シーラの工房

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勇者様

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コロンコロン

軽やかな、木のベルが鳴り響く。
工房のドアが鳴ったことで、シーラは来客に気が付いた。
「や、シーラ」
「勇者様!」

シーラは知っている顔に、笑顔を向けた。
「その、勇者様っていうのやめてくれよ」
「でも、勇者様は勇者様なので…」
シーラが、お師匠様の工房で見習いをしている時に知り合ったジークという男は、小さい時から勇者になりたいと言っていた。

シーラより少し年上のジークは、時々お師匠様の工房に顔を出していた。
自然と知り合ったその少年は、数年前から勇者としてしっかり活動していた。
この世界には不思議な力、いわゆる“魔法”のようなものが存在している。
ジークは、その魔法をほとんど使わず、自分の武器のみで活動をすることに定評があった。

昔から、自分が達成する目標をしっかりと決め、それに向かって努力する姿。
シーラはその背中を、時々目にしていた。
兄や姉のように、着実に前に進んで行く姿を尊敬している。
置いていかれて、その背中がどれだけ遠くなっても、自分も下を向かないでいられた。

だって、置いていかれても、その先で待っていてくれるような安心感があったから。
だから、自分も努力することを惜しいとは思っていない。
むしろ追いつくために、毎日必死に励んでいる、と自分では思っている。

努力することで、自分が思うものではなくても、確実にそれは何かの力になって自分に戻って来る。
シーラは、そう信じていた。
ジークは元々勇者になりたいのに、叶わないかもしれないと口にしていた。
それは、家族のことや自分のするべきことなどを考え、勇者には程遠い生活をしている自分を悔やんでいた。

でも、悔やむだけではなく、努力することを忘れなかった。
自分がしなければいけない課題の中に、勇者になるのに必要なことは何かを常に知ろうとしていた。
近道などない、確実に一足を踏み出すための準備を怠ることがなかった。
そして、念願が叶い自分の足で立っている。

その尊敬は、勇者という称号を得て更に高まった。
そして、勇者になってもジークはシーラを邪険にすることは全くなかった。
家族のように、作業や行動の遅いシーラを昔から、可愛がってくれた。
と、自分でも思う。

まるでもう1人の兄のような、肉親のような親しさを勝手に感じている。
それは、勇者様も同じようで、会えば必ず世間話と自分が今何をしているのかなど、近況報告をする関係を保っていた。

「昔みたいに、ジークって呼んでくれて良いのに」
「そんな、恐れ多くて」
「一人前になったんだって?」
勇者様の声で、そうだったと思い出す。

「そうなんです!見てください」
嬉しくなって、自分のライセンスを取り出した。
勇者様は、「鑑定」という相手や自分のこと、人だけじゃない物も分析する力を持っている。

小さい頃から使えるもののようで、的確なアドバイスをもらったことが数えきれないほどあった。
『シーラ?今は、目の前の鉱物に集中しようか?』
『その鉱物は、割れやすい箇所がいくつもあるから気を付けて?』
『その鎖は、今だけしか使えないよ。加工に耐えられないみたいだ』

勇者様に言わせると、まるで辞書のように、その対象物のことが説明されるように浮かぶそうだ。
自分も鑑定の力を養いたくて、慣れないことに挑んだのは少し前のこと。

“視る”ためには、お師匠様の力が必要だったけれど、毎日の作業に加えお師匠様の言う通りに目を慣らすのは、新しい知識を得るようでとても楽しかった。
楽しいだけでは勿論なかったけれど、それでも“視える”ことが楽しくなった。

少し目を凝らさないと、シーラは“視る”ことはできなかったが、勇者様は呼吸するようにできるらしい。
これも、1つの魔法のようなものだ。
自分は少ししか、情報が浮かんでこない。
でも、加工する金属や、鉱物との相性などを決める時に役に立つので、習得して良かったと本当に思っている。

だって、シーラが知ることができるのは、星である鉱物の声だけだから。
アクセサリー加工する金属や、磨く布のことを情報として知れるのは、シーラにとって確実な利点だった。
自分でも、ライセンスを鑑定したが(e)は“ワケあり”としっかり情報として刻まれていた。
シーラは、変わることのない情報を言った。

「まだまだ半人前なので、(e)がついていますけど…」
少し恥ずかしいと思いながらも、ライセンスを得られたという嬉しい気持ちが勝ち、勇者様に見てもらった。
勇者様は少し目を見開き、驚いた表情をする。
「お師匠様は、作業が遅いことと加工に時間がかかるのは職人としては、“ワケあり”になってしまうと言っていたので」
自分の説明は間違っていなかったはずだ。

けど、勇者様は少し違ったのだろうか?
「ワケありなんてとんでもない。これは、シーラをきちんと守ってくれるライセンスだ」
「そうなんですか?」
「そうだよ、やっぱりハンナはすごいな。ベールの奥に情報が隠されているようで、久々にこんなにワクワクする」

ハンナは、お師匠様の名前だ。
どういうことだろう。
「ベールの奥?」
言われた言葉を反芻して、首を傾げる。

「あっ、と…。ベールというのはその、イメージで」
勇者様は、少し考えるように黙った。
「良いかいシーラ?このライセンスは、君を騙そうとか、利用する人間には“ワケあり”としか表示されないようになっているんだ。だって、普通の鑑定ならそれで問題ないから」

勇者様の手にある小さなカードをじっと見る。いや、“視る”。
シーラにも、何度も視えた“ワケあり”の文字。
でも、勇者様には他に何が“視えている”んだろう?

この世界に住む半分以上の人が、鑑定の目を持っている。
でも、それはライセンスと一緒で、きっとピンキリなんだろう。
どの職業の人も、普通に使えている鑑定なので、自分の職業に使える鑑定は最低限の情報で事足りる。
“視る”ものが、本物なのか偽物なのか。

物として価値があるのか、人として信用できるのか、など。
勿論、隠すのが上手な人も、それを利用して悪いことをする人も世の中にはいる。
でもそれは、貴族や王族のような限られた人たちの生きる世界だけだろう。
その中では情報こそ正しくあるべきだし、正確な情報がどれだけ価値を持つのかが問われる。

でも、シーラは村人だ。
それも、職人を生業にしている。
目の前の物が、正常に機能していれば、人でも物でも困らない。
それは、商品を買う人も同じだ。

私が作る者が、偽物でなければ問題ない。
それで世界は回っている。
それが普通で、これからも生きていく世界だ。

「でも、私にもちゃんと“ワケあり”って視えています」
「そうだね、だってそうシーラが思っていないと、意味がないから」
「意味、ですか?」
「そうだよ、もしシーラを利用する人間がいたりして、悪いことに加担させようとしても、その作業がゆっくりなことや技術に時間がかかると知っていれば、それを悪用してまで悪いことをするのは骨が折れるだろう?」

確かに。
贋作や、複製品にだって工程の作業は同じだけかかる、と思う。
多分だけど、そうだろう。

その場しのぎでごまかせる物でも、製作時間が見合わなければ、私は職人として役に立たない。
悪用する人間には、ただの愚鈍な職人になる。
そういうことだろう。

「やっぱり、お師匠様はすごいですね」
「すごいのは、シーラもだよ」
勇者様の言葉に、今度は私が目を見開いた。

「こんなにゆっくりなのに?何がすごいんですか?遅さがすごいってことですか?」
「はは、違うよ。そうじゃない。君の作るアクセサリー、装飾品が本物ですごいってことだよ」
「本物?それは、お師匠様が質の良い鉱物を仕入れてくれるからですよ」
「うーん、鉱物そのものの価値も勿論そうなんだけど、どう言ったら良いのかな?」

勇者様は掌を広げると、その中で小さく水を発生させた。
「うわぁ!相変わらず早いですね。とても綺麗」
小さい頃から、勇者様は手の中で作り出す水や火がとても綺麗だった。
規模が小さい雨や、霧、竜巻、炎や高濃度なマグマなど、私の鉱物の加工をとても助けてくれた。

それはそれで勇者様の修行になると、小さい頃から私が頑張ろうとするのをそっと助けてくれた。
勇者様の修行をするのに、私の加工が進むのが必要だと言われると、私は嬉しくなって加工を頑張った。
お互いに修行ができる関係、まるで同志のような始まりだったのを思い出した。
いや、勇者様とライセンスCの職人なんて、今では絶対に関わりのない成長をしたけれど。

「この水は、咄嗟に出すとその時によって、濁ったり量が少なかったりするんだけど」
「…はい?」
いつでも、勇者様が出す水は綺麗で透き通っている。
水を“視て”も、『勇者が発生した水』『飲み水として問題なし』くらいしか出てこない。

「でもね、この水を綺麗に保つのに、俺の意志というか気持ちがとても大事なんだ」
「はい」
「ダンジョンとか、野宿が続くとその水の精度も落ちてくる」
「はい」

まるで、お師匠様のように教えるような口調。
必死で理解しようと、真面目に耳を傾ける。
「毎日、水を出し続けるのが作業になると、飲み水としてもギリギリのラインしか出せなくなる」
「はい」

「そのくらい、集中力って大事だって話ね、まずは」
「はい、まずは?」
「そう、まずはね」

「でも、シーラはどうだろう?毎日のように加工に向き合って、何時間も集中して鉱物を磨いたり削ったり、金具と合わせたりしているんだよ。作業に、どれだけの時間を要しているの?」
そうは言われても…。
これは、もう気が付いたらそうだっただけだ。

星の声に、鉱物の囁きを聞きながら、「こうしたらどうだろう?」「じゃあ、こういう加工はステキなんじゃないか」そうやって相談しながら、鉱物と向き合う時間は私には、何よりもご褒美なんだ。

だから、職人という仕事は私には合っている。
ただ、たくさんの品物は私には作れない。
お母さんのように、いくつもの作業を何個も同時になんてできないだけだ。

お母さんは、いつでも織物と縫物、そして鉱物の鑑定と忙しく働いている。
その中で料理を作り、私たちの世話をし、父のサポートまでしている。
「その全く落ちない集中力は、すごくないの?俺だって、毎日同じことを繰り返していたら、流石に飽きてくる。でも、シーラはいつでも鉱物とまっすぐに向き合っている」

「それしか、私にはできないから」
そう言う私に、もう1人の兄は嬉しそうに笑った。
「幼いシーラに、それだけの集中力を見せられたら、年上は文句も言わないで頑張るしかなかったんだよ?」

その言葉に、ふと思い出す。
兄と姉と勇者様と、いつでも私の先に行っていた3人を。
何なら弟にも、抜かされそうだけど。

「それを言うなら、姉さんと兄さんと、勇者様の成長に置いていかれないように必死でした」
「そんなもんかね?俺たちは馴れ合いとかしないし、勿論3人とも見ている方向、目指す方向が違うから協力することもなかったし、でも…さ?」
「はい」
「シーラという、負けたくない年下にはカッコ悪い所を見せたくないって、いつでも目標にしてもらいたいって、3人とも思っていたのは確かかな?」

それは、知らなかった。
いや、言われても信じられない。

「シーラが作ったという、この加護の指輪は本物だ」
勇者様が急にそう言った。
勇者様の指で黒く輝く、オニキスの指輪。
私がまだ見習いの頃に、お師匠様が気まぐれにくれたんだっけ?

砂粒ではない、米粒ではない、初めて手にする大きさの鉱物。
囁きではない、はっきりとした強い意志としっかりした声。
その声に導かれるまま、毎日磨いて少しずつ削って。
そうして金具も拘って、何度も台座に嵌めて。

鉱物の、星の嬉しそうな声と、放つ本来の輝き。
増していくその存在感に、私の自信に繋がった経験。
お師匠様から初めて言われた言葉。
「あんたはそのままで良い。大事にしな、星の声を聞く気持ちを」
出来上がった指輪を前に、お師匠様は見慣れた笑顔を浮かべた。
『上手にできたね』

そう言われて、とても誇らしかったのを覚えている。
そして、余計に星だったものへの興味が湧いたんだ。
まだ出会っていない鉱物に、どうやって出会えるかワクワクしたんだ。
その少し後だ、お師匠様に本格的に弟子入りして修行が始まったのは。

「加護がありましたか?」
「あぁ、バッチリさ」

勇者様の言葉に、シーラも嬉しくなった。
「もう、この指輪なしではダンジョンには潜れない」
そんな嬉しいことまで言ってくれた。
しかし、シーラはニコニコしたまま勇者様の嵌める指輪を見た。

「少しだけ、見ても良いですか?」
まだ、幼い時のことだし、シーラには完全に試作品になるけれど、お師匠様のお墨付きがあってこのオニキスの指輪は完成した途端にすぐに売れたとのこと。
買ったのは勇者様だった。
お小遣いをもらえた、嬉しい記憶だ。

シーラの作品は、製作中は問題ないが、何故か完成した途端その存在をなくす。
つまり、製作者不明の状態になる。
それは、持ち主にしたら少し困る状態だと思うのだが、それで文句を言われたことも怒られたこともない。

持ち主が望んだ品物を納品していることで、苦情になったことは幸いにしてなかった。
お師匠様からため息交じりに「まだできないのかって、催促が来てね」という言葉は何度か言われているが。
それでも、依頼主が満足する品物を作れているのなら、今の所良いだろう。

修行を兼ねて作った作品は、私への報酬としてお師匠様からお小遣いをもらっている。
でもお小遣いではないのだ。
いや、勿論嬉しいけど。
できたという達成感と、満足感。
そして星たちの『ありがとう』という嬉しそうな感謝。

それを感じるだけで、あの時間が全て報われる気がしている。
この12年、いやもっと長い時間か。
私が作った作品は意外に少ない。
それも、こうやって私が直接目にする機会は、ほぼ全くと言ってない。
でも、このオニキスの指輪は、時々目にする。

毎度のことながら、持ち主に譲渡した途端鉱物の情報が上書きされ、職人であるシーラのことには触れなくなる。
それでも、このオニキスには“製作者:シーラ(見習い)”の文字が生きていた。
それを見て嬉しくなる。

そして、少しだけオニキスに陰りが見えた。
「少しだけ…」
勇者様の指を包むように両手で組み、オニキスの指輪を覆う。

オニキスは、ノンストップで稼働してきたのだろう。
守るべき主をきちんと見極め、いつでも緊張感に包まれていたはずだ。
“星の加護を”
心の中で必死に願う。
時間にして数秒だっただろう。

オニキスの黒い輝きが増した。
「え?嘘?」
勇者様の声にシーラも「え?」と声を出した。

そこには、製作者の欄がなくなり、持ち主:勇者 ジークというものが上書きされた。
最近見慣れた、シーラの制作物になった。
勇者様は、途端に落ち込んでしまった。

「…あぁ、折角のシーラの作品が」
「ご、ごめんなさい!でも、加護は…」
「加護じゃない、それだけじゃないんだ」

勇者様の言葉に、シーラは首を傾げる。
「でも、オニキスは少し疲れているようだったので、これでリセットできたと思えば…」
勇者様の指で輝くオニキスは、艶々し眩しいほどの光を放っていた。

「確かに、すごく加護が強まっている。指輪も喜んでいるけど、…でも」
恨みがましい視線に、シーラは苦笑した。
もう1度指輪を両手で包み、少しの祈りを捧げる。

「これでどうでしょう?」
再度、鑑定したのだろう。勇者様が、困ったように笑った。
「そうだね、秘匿する部分は秘匿した方が良い」

情報の中に、『加工:S』という文字が増えた。
シーラの名前は出ていない。指輪も、心なしか喜んでいる気がした。
自分の希望を伝えただけなのに。

「しかも上位の鑑定を行えば、ちゃんと出てくるようだ」
勇者様の声に、自分でも目を凝らすが何も浮かんでこない。
勇者様が言うには、きちんと『シーラの試作品』という文言は遺っているらしい。
より奥の、ベールに包まれたようになったらしい。
またベール。

シーラはもう1度じっと指輪を見つめたが、何も浮かんではこなかった。
それはそうだ、シーラの鑑定の目は標準なのだから。

「これはこれで、レア…いやでも狙われてしまったら」
勇者様が、そんなことを言い始めた。
誰も狙わないだろう。
勇者として、活躍している人の物を。

私の笑いにつられて、勇者様も少し笑った。
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