闇に飲まれた謎のメトロノーム

八戸三春

文字の大きさ
10 / 165
第五章

次々の敵

しおりを挟む
一方、空は発煙弾の爆発タイミングを見計らいながら異形の動きを注視していた。煙の中で、異形の赤黒い目が不気味に光り、その巨体が徐々に煙をかき分けるように動いているのが見える。



「今だ!」空は叫び、銃をフルオートで連射し、化け物の目を重点的に狙った。弾丸が異形の赤黒い目に当たると、異形は大きくのけぞり、痛みとも怒りともつかない低い唸り声を上げた。その瞬間、空は発煙弾のスイッチを押した。



「アリス、伏せろ!」空が叫ぶと、アリスはすぐにユキをかばうようにして地面に伏せた。



手榴弾が赤い閃光とともに爆発し、煙の中で大きな衝撃音が響いた。異形の巨体が煙に包まれ、その中で暴れる音が聞こえる。煙は周囲の視界を完全に遮り、爆発の熱が地面を焦がす。



「うまくいったか……?」空は息を切らしながら煙の中を凝視した。



爆発の煙が徐々に晴れていくと、異形の姿が見当たらなくなっていた。爆発の衝撃で周囲の木々が倒れ、地面には黒い焦げ跡と異形がいた痕跡だけが残されている。



「倒せたのか?」空が半信半疑で呟きながら、銃を構えたまま慎重に近づいた。



「気をつけて、まだ油断できない」アリスが警戒しながらユキを守る位置から少し前に出た。彼女の目は周囲を鋭く警戒している。



するとアリスは木々の方に気配を感じ取り、すぐに手を挙げて警告を発した。「待って!まだ何かいる……!」



その言葉に空も身構え、銃を再び構えた。爆発の中心地から少し離れた場所、木々の間に再び動く影が見えた。影はゆっくりと姿を現し、その異形の存在感はさっきの個体よりもさらに巨大で、不気味な輝きを放っていた。



「くそ……次のが来たってのか!」空は歯を食いしばりながら構えを崩さなかった。



アリスがユキの方に振り返り、「ユキはまだ意識が戻らない。私たちだけでやるしかないわ!」と叫んだ。



「アリス、俺たちで時間を稼ぐ。その間に何とかユキを安全な場所に移動させるんだ!」空が冷静に指示を出した。



アリスは一瞬逡巡したが、すぐに頷き、ユキを抱きかかえるようにして後退し始めた。「分かった。でも無理はしないで!」



空は彼女を見送りながら異形に向き直り、深く息を吸った。「さて、お前の相手は俺だ。来いよ……」



異形は再び低い唸り声を上げながら空に向かって動き出した。その巨体は木々をなぎ倒しながら前進し、圧倒的な力を誇示していた。



空は意を決し、異形の目のような器官を狙って正確な射撃を繰り返した。弾丸が命中するたびに異形は一瞬動きを止めるが、すぐに再び突進してくる。



「効き目が薄い……やば!?」



目の前に迫る異形の巨大な脚が、空のすぐ横をかすめて地面に叩きつけられた。その衝撃で土煙が上がり、空は体勢を崩しながらも咄嗟に後ろに跳んで距離を取った。



「硬すぎる……!」空は小声で呟き、弾倉を交換しながら再び狙いを定めた。



異形はその巨大な体を使い、さらに執拗に空を追い詰めてきた。地面を引き裂くような動きと、鋭利な刃のような脚が脅威を増している。空は必死にそれを回避しながら、弱点を探し続けた。



その時、後方からアリスの声が響いた。「おい!!これでも食らいな!!」



機関銃のような轟音が後方から鳴り響き、アリスが携行していた大型の火器で異形に集中砲火を浴びせていた。閃光が夜闇を切り裂き、弾丸の雨が異形の体に直撃する。



「ナイス!その火力ならいけるかもしれない!」空が叫び、アリスの方向に視線を送った。



「分かってる!でもこれ、弾が持たないわ!」アリスは手を休めることなく、目の器官を狙い撃ち続けていた。



弾丸が異形の表面を貫通し、ついに赤黒い液体が噴き出し始める。異形は金属的な悲鳴を上げ、動きが一瞬鈍った。その隙を逃さず、空もさらに攻撃を加えた。



しかし、危機を感じた異形は体から鱗を生やすようにして防御を固めた。それはまるで鎧が再生するかのような動きで、攻撃を跳ね返し始める。



「くそっ!防御を強化してきたぞ!」空が叫びながら射撃を続けるが、異形の再生速度は予想以上に速く、攻撃が効かなくなりつつあった。



「こんなのどうすれば……!」アリスも焦りを感じながら弾倉を交換した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

十二輝の忍神 ーシノビガミ― 第一部

陵月夜白(りょうづきやしろ)
歴史・時代
天明三年――浅間山が火を噴いた。 神の怒りに触れたかのように、黒い灰は空を塞ぎ、郷も田畑も人の営みも、容赦なく呑み込んでいく。噴火と飢饉が藩を蝕み、救いを求める声の裏で、名もなき影が蠢いた。灰の夜を踏むのは、血も温もりも失った“黒屍人”。誰が、何のために――。 その災厄に呼応するように、忍びの郷に封じられていた「十二輝の干支の珠」が、ひとつ、またひとつと眠りから解かれる。 珠は器を選び、器は力に喰われ、力は人を裏返す。 伊賀と甲賀の長い因縁、奪われる珠、引き裂かれる同胞。 そして、灰の国で拾い集められていく十二の輝きが揃う時、世界の秩序そのものが――動き出す。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...