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第4話
しおりを挟む堀木と美術館で知り合った青年、大野明仁は美大を卒業してから数年もの間、画家として芽を出すことができずにいた。
美大に行ったからといって、誰もが画家になれるわけではない。
彼に才能がないわけではなかったが、自分よりもセンスがある人間などいくらでもいることを大野は美大に入学して初めて痛感した。
モネやルノワールのように、自分の描いた作品で人の心を揺さぶり、感動させられるような画家になりたいし、いつか自分だけの美術館を建てたい。
今までそんな夢を抱いてきた彼だったが、次第に自分の才能の限界に嫌気がさし、就職することもないまま美大を卒業してからは自堕落な日々を送るようになっていった。
大野は何人もの女を取っ替え引っ替えし、彼女たちに養われながら生きていたが、心の底では彼女たちを軽蔑していた。
女というのは、勝手におれに期待して近づいてきては、勝手に失望して去っていく。
学生の時初めて出来た彼女も、就職しなかったおれを見限って去っていった。
今では彼女の連絡先も知らないし、彼女と過ごした日々の思い出も、彼女に抱いていた淡い気持ちも何もかも、忘れてしまった。
今ここにあるのは、女におだてられることでようやく生き長らえているちっぽけなプライドと、欲望、荒い息遣い、汗の匂い。
―もうこんなの、うんざりだ。
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