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四 自分は自分でしかない①
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血戦の日。血戦の場。
姫子はただ一人、純白の道着で身を包み、家宝とされる由緒正しい日本刀を手に正座をして静かに目を閉じていた。
むき出しの地面に直接座っているので道着が汚れてしまうかもしれないが、ここに来てはもはや関係ない。
一昨日以来、徹と佳撫は現れなかった。それを悪いなどとは言わない。
やはり森羅の徹とは別人だったというだけの話だし、姫子はむしろそういう選択を取ってくれたことに安堵していた。
しかし、後は佳撫も別世界に避難してくれれば、などと考えるのはさすがに酷い偽善だろう。他の多くの県民は何も知らないままに、命の危機に晒されることになるかもしれないのだから。
時刻は間もなく正午。異様な存在の気配を感じて目を開ける。
世界を照らす太陽は最も高くなり、同時に優司が姿を現す。
その手には今正に感じた気配の元だろう、怪しい空気を撒き散らしている村正が握られている。
「……お前だけか?」
「私が、相手よ」
その答えに優司は明らかに侮蔑の表情を浮かべた。
「馬鹿にしたものだな。街を滅ぼされても構わないという訳か? ……ふ、であれば、そうしよう」
冷笑してそのまま姫子の脇を通り過ぎようとする優司。
「馬鹿にしているのは貴方の方でしょ!?」
姫子は勢いよく立ち上がって日本刀を抜き、鞘を後方に放り捨てた。
そして、その切っ先を優司に向ける。
鞘が地面に転がる音がその場に響き渡り、そこでようやく優司は立ち止まった。
刀はほとんど彼の首に突きつけられている。
「私には絶対に勝てるとでも思っているの!?」
「勝てるな。だが、命を捨てる覚悟をしたと言うのなら、望み通り殺してやろう」
優司は村正で姫子の刀の剣尖を弾き、距離を取った。
「行くぞ」
優司は余裕を見せるように宣言し、今度は一気に距離を詰めてくる。
そして、その勢いを利用した縦一文字の一撃が襲いかかってきた。
「くっ」
それを紙一重で避け、脇構えから斜めに切り上げる。それに対し、優司は全く避けようともせず、刀は彼の胴を両断した。
先日の徹との戦いを思い返し、一旦距離を取って警戒する。
恐らく即座に再生されてしまうことだろう。
「速さと反射神経、剣術はあの徹もどきに匹敵する、か」
果たして何事もなかったかのように、優司の胴は接合してしまった。
「少しは楽しませてくれそうだ」
狂った笑みを見せ、優司は速さで勝負を挑んできた。
連続する攻撃を最小限の動きで回避し続ける。
彼の言う通り、速さと反射神経、何より技には少し自信がある。
故に刀の戦い方、回避主体の戦い方は得意とするところだ。
この日本刀も業物とは言え、突き詰めれば所詮はただの刀に過ぎない。
符号呪法によって生成された武器と打ち合いを続ければ、確実に破壊されてしまう。そもそも存在としての格、意味のようなものが違うのだから。
この戦闘スタイルは、自発であると同時に強制なのだ。もっとも先日の血戦を傍から見ていなければ、恐らく全く対応できなかったに違いないが。
優司の連撃を、予測を以って避け続け、隙を見ては一撃する。
それをただ繰り返す。
しかし、意味を成さない。
姫子が次の一撃を繰り出そうとする前に全ての傷が再生してしまうのだ。
なのに、攻撃を繰り返す度に少しずつ切れ味が鈍っていく。
常に一定の状態を保つ相手の刀とは違い、こちらの刀は切る度に確実に劣化していくのだから。
「どうした? やはりこんなものか?」
「黙れ!」
嘲るように言う優司に姫子は怒声で答えながらも冷静に次の隙を待ち続け、その瞬間に全ての力を込めて彼の首筋を狙った。
その一刀は姫子の意図通りに動き、その首を刎ねる。
「これなら――」
常識的に考えて、首を落とされて生きている人間などいない。
脳からの指令なしに動ける生物はいない。
だから、これなら如何に異常復号体とは言え――。
「そ、そんな……」
姫子は目の前の出来事に愕然とした。
首のない優司の体が無造作に自身の頭を掴み、それを自らの首に据えたのだ。
それだけでなく、やはり先程の胴と同じように即座に接合してしまう。
それは明らかに生物の範疇に収まらない行動。異常と呼ぶしかない光景。
姫子は恐怖に慄きそうになる自身の体を抑え込むように唇を噛んだ。
「終わりか?」
つまらなそうに見下す優司。
姫子にはもう今の一撃以上の有効打を考え、相手に与える術はなかった。
もはや諦める以外ないような状況だ。
それでも姫子は、たとえ時間稼ぎにしかならなくとも、通用する可能性は皆無であろうとも、自分に残された最後の手を使うために意思を強く保った。
所詮は自己満足に過ぎない。
やれるだけのことはやり切って死んだのだ、と言い訳したいだけのことなのかもしれない。そもそもここで戦っていること自体も自分勝手な考えによるものでしかないのだから。
だが、それでも――。
「どんな状況に陥ろうとも、最後の最後まで戦う。それが私の好きだった人の好きだった姿だから」
姫子は既に刃が毀れてしまい、業物としての姿は見る影もない日本刀を大地に突き立て、己の本質を以って世界に働きかけた。
「固有安定呪法『傀儡』」
系統としては特殊。その中でも安定化に属する姫子の固有呪法。
それは不安定状態を不安定のままで安定、維持させる符号呪法。
不安定の具現であるアニマを発生させ、使役するというものだ。
しかし、当然ながら多種多様の符号呪法と複数人の感情によって生み出されたアニマよりも存在の強度が大きく劣り、比べものにならない程に脆く、弱い。
その上、作り出せるアニマは五体だけ。これ以上は操れず、崩れて去ってしまう。アニマ以上に人間を殺した外敵はいないはずだが、この場ではその脅威に期待することなどできない。余りにも脆弱な援軍だった。
「悪あがきか」
そう嘲笑されてしまうのも無理もないこと。
彼の村正は、符号呪法によって生成されたものを問答無用で打ち消してしまう。
それ以前に、通常のアニマは再生能力など持たず破壊されればそれで終わりだ。
現に優司に向かわせたアニマは村正に触れた瞬間に自然物に還り、塵となって崩れ去ってしまった。
しかし、人の感情の蓄積が再生成に必要な通常のアニマとは違い、姫子の意思によって生成されたそれらは間髪入れずに再生産することができる。
だが、やはりそれだけのことだ。優司を倒すには決して至らない。
「くっ、鬱陶しい」
苛立ったように力任せに村正でアニマを叩き潰した優司は、もう一体を乱雑に排除すると他のアニマを無視するように間合いを詰めてきた。
姫子はその動きに合わせて、地面から抜き取った刀を全力で逆袈裟に振り上げた。
しかし、優司は村正によってそれを思い切り弾き飛ばした。その衝撃で家宝とされていた刀は真っ二つに圧し折られ、姫子の手を離れて数メートル先に転がった。
と確認する間もなく、腹部に強烈な蹴りを入れられ、刀同様に吹き飛ばされる。
鳩尾に綺麗に入ったためか息ができず、痛みというよりも強烈な気持ち悪さを姫子は感じていた。
実際のダメージとしては恐らくまだ致命傷ではないはずだ。
が、精神的には決定打だった。
姫子は今度こそ万策尽きたと思った。
思って、これで自分に言い訳が立つと考えた。
「終わり、ね」
息苦しさのせいで自分にすら聞こえない程に掠れた声で呟いた瞬間、姫子は違和感を抱いた。
視界の中にある自身の道着、純白さが見る影もない、全体的に土色に汚れてしまったそれからよく知ったような気配を感じて。
「これ、は……」
系統呪法、空間接続の予兆。そう思った刹那、姫子の視界は眩い光に包まれた。
「間に合った、か?」
その光の中から聞こえてきたのは、懐かしさを感じさせながら決して懐かしく思ってはいけない彼の声。
別世界の双海徹の声だった。
姫子はただ一人、純白の道着で身を包み、家宝とされる由緒正しい日本刀を手に正座をして静かに目を閉じていた。
むき出しの地面に直接座っているので道着が汚れてしまうかもしれないが、ここに来てはもはや関係ない。
一昨日以来、徹と佳撫は現れなかった。それを悪いなどとは言わない。
やはり森羅の徹とは別人だったというだけの話だし、姫子はむしろそういう選択を取ってくれたことに安堵していた。
しかし、後は佳撫も別世界に避難してくれれば、などと考えるのはさすがに酷い偽善だろう。他の多くの県民は何も知らないままに、命の危機に晒されることになるかもしれないのだから。
時刻は間もなく正午。異様な存在の気配を感じて目を開ける。
世界を照らす太陽は最も高くなり、同時に優司が姿を現す。
その手には今正に感じた気配の元だろう、怪しい空気を撒き散らしている村正が握られている。
「……お前だけか?」
「私が、相手よ」
その答えに優司は明らかに侮蔑の表情を浮かべた。
「馬鹿にしたものだな。街を滅ぼされても構わないという訳か? ……ふ、であれば、そうしよう」
冷笑してそのまま姫子の脇を通り過ぎようとする優司。
「馬鹿にしているのは貴方の方でしょ!?」
姫子は勢いよく立ち上がって日本刀を抜き、鞘を後方に放り捨てた。
そして、その切っ先を優司に向ける。
鞘が地面に転がる音がその場に響き渡り、そこでようやく優司は立ち止まった。
刀はほとんど彼の首に突きつけられている。
「私には絶対に勝てるとでも思っているの!?」
「勝てるな。だが、命を捨てる覚悟をしたと言うのなら、望み通り殺してやろう」
優司は村正で姫子の刀の剣尖を弾き、距離を取った。
「行くぞ」
優司は余裕を見せるように宣言し、今度は一気に距離を詰めてくる。
そして、その勢いを利用した縦一文字の一撃が襲いかかってきた。
「くっ」
それを紙一重で避け、脇構えから斜めに切り上げる。それに対し、優司は全く避けようともせず、刀は彼の胴を両断した。
先日の徹との戦いを思い返し、一旦距離を取って警戒する。
恐らく即座に再生されてしまうことだろう。
「速さと反射神経、剣術はあの徹もどきに匹敵する、か」
果たして何事もなかったかのように、優司の胴は接合してしまった。
「少しは楽しませてくれそうだ」
狂った笑みを見せ、優司は速さで勝負を挑んできた。
連続する攻撃を最小限の動きで回避し続ける。
彼の言う通り、速さと反射神経、何より技には少し自信がある。
故に刀の戦い方、回避主体の戦い方は得意とするところだ。
この日本刀も業物とは言え、突き詰めれば所詮はただの刀に過ぎない。
符号呪法によって生成された武器と打ち合いを続ければ、確実に破壊されてしまう。そもそも存在としての格、意味のようなものが違うのだから。
この戦闘スタイルは、自発であると同時に強制なのだ。もっとも先日の血戦を傍から見ていなければ、恐らく全く対応できなかったに違いないが。
優司の連撃を、予測を以って避け続け、隙を見ては一撃する。
それをただ繰り返す。
しかし、意味を成さない。
姫子が次の一撃を繰り出そうとする前に全ての傷が再生してしまうのだ。
なのに、攻撃を繰り返す度に少しずつ切れ味が鈍っていく。
常に一定の状態を保つ相手の刀とは違い、こちらの刀は切る度に確実に劣化していくのだから。
「どうした? やはりこんなものか?」
「黙れ!」
嘲るように言う優司に姫子は怒声で答えながらも冷静に次の隙を待ち続け、その瞬間に全ての力を込めて彼の首筋を狙った。
その一刀は姫子の意図通りに動き、その首を刎ねる。
「これなら――」
常識的に考えて、首を落とされて生きている人間などいない。
脳からの指令なしに動ける生物はいない。
だから、これなら如何に異常復号体とは言え――。
「そ、そんな……」
姫子は目の前の出来事に愕然とした。
首のない優司の体が無造作に自身の頭を掴み、それを自らの首に据えたのだ。
それだけでなく、やはり先程の胴と同じように即座に接合してしまう。
それは明らかに生物の範疇に収まらない行動。異常と呼ぶしかない光景。
姫子は恐怖に慄きそうになる自身の体を抑え込むように唇を噛んだ。
「終わりか?」
つまらなそうに見下す優司。
姫子にはもう今の一撃以上の有効打を考え、相手に与える術はなかった。
もはや諦める以外ないような状況だ。
それでも姫子は、たとえ時間稼ぎにしかならなくとも、通用する可能性は皆無であろうとも、自分に残された最後の手を使うために意思を強く保った。
所詮は自己満足に過ぎない。
やれるだけのことはやり切って死んだのだ、と言い訳したいだけのことなのかもしれない。そもそもここで戦っていること自体も自分勝手な考えによるものでしかないのだから。
だが、それでも――。
「どんな状況に陥ろうとも、最後の最後まで戦う。それが私の好きだった人の好きだった姿だから」
姫子は既に刃が毀れてしまい、業物としての姿は見る影もない日本刀を大地に突き立て、己の本質を以って世界に働きかけた。
「固有安定呪法『傀儡』」
系統としては特殊。その中でも安定化に属する姫子の固有呪法。
それは不安定状態を不安定のままで安定、維持させる符号呪法。
不安定の具現であるアニマを発生させ、使役するというものだ。
しかし、当然ながら多種多様の符号呪法と複数人の感情によって生み出されたアニマよりも存在の強度が大きく劣り、比べものにならない程に脆く、弱い。
その上、作り出せるアニマは五体だけ。これ以上は操れず、崩れて去ってしまう。アニマ以上に人間を殺した外敵はいないはずだが、この場ではその脅威に期待することなどできない。余りにも脆弱な援軍だった。
「悪あがきか」
そう嘲笑されてしまうのも無理もないこと。
彼の村正は、符号呪法によって生成されたものを問答無用で打ち消してしまう。
それ以前に、通常のアニマは再生能力など持たず破壊されればそれで終わりだ。
現に優司に向かわせたアニマは村正に触れた瞬間に自然物に還り、塵となって崩れ去ってしまった。
しかし、人の感情の蓄積が再生成に必要な通常のアニマとは違い、姫子の意思によって生成されたそれらは間髪入れずに再生産することができる。
だが、やはりそれだけのことだ。優司を倒すには決して至らない。
「くっ、鬱陶しい」
苛立ったように力任せに村正でアニマを叩き潰した優司は、もう一体を乱雑に排除すると他のアニマを無視するように間合いを詰めてきた。
姫子はその動きに合わせて、地面から抜き取った刀を全力で逆袈裟に振り上げた。
しかし、優司は村正によってそれを思い切り弾き飛ばした。その衝撃で家宝とされていた刀は真っ二つに圧し折られ、姫子の手を離れて数メートル先に転がった。
と確認する間もなく、腹部に強烈な蹴りを入れられ、刀同様に吹き飛ばされる。
鳩尾に綺麗に入ったためか息ができず、痛みというよりも強烈な気持ち悪さを姫子は感じていた。
実際のダメージとしては恐らくまだ致命傷ではないはずだ。
が、精神的には決定打だった。
姫子は今度こそ万策尽きたと思った。
思って、これで自分に言い訳が立つと考えた。
「終わり、ね」
息苦しさのせいで自分にすら聞こえない程に掠れた声で呟いた瞬間、姫子は違和感を抱いた。
視界の中にある自身の道着、純白さが見る影もない、全体的に土色に汚れてしまったそれからよく知ったような気配を感じて。
「これ、は……」
系統呪法、空間接続の予兆。そう思った刹那、姫子の視界は眩い光に包まれた。
「間に合った、か?」
その光の中から聞こえてきたのは、懐かしさを感じさせながら決して懐かしく思ってはいけない彼の声。
別世界の双海徹の声だった。
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