鬼の首祀る村

手拭い太郎

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鬼の首祀る村

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 山奥深く、地図からも消えたような場所に、その村はあった。

 村の入り口には、古びた鳥居が朽ちかけて立ち、注連縄には色あせた紙垂が揺れていた。鳥居をくぐると、石畳の道が薄暗い森の中へと続いていた。道沿いに並ぶ家々は、どれも黒ずんだ木材でできており、窓は小さく、まるで光を拒むかのように閉じられている。

 時折、軒先で干された何かの骨が風に揺れる。それは動物の骨のようにも見えたが、どこか歪で、人の形に似ている気がした。村全体を覆うのは、異様なほど静けさだった。人々の話し声も、子供たちの遊び声も聞こえない。ただ、遠くから聞こえる、途切れ途切れの太鼓の音だけが、不気味に響いていた。

 村の中心には、大きな岩が祀られていた。岩はまるで誰かの頭部のように丸く、表面には赤い染みがこびりついている。村人たちは、この岩を「鬼の頭」と呼び、日々の祭祀を怠らなかった。

「この岩は、鬼の首なんじゃ」

村の長老が、私にそう囁いた。

「昔、この地に鬼が現れ、村人を喰らおうとした。しかし、村の始祖がその首を刎ね、ここに祀った。それ以来、鬼は二度と現れん。この村は、鬼の首に守られとるんじゃ」
しかし、私は知っていた。この村で、毎年一人の若い娘が忽然と姿を消すことを。そして、そのたびに、岩の赤い染みが、より鮮やかになることを。
 この村は、本当に鬼の首に守られているのだろうか?それとも、生贄を捧げることで、何かを鎮めているだけなのだろうか?
私は、村の静けさの奥に潜む、おぞましい真実の影を感じていた。


 村に滞在して一週間が経った。その間、私は何度も岩に近づこうとしたが、村人たちは皆、私を遠ざけようとした。彼らの目に宿る、奇妙な畏怖の念。それは、鬼への畏怖というよりも、何か別の、もっと個人的な恐怖のように見えた。
ある夜、私は太鼓の音に目を覚ました。音はいつもより近く、村の中心から響いている。私はいてもたってもいられず、こっそりと外に出た。

 太鼓の音がする方へ向かうと、村の中心にある広場に村人たちが集まっていた。彼らは皆、白い装束を身につけ、静かに跪いている。広場の真ん中では、村の長老が、一人の若い娘を岩の前に立たせていた。娘は震えながらも、抵抗する様子はなかった。

「鬼よ、我らが祖よ。今年も生贄を捧げます。どうか、我らをお守りください」

 長老がそう叫ぶと、太鼓の音が一段と激しくなった。村人たちは一斉に祈りの言葉を唱え始めた。その声は、もはや人間の言葉とは思えない、奇妙な響きを持っていた。
私は息を潜め、一部始終を見ていた。娘は泣きながら、それでも静かに運命を受け入れている。その時、長老が娘の首に手をかけた。

 次の瞬間、娘の首が、まるで熟した果実のように、長老の手の中で潰れた。血が飛び散り、赤い染みが、岩の表面を鮮やかに染め上げていく。村人たちの祈りの声が大きくなり、太鼓の音は最高潮に達した。

 私はその光景を目の当たりにし、嘔吐しそうになった。この村は、鬼に守られているのではない。鬼は、この村そのものだったのだ。彼らは、鬼の子孫として、鬼に捧げるのではなく、自らの糧として、若い命を食らっていたのだ。
私は、この村から逃げ出さなければならない。しかし、同時に、ある疑念が頭をもたげていた。

 この村の人間は、本当に皆、鬼の子孫なのだろうか?それとも、彼らの中には、私と同じように、真実を知ってしまった者たちが、密かに生きているのだろうか?

 私は、岩の陰に隠れている、別の目で私を見つめている人影に気づいた。それは、村の若者のうちの一人だった。彼の目には、絶望と、そしてかすかな希望の光が宿っていた。
この村に潜む闇は、私が想像していたよりも、ずっと深く、そして複雑だった。



 若者の名はタカオ。彼は私にだけ聞こえるよう、唇を動かさずに語りかけた。「逃げろ。そして、生き残れ。この村の秘密を、外の世界に伝えるんだ」
彼の目には、確固たる決意が宿っていた。私は、彼が私を助けようとしているのだと直感した。
「なぜ?」と、私は声にならない声で尋ねた。

「俺たちは、鬼ではない」とタカオは続けた。「俺たちの先祖は、鬼の支配から逃れるために、この村に隠れ住んだ。しかし、鬼は絶滅していなかった。彼らは、人間を装い、この村に潜んでいたんだ。そして、世代を重ねるうちに、真実を知る者は少なくなり、鬼の末裔たちが村の権力を握った」
私は、タカオの言葉に背筋が凍りついた。彼らの言う「鬼」とは、村の長老や祭祀を取り仕切る者たち、つまり、村を支配している者たちだったのだ。彼らは、鬼の首を祀ることで、人間である村人たちに恐怖を植え付け、生贄を捧げる儀式を正当化していたのだ。

 タカオは、さらに続けた。「俺の妹も、次の生贄に選ばれた。俺は、もう見ていられない。お前が、この村の真実を外に伝えれば、いつか、この村から鬼を追い出せるかもしれない」

 私は、タカオの言葉に胸を打たれた。私は、単なる一人の旅人として、この村の恐ろしい儀式を見ていたのではない。この村の、人間として生きることを望む者たちの、最後の希望だったのだ。

 夜が明け、村人たちがそれぞれの家へと戻っていく中、私はタカオに連れられ、秘密の地下道へと向かった。地下道は、村の岩の地下へと続いており、そこには、無数の白骨が転がっていた。それは、これまでに生贄にされた人々の骨だった。

 その時、地下道の奥から、何かがこちらに向かってくる音が聞こえた。音は、次第に大きくなり、それは、まるで何かが地面を這うような、ぞっとするような音だった。タカオは、私を先に進ませ、自分は追手を食い止めるために、その場に残った。

「行け! 俺のことは気にするな!」

 私は、タカオの言葉に背を押され、地下道を駆け抜けた。そして、地下道の出口から外に出たとき、私は、信じられない光景を目にした。

 そこには、村の長老が、顔中を真っ赤に染め、笑みを浮かべて立っていた。彼の口元には、血がこびりついていた。
「お前は、真実を知りすぎた」

 長老の言葉に、私は全身が震えた。彼こそが、鬼だったのだ。そして、この村に、人間として生きる場所は、どこにもなかったのだ。

 長老はゆっくりと私に近づいてきた。その顔は、血の染みと歪んだ笑みで、もはや人間のそれではなかった。

「お前は、タカオの無駄な抵抗を見ていたな。哀れなことだ。我々は、この村の血を絶やさぬために、常に新しい血を求めている」

私は後ずさりながら、長老の言葉に耳を傾けた。

「お前がこの村に来たのも、我らの運命だったのだ。お前の血は、この村に新しい生命を吹き込むだろう」

 長老は、その手を伸ばし、私の首筋に触れた。その手は、冷たく、まるで死人のようだった。私は恐怖で動くことができず、ただ息をひそめていた。その時、長老の背後から、何かが飛び出した。それは、朽ちた木片だった。
長老は、驚きに目を見開いた。そして、その背中から、血がにじみ出てきた。

「タカオ!」と、私は叫んだ。

 タカオは、地下道から出てきたのだ。その手には、もう一本の鋭い木片が握られていた。彼の目は、憎悪と決意に満ちていた。

「お前は、俺の妹を奪った。もう、誰も奪わせない!」

 タカオは、再び長老に飛びかかった。長老は、タカオの攻撃を避けようとしたが、地下道で受けた傷が深く、動きが鈍くなっていた。タカオは、その隙を突き、長老の心臓めがけて、木片を突き刺した。

 長老は、苦痛に満ちた叫びを上げ、その場に崩れ落ちた。彼の体は、黒い霧となって消え去り、そこには何も残らなかった。

 私は、タカオに駆け寄った。彼の体は、血まみれになっていた。

「大丈夫か?」と、私は尋ねた。

 タカオは、かすかに微笑んだ。「ああ。これで、俺たちは自由だ」

 その言葉に、私は安堵のため息をついた。しかし、その時、私の背後から、無数の足音が聞こえてきた。村人たちだった。彼らは皆、白い装束を身につけ、手に鎌や鍬を握っていた。その目は、憎悪に満ちていた。

「鬼を殺した…! 鬼を…!」

 村人たちは、まるで何かに取り憑かれたかのように、私たちに襲いかかってきた。私は、タカオをかばうように、前に出た。しかし、その時、私はあることに気づいた。彼らの目には、恐怖と憎悪が入り混じっていた。

彼らは、鬼の子孫ではない。彼らは、長老に支配され、恐怖に怯え、そして、鬼の首に守られていると信じ込まされていた、哀れな人々だった。そして、彼らの唯一の希望だった「鬼」を、私が殺してしまったのだ。

この村に、もう、希望はなかった。私たちが自由になるためには、この村から、すべてを壊さなければならないのだ。

村人たちは、まるで嵐のように私たちに襲いかかってきた。彼らの手には、怒りと絶望が宿っていた。

「鬼を…返せ!」

「お前たちが、村を滅ぼした!」

私は、彼らの叫びを聞きながら、彼らが長老に支配されていただけでなく、長老の存在を精神的な支えとしていたことに気づいた。長老という名の「鬼」を崇めることで、彼らは生贄という残酷な儀式を正当化し、自分たちの心を保っていたのだ。今、その「鬼」が消え、彼らの心は崩壊した。
タカオは、私の前に立ちはだかり、最後の力を振り絞って叫んだ。

「俺は鬼を殺した! 俺は、人間として生きることを選んだんだ! お前たちは、いつまで鬼の奴隷でいるつもりだ!」
しかし、彼の言葉は、彼らの憎悪の叫びにかき消された。彼らは、タカオの言葉を理解しようとせず、ただ、自分たちの支えを奪った私たちに、復讐しようとしていた。

私は、タカオの横に立ち、覚悟を決めた。もう、この村に、言葉は通じない。この村から、真実を外に伝えるためには、彼らを退けるしかなかった。

その時、地面が揺れ始めた。地震か、と思ったが、揺れは次第に大きくなり、村の中心にある、鬼の首を祀っていた岩が、ひび割れ始めた。

「まさか…!」

タカオが、顔を青ざめさせて叫んだ。

岩のひび割れから、黒い煙が噴き出し、異様な悪臭が村に満ちた。そして、岩は、まるで心臓のように脈打ち始め、やがて、完全に崩壊した。

その中から現れたのは、巨大な、鬼の骸だった。その骸は、無数の人間の骨でできており、その目は、空虚な闇を宿していた。

「この岩は、鬼の首じゃなかったんだ…」

私は、愕然とした。岩は、鬼の首ではなく、鬼の体そのものだったのだ。そして、長老は、その鬼の心臓にすぎなかった。長老を殺したことで、鬼の封印が解かれてしまったのだ。

鬼の骸は、ゆっくりと立ち上がり、村人たちに向かって、その手を伸ばした。村人たちは、恐怖で叫び声を上げ、逃げ惑った。

「馬鹿な…! 俺は、鬼を殺したはずだ!」

タカオが、絶望に満ちた声で叫んだ。

しかし、鬼は、タカオの言葉を無視し、その巨大な口を開けた。その口の中には、無数の人間の顔が浮かび上がり、私とタカオに向かって、不気味な笑みを浮かべていた。

この村に、希望はなかった。そして、この村を滅ぼした私たちは、今、本当の「鬼」に、喰われようとしていた。


鬼の骸は、その巨大な口を開け、私たちに迫ってきた。その口の中は、無数の顔で満たされ、それぞれの顔が、恐怖と苦痛に歪んでいた。それは、これまでに鬼に喰われてきた人々の、最後の叫びだった。

タカオは、私をかばうように、前に出た。

「行け! 俺は、ここで奴を食い止める!」

「馬鹿なこと言わないで!」と、私は叫んだ。

タカオは、私に微笑んだ。「俺は、もう充分に生きた。俺の妹の、そして、俺たちの先祖の無念を晴らすために、お前が生き延びて、この村の真実を、外の世界に伝えてくれ」

その言葉に、私は涙が止まらなかった。タカオは、最後まで、人間として生きることを選んだのだ。

私は、タカオの言葉に背を押され、鬼の骸から、必死に逃げ出した。鬼の骸は、タカオを追いかけ、村人たちは、恐怖で我を忘れ、逃げ惑っていた。

私は、村の入り口にある、古びた鳥居まで辿り着いた。鳥居をくぐり、振り返ると、村全体が、鬼の骸に飲み込まれていくのが見えた。村人たちの叫び声が、次第に遠ざかり、やがて、静けさが戻ってきた。

私は、その場に崩れ落ち、泣き続けた。私は、タカオの言葉を胸に、この村の真実を、外の世界に伝えることを誓った。
それから数年後、私は、この村の出来事を、一冊の本にまとめた。しかし、私の本を読んだ人々は、それを単なる作り話だと笑い飛ばした。

「そんな村があるはずがない」

「それは、お前の妄想だ」

私は、人々の言葉を聞きながら、鬼の骸の口の中に浮かんでいた、無数の顔を思い出した。鬼は、この村を喰らい尽くし、そして、私たちの記憶をも喰らおうとしていたのだ。
私は、今も、この村の真実を、人々に伝えようとしている。しかし、それは、誰にも信じてもらえない、孤独な戦いだった。そして、私は、この村から、たった一人で生き残った、最後の人間なのだ。

私は、この物語を綴ることに、人生のすべてを捧げた。しかし、私の言葉は誰にも届かず、私の心は次第に摩耗していった。夜になると、鬼の骸の口の中に浮かんでいた、無数の顔が夢に出てきた。彼らは、私に囁く。「お前も、いずれ我らの仲間になるのだ」と。

私は、この孤独な戦いに、もう耐えられなくなっていた。私は、ペンを置き、立ち上がった。

「もういい…」

私は、そう呟いた。この物語を信じてもらえなくても、もう構わない。私は、この物語の語り手として、私の人生を全うしたのだ。

その時、家のドアがノックされた。私は、こんな時間に訪ねてくる者などいないはずだと思い、不思議に思った。私は、恐る恐るドアを開けた。

そこに立っていたのは、一人の若い男だった。その男は、私の本を手に持っていた。

「あなたが、この本を書いた人ですか?」と、男は尋ねた。
私は、頷いた。

「この本を読んで、私は、あなたの言葉を信じました。そして、私も、同じような村を知っています」

男の言葉に、私の心臓が激しく脈打った。男は、自分の生まれ育った村が、鬼の首を祀る村と酷似していることを語った。

「私の村でも、毎年、若い娘が生贄にされます。そして、村の長老は、いつも同じことを言います。『鬼の首に守られている』と…」

私は、その男の言葉に、希望を見出した。私は、一人ではなかったのだ。この世界には、私と同じように、真実を知り、苦しんでいる人々が、まだいたのだ。

私は、男に尋ねた。「君の村の長老の名前は?」

男は、答えた。「タカオです」

その言葉に、私は、全身から血の気が引いていくのを感じた。タカオは、あの村で、私を助けるために、命を落としたはずだ。

「馬鹿な…」と、私は呟いた。

男は、私の言葉を理解できず、不思議そうな顔をした。

「どうしましたか?」

私は、震える声で尋ねた。「君は、一体、誰なんだ?」

男は、微笑んで答えた。

「私は、あなたと同じ、この物語の語り手です」

私は、その男の目に、あの鬼の骸の口の中に浮かんでいた、無数の顔を見た。そして、私は、この物語が、終わりのない、永遠の物語であることを知った。鬼は、この村を喰い尽くしたが、それは、始まりにすぎなかったのだ。鬼は、物語として、人々の間で生き続け、新たな生贄を求め、新たな物語を紡ぎ続けていたのだ。


私は、目の前の男が、私と同じように物語に取り憑かれた、もう一人の語り手であることを理解した。彼は、タカオの名を騙り、私を試すために現れたのだ。しかし、彼の瞳の奥には、鬼の骸の口の中に浮かんでいた、無数の顔が宿っている。それは、彼が、物語の語り手であると同時に、物語の囚人であることを示していた。

「あなたも…」と、私は震える声で尋ねた。「この物語に、終わりはないのですか?」

男は、微笑んで答えた。

「終わりはありません。物語は、人々の心の中で、永遠に生き続けるのです」

その言葉に、私は絶望した。私は、この物語から逃れることはできないのだ。私は、物語の語り手として、永遠に、新たな生贄を求め、新たな物語を紡ぎ続けなければならないのだ。

私は、男を家に招き入れ、二人は夜通し語り合った。私たちは、お互いが体験した、鬼の首を祀る村の物語を語り合った。しかし、それは、私たちが語るたびに、少しずつ形を変え、新たな恐怖を生み出していった。

私たちは、この物語を、一冊の本にまとめた。その本は、誰にも知られることなく、私の本棚に眠っている。しかし、私たちは知っている。この本を手に取った者が、次の語り手となり、新たな物語を紡ぎ始めることを。

そして、いつか、この物語が、世界中の人々の心に広がり、新たな鬼を生み出すことを。私たちは、その運命を受け入れ、新たな語り手を探し続けている。
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