美味しさを味わい、会話も忘れてしまうほどに。野菜のみずみずしさとスパイスの絶妙なバランスが、口の中で舌をくすぐる。その瞬間、世界のすべてがカレーの味と香りに包まれ、俺たちはただただ幸福な気持ちに包まれていた。


そしてあっという間に食べ終わると、俺は満足そうな表情を浮かべた。ムラトの手による料理は、期待以上の美味しさだった。


そんな俺を見たムラトは、嬉しそうに微笑んだ。「美味しかった?」俺が頷くと、彼は更に笑みを浮かべた。その笑顔は、彼の料理への自信と愛情がたっぷりと込められているように感じられた。


「ムラト、本当にありがとう。最高の料理だったよ」と俺は感謝の言葉を伝えた。


正直に言えば、その野菜カレーは本当に旨かった。まるで本場のカレーを食べに行ったかのような満足感に包まれた。この味わいを、この場で楽しめることが本当に幸せだった。

「うーん、なんか味薄いなー。美味しくなーい」

「ほー、じゃあ少し出汁の効いたカレーを振舞ってあげるよ」と、ムラトはニヤニヤ微笑んで言った。彼の言葉に、俺たちは眉をひそめながらで彼女を見つめた。


しかし、その瞬間、何かが起こった。ムラトが皿ごとカレーを切り裂くと、机が真っ二つになり、その衝撃で皿と机が粉々になった。アリスは顔を真っ青にして、口をパクパクさせている。その姿に俺も驚愕したが、それ以上に驚いたのは次の瞬間だった。


鋭く反り返った剣を手に持って、ムラトは微笑みながらアリスを見つめた。その姿はまるで異世界から現れたようで、俺たちは一瞬息を飲んだ。

しかし、ムラトは微笑みながら剣を振り回し続け、その姿はまるで剣士のようだった。彼の眼差しには何かが宿っているようで、俺たちは戸惑いながらも彼を見つめ続けた。


「今度私を舐めたら、貴方を神の生贄にしますから」と、アリスがムラトに言うと、彼女は猛スピードで土下座した。その姿に、俺たちは驚きと戸惑いを隠せなかった。


ムラトはその言葉に微笑みながら剣を鞘に仕舞い、アリスを命拾いした。彼の行動には、冗談であることがわかったが、それでも俺たちは不思議な気持ちになった。彼のジョークのセンスや独特の行動に、理解し難さを感じつつも、何か不思議な魅力を感じた。


その場に居合わせた俺たちは、どう反応すればいいのかわからなかった。笑えばいいのか、返せばいいのか、それともただ黙っているべきなのか。でも、ムラトの表情からは明らかに冗談でもあれば本気であることが伝わってきた。


結論として、アビリティーインデックス2位と123位のゲノム少女の間には、戦闘力を行使するという面での差しか埋まらないということが明らかになった。この差は、ある程度の恥ずかしさを含むものだ。もし戦闘が行われるとすれば、人間を舐めているアリスは神の生贄となり、殺神によって制裁を受けることになるだろう。そして、ロリコンはその行為の代償として死を迎えることになるだろう。


このような結論は、ただ単に戦闘能力や殺人衝動によるものではなく、人間の本質や倫理観にも触れるものだ。アリスの命乞いという行為は、彼女の本能的な恐れや弱さを表している。一方、殺人衝動を持つ者たちは、その欲求を満たすことで自身の力を示そうとする。そして、それらの行為は、倫理的な価値観や社会的な規範に反するものであり、それによって罰せられるべきだと考えられる。


この議論から、人間としての尊厳や正義の概念が浮かび上がる。俺たちは、個々の能力や行動だけでなく、他者への配慮や道徳的な判断も重要だということを理解しなければならないということ。
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