推しの兄(闇堕ち予定)の婚約者に転生した

花飛沫

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2. 現れる登場人物達

花壇のひと騒動

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 ジャスパーとヒューバートがハイノたちに睨みを効かせる様になった。小説とは違う展開だがオズがヒューに守られていることには変わりがなく、本当に事件が起こらないのかは分からない。
 ヒューとジャスパーが休み時間のたびにオズのところに来て張り付いてくるので、周囲は何事だと騒ぐ。ジャスパーはかなり地位が高い公爵子息だし、ヒューは眉目秀麗に加えて文武両道なとんでもないスペック持ちなので、二人にかばわれるオズはお姫様にでもなった気分だ。

「オズ、お弁当持った?」

 昼休み。弁当を持ってヒューがCクラスに迎えに来てくれた。ヒューとジャスパーのおかげで、今日一日は一度もハイノやエッカルトに絡まれることなく昼休みまで来た。
 ハイノたちは何度も隙を窺ってオズに話しかけようとしたが、その度に二人に阻まれる。だがこちらに有利な状況になったのは、やはりジャスパーの家の地位の高さがあったからだ。
 一応学園内では貴族も平民も平等であると言われているが、公爵家の人間が本気で睨みを効かせたら、逆らいたい者などいない。なのでジャスパーが庇ってくれると、これは関わらない方が良いと相手が引いてくれるのである。

(凄く嬉しいけど‥‥本当にこれで大丈夫なんだろうか。)

 今は平和だが、一応、事件が起こった時のことも考えておいた方がいいかもしれない。何しろヒューバートの闇落ちにはオズワルドの生死も関わるのだから、ヒューが無事でもオズに何も起こらないとは限らない。

「オズ、どうした?難しい顔をして。」

 木陰の中、芝生の上でマフィンを頬張るジャスパーが不思議そうに聞いてくる。ヒューもパンを食べながら視線をこちらに寄越していた。オズは迷った末、本人たちに聞いてみることにする。

「なあ、二人ともさ、もしハイノに正面切って戦いを仕掛けられたらどうする?」

 戦い?と二人は顔を見合わせる。事件のことは本人に何か言ってしまうと物語が変わる可能性があって言えないので言葉を濁したのだが、随分壮大な単語になってしまった。

「まあそりゃ、受けて立つ!だろ。」
「逃げる理由もない。」

 ジャスパーは拳を掲げ、ヒューも静かに同意する。

(じゃあ、ハイノに呼び出されたらついて行くってことだよな。)

 ハイノ・ゲーテは掴めない奴で、物語の主人公メルヴィンですら彼の手綱たづなは中々握れない。

(でも、確かメルヴィンがハイノの心を開く事件が何かあったんだよな‥‥。)

 そう、何かあった筈なのだ。なのに、何度も読み返したはずの小説の、その部分だけ思い出せない。まあ、メルヴィン絡みの事件は全部高等部に入ってから起こるのだとは分かるのだが‥‥。

(というか、その部分に限らず、物語の中の重要な事件の詳細が思い出せないんだよな‥‥。)

 今回の事件だって起こる時期は体育祭頃だとわかっていたのに、ハイノと美化委員会に入るまで事件について思い出せなかった。

(だけど時期が近づいたり、重要人物に出会ったりすると思い出すっていう‥‥。)

 物語の大事な伏線を事前に消してしまわない様に、転生前の記憶にセーブが掛かっているのかもしれない。だとしたら、この世界は小説通りに進む運命なのだろうか。オズにはヒューバートを闇落ちの運命から救うことはできるのか。

「もし喧嘩を挑まれたら、コテンパンにしてやるぜ!」
「僕も剣術・拳術の資格を取るために訓練をしているからね。あんなひょろひょろな男に負ける気はしない。」

(2人とも好戦的過ぎじゃね?)

 今のところ、精神的にはヒューが闇落ちしそうな感じは無いのだが。かなり好戦的だし。
 ヒューは、オズとの婚約がかかっている武術検定を取るために特訓をしていて、最近は自信がついてきているようだ。

(頼もしいな。)

「何だか大変そうだな。僕にもできる事があれば言ってくれよ。」
「僕も僕も!何でも言ってね!」

 ロニーとリンジーも心配そうな顔でそう言ってくれる。
 まあ小説とは違って今はヒューは1人ではなくジャスパーもいるので、何かあっても大丈夫かも、とオズは思い詰めないようにした。

















「ああ、カーティス君とオブライエン君?さっきハイノに声掛けられてどっか行ったけど、探してるの?」
「ハイノに‥‥?」
 
 二週間後のお昼休み。お手洗いから教室に戻っても2人の姿が見当たらなくてクラスメイトに聞いてみると、驚きの返事が返って来る。
 ジャスパーとヒューバートのハイノ牽制は今日までも続いていて、最早周囲も見慣れた光景になっていた。このまま適当にかわしていれば、ハイノもいつかオズに飽きてくれるかもしれない、とオズもそんなにハイノを気にしなくなっていたので油断していたのだ。

(嘘だろ嘘だろ~!?ここにきて事件発生!?いや、当初の予定でもこのくらいの日付だったか!)

 テンパるオズは廊下を右往左往する。

(え、待ってどうすればいい?ヘルムートを足止めする?いやいや、先ずは庭園に行かないと始まらないだろ!)

 そんな風に慌てて冷静さを取り戻そうとし、取り敢えず庭園に向かって走り出す。途中廊下でロニーとすれ違ったので、「今日俺とジャスパーとヒューはお昼遅れるから!先食べてて!」と叫ぶと、「走ったら転ぶぞ。歩け。」と冷静に言われて、少し落ち着いた。ロニーは相変わらずである。
 オズは廊下を駆け抜け玄関を飛び出し、校舎から出たところにある煉瓦れんがの階段を駆け下り、芝生を踏み締めて前に進み続ける。何だか前にもこんな事があったような。

(ジャスパーにヒューが集団リンチされる筈だった『集団リンチ事件』の時だ!あの時もこんなシチュエーションだった!)

 あの事件ではオズが飛びかかってジャスパーと殴り合い事件を収めたのだが、あの時もこんな風に焦ってヒューバートを探し回ったのだ。

(けど、今回は行き先が分かってる!)

 勿論、ヘルムートが世話をする花が溢れかえるあの花壇である。オズは走って走って走って、ついに前方に、共に歩くヒューとジャスパーの背中が見えてきた。

「ハイノの奴、どういうつもりだろうな?」
「分からないけど、公爵子息であるジャスパーを呼び出したんだから、何か策は考えているのだろう。」

 二人はハイノに呼び出された理由について話している。
 オズは二人に向かって、待って、と叫びそうになったが、考え直して口を閉じた。

(ここで2人を止めることに意味はあるのか?小説ではヒューバートが現場に来る前には、ハイノが花壇を荒らしているのに?)

 それに気がつくと、オズは慌てて右に方向転換をして走り出した。
 そうだ。何故2人に声をかけようとしてしまったのか。ハイノを止めないと花壇が荒らされてしまい、結局ヘルムートの恨みを買うことになり、この事件は防げなくなるのに。

さいわい、ヒューとジャスパーは美化委員じゃないから、花壇の場所を探すのに時間が掛かってる!なら、時間的に考えてまだ花壇は荒らされてない筈だ!)

 オズは花壇への一番の近道を全力で駆ける。春から夏に入れ替わる頃の少し湿った風が前髪を巻き上げ、ひたいに風を浴びた。
 花壇までの距離も残すは三分の一になった時、反対側から小走りで花壇に向かうヘルムートが見え始める。彼の姿が見えると言うことは、花壇荒らしはそろそろ始まると言うことだ。

(やばいやばいやばいって!間に合ってくれー!頼む!)

 最後の角を曲がったオズは、スライディングしながら花々の前へ出る。思ったより滑ってしまい制服の膝のところに穴が空いたが、今はそんなことは言ってられない。
 オズは急いで立ち上がると、首を左右に振りハイノの姿を探す。
 目線の先、花壇の反対側の端に近い場所で、草刈り機を持ったハイノが立っているのを見つけた。その瞳は深く濁って冷たい。草刈り機には既に電源が入っていて、音を立ててブルブルと震えている。

「ハイノー!」

 オズは叫んだ。
 オズの声に驚いたハイノは手を止めて顔をこちらへ向ける。

「オズ君!?何でここに‥‥!」
「ハイノ、そっちこそ何をしているんだ!その手を離せ!」

 ハイノは自身が持つ草刈機とオズを交互に見つめ、諦めたように肩を落とした。その瞬間、彼が今までは周囲に見せないようにしてきた冷淡な顔が現れる。

「あーあ、見つかっちゃったかあ。オズ君、これは君と僕が仲良くなるのを邪魔する、カーティスとオブライエン君に制裁する為にやっているんだ。あの二人が悪いんだよ?」
「邪魔するって‥‥そりゃ、僕だって出来れば、平和でいられるなら、ハイノとも仲良くしたかったけどさ。なんでそんなに僕に固執するんだよ?君なら友人はいくらでもできるだろうに。」

 そう言い返すと、ハイノは桃色の目でオズを見つめてくる。瞳は影って暗く、その瞳はオズに向けられているが、彼はオズの向こうのどこか遠くを見ているように見えた。

「理由はまだ言えない。でも君の隣にいる事が、僕の‥‥この先の為に必要な事なんだ。」
「この先‥‥?」

(ハイノは何か問題を抱えているのだろうか。もしかして、高等部になってからハイノの間で起こる筈の事件に関係しているのかも。)

 だが、そうだったとしてオズに何ができるのか。その事件の全容だってまともに思い出せはしないのに。

(前世の記憶が曖昧な転生者に大した事ができるのか‥‥?)

 ハイノは黙り込んだオズを見て、花壇の花々に視線を戻す。

「大丈夫。君はカーティス達を止めようとしたけれど間に合わなかったと言うことにするから、君に罪は残らない。」

 そう言い、草刈り機を花壇に向け始める。

(俺にできることなんて、大したことじゃ無いかもしれない。でも、やらないといけない‥‥!)

 オズはヒューバート・オブライエンの未来を守ると決めたのだ。
 最初の理由は、ヒューバートが推しであるアルバート・オブライエンの兄だったから。推しの為に守りたかった。
 次第にヒューバートと関わるようになって、友達として彼を守ろうと思うようになった。
 今では、ヒューは好きな人。ヒューのために、自分の為に、彼の未来が欲しいのだ。だからオズは、どんなに記憶がおぼろげになろうと、困難だろうと、ヒューの闇落ちイベントと戦わなければならない。

「やめろ!」

 オズは走り出して、草刈り機の先端が最初の花に触れる直前に、後ろからハイノの身体を抱き締めて動きを止めることに成功した。草刈り機が発する騒がしい起動音の中、オズは声を張り上げる。

「その花壇の花達を、ヘルムート先輩が大切に世話しているのを知っているだろう!いくらヒュー達が憎くても、関係ない人まで傷つけてはダメだ!」
「うるさいなぁ!離せよ!」

 次第にハイノの口調も荒くなっていく。オズはグッと歯を食いしばってハイノを抱きしめる腕に力を込めると、ここ最近で一番大きな声で言った。

「人の大事にしているものを踏み躙ろうとするな‼︎」

 次の瞬間、オズはハイノが持っていた草刈り機の持ち手を奪うと、遠くに放り投げる。

「くそ!」

 直ぐに草刈り機を取りに行こうと動き出したハイノを、オズは草刈り機と反対方向に投げ飛ばした。すると勢い余って、オズは花壇の中に吹っ飛んでしまう。

「うわあああ!」
「うおっ!?」

 花たちの中に埋もれたオズは、慌てて顔を出す。すると飛んでいったハイノがいる場所にヘルムートが立っていた。彼はハイノを見たのち、ゆっくりとオズの方も向く。

「君達の‥‥話は、全て聞いていた‥‥。」

 相変わらずボソボソした喋り方だが、この前聞いた時よりは声に力が籠っている。オズがハイノに長々と話しかけたおかげで、ヘルムートはとっくにこの場所についていて、会話を聞いていたのだ。
 そうして植物のつるを軽い詠唱魔法で呼び出すと、地面に倒れたままヘルムートを睨むハイノをパパッと拘束した。
 ヘルムートはオズの方へ向かってゆっくり歩いてくる。そして彼の顔を見た途端、オズは今の状況をも思い出した。

(ん?俺って‥‥今花壇の中だよな?吹っ飛ばされて、それで‥‥じゃあ、)
 
 恐る恐る地面を見ると、オズが落ちた衝撃でいくつかの花が潰れている。

(ぎゃあああ!これ俺もヘルムートに殺されるパターン!?)

 近付いてくるヘルムートを、じっと見つめ返す。

「あ、あの‥‥?」

 オズは美しい黒髪を汗で肌に張り付かせ、走り続けたせいで息も上がっていて、瞳が潤んでいる。それはもう扇状的な姿をしていた。

「君は‥‥。」

 そんなオズは花々に囲まれて、どこぞの姫君かのように花壇に座り込んでいる。
 ヘルムートは花壇の中まで入ってきて、オズの前に座り込むと、両手を握ってきた。

「君は、なんて美しいんだ!」

 彼から出たとは思えない、大きな声だった。オズは目を丸くして、水色の髪に埋もれていてこれまで見えていなかった、彼の黄色い瞳を見つめ返す。

(‥‥は?)








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