闇に飲まれた謎のメトロノーム

八戸三春

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第五章

アビリティーインデックス2位 征服者

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「そのゲーム……俺が全員分投票してやるね」



「「ムラト!?」」空とアリスが同時に叫んだ。



ムラトがエリザベスの後ろに現れた瞬間、場の空気が凍りついたように感じられた。彼女の表情は無表情で、まるでエリザベスの後ろ盾であることを示すかのようだった。ムラトの登場により、状況はさらに不穏なものとなった。



「ムラト……お前、どうしてここにいるんだ……!」空が驚愕しながら問い詰めた。



エリザベスは満足そうに微笑み、ムラトの肩に軽く手を置いた。「あら?誰かと思ったら征服者じゃない」



「『征服者』だなんて、そんな称号に興味はない。」

ムラトの声は低く関心なかった。目の前にいるムラトの登場が、彼の心にかつてない動揺を与えていた。



ムラトはエリザベスの背後から一歩前に出て、その鋭い眼差しを空たちに向けた。彼の瞳にはかすかに光る赤い線が走り、まるで感情を失ったかのような冷たい視線を向けていた。

「久しぶりだな、空。……いや、今はそんな感傷に浸る時間じゃないな」



エリザベスが優雅に微笑みを浮かべながら言葉を挟んだ。「征服者さん、あの正義ぶってた野郎を処理してしまうのも手よね。」



その言葉に、ムラトは冷ややかな視線をエリザベスに向けた。「私はお前の命令で動いているわけじゃない。ただ、こちらにも都合がある。」



「都合?」空が銃を構え直し、ムラトを睨みつけた。「ムラト、どうしてお前がこいつと一緒にいるんだ?」



ムラトは軽く肩をすくめた。「俺は俺の目的のために動いているだけだ。エリザベスと利害が一致した、それだけだよ。」



「利害が一致……?お前の目的ってなんだ、ムラト!」空が怒りに声を震わせながら問い詰めた。



エリザベスが笑みを浮かべながら、ゆっくりと前に出た。「空、そんなに熱くならないで。ムラトの目的なんてどうでもいいじゃない。それより、あなたたちには今、選択肢があるのよ。」



「選択肢なんて言葉で誤魔化すな!」アリスが叫び、銃をエリザベスに向けた。「お前たち二人をここで倒せば、全て終わる!」



エリザベスはその言葉に反応し、大袈裟な驚いきと怯える素振りを表した。「キャァァア~怖い怖いぃぃい~冗談だってぇぇ~許してよぉぉぉ~……。ふふっ、別に貴方達をキルしようなんて1ミリも考えていないわ。ただ、遊び相手が欲しいだけよ」とふざけた表情から素に戻ったエリザベスは軽い調子で言い放った。



しかし、その無邪気な口調とは裏腹に、彼女の目は冷たく鋭い光を宿していた。その目は、すでに全員の命運を完全に掌握しているかのように見えた。



「征服者、貴方もそうでしょ?」エリザベスが振り返りながら問いかける。



ムラトは冷淡な表情のまま、「暇つぶしには最適だな。だが、あまり退屈なゲームなら興味はない」ムラトは言葉を続けた。「あいつらがどれほど抗うか、それだけが俺の関心だ。」



その言葉に、空は歯を食いしばった。「ムラト……お前、本当に俺たちを捨てたのか?」



ムラトは目を伏せ、しばらく沈黙していた。しかし次の瞬間、彼は再び冷たい目で空を見つめた。「さぁ?」



「さぁ……?」空の声は震えていた。



エリザベスが愉快そうに笑いながら、ムラトの隣に立った。エリザベスが軽やかにリボルバーを構え、冷たく微笑みながら言葉を続けた。



「So, shall we enjoy it? Or should we give up?(さぁ、楽しみましょ?それか……諦める?)」



彼女の声が静寂の中に響く。ムラトはその隣で無言のまま立ち、冷たい目で全員を見つめていた。その存在感だけで場を圧倒している。
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