えむしき!

霧永燈眞

文字の大きさ
3 / 6

第3話 クエスト

しおりを挟む
昨日オオナメクジから助けてもらった二人の少女。名前は変態魔法使いがラミア、まともそうなアンデット使いがスイナ。二人の出会いはまだラミアが幼い時、両親を亡くし墓地で独りで泣いていると現れたのがスイナで色々励ましてくれたのだという。そのかいあってラミアは立ち直り、元々の夢であった魔法使いを目指したらしい。
ラミアは魔法使いは魔法使いでも最強の魔法使いを目指そうとしているようだ。何故最強を目指すのか。それは魔法使いを目指し魔法を習得する為に勉強をしていた際に突然現れたある男に魔法を教わったかららしい。その男の放つ魔法はどれも綺麗でとんでもない破壊力を有していた。それに魅了されその男のような最強を目指すようになったという。だがラミアはどれだけ修行を積もうと魔力は湧いてこない。そこでスイナはラミアの最大の欠点である魔力がないというものを解決しようと【魔力吸収《ドレイン》】を覚え、アンデットたちを従わせる能力を身に着けた。その結果が今だ。そして俺のパーティーに入ったのだが…………。
「大地を穿ち全てを灰燼と化せ、究極火爆発《テリコスグラニティス》!」
ラミアの詠唱と共に辺りに轟音が響く。先程まで青々しい草原が広がっていた広場が今は土しか見えなくなっており、町一つ入りそうなほど地面がえぐれてクレーターができていた。
「すごい威力だなー。セレナもそう思うだろ?」
「ああ、一度食らってみたいと思うほどの威力だな…………!」
「…………行くなよ?」
「……………………………………ああ、大丈夫だ」
行かないと言わずに大丈夫というあたり不安が残るのは俺だけだろうか…………?
「スイナはラミアがこんな魔法使えるの知ってたのか?」
スイナはコクリと頷き、スケッチブックのような物を取り出した。
その紙に文字を書いていき、俺とセレナに見せてきた。が、俺は読めない。そろそろ異世界語も覚えておくべきか。俺の様子を見て察したセレナが書いていることを読み上げてくれた。ここにきて初めて役に立ったなと心から思った。
「えーと何々、前から習得してたけど私がその分の魔力を集めてあげられなかった。使ってみたそうにしてたからカズヤには感謝してる、らしいぞ」
………………なんて良い子なんだ。セレナはドMでラミアは魔法の変態、変な奴らばかり集まってしまったと思ったらスイナは…………圧倒的正統派美少女! これはもう女神としか思えない。
「というかスイナ。会った時から思ってたんだが服ボロボロ過ぎないか?」
俺の質問にまたしても書いて答える。
「私たちあまりお金がないから服が買えなかったの。稼いでくれるラミアの装備を優先させて買ってたら私の服がボロボロになっちゃったんだ。まあ私は別に気にしないし良いんだけどね。ラミアは買おうって言ってくれてたけど服を買うお金なんて装備品の手入れと毎日のご飯代で消えちゃうからと、言ってるぞ。というか良く喋るな、そこまで喋るなら話せばいいのに」
セレナの言葉にスイナは首をブンブンと振る。取れるんじゃないかと思うほどに。
よほど喋りたくないのかなにか理由でもあるのか? まあ勘繰りはよそう。誰にだって秘密はあるもんだ。ひとまず俺は興奮しながら帰ってきたラミアに嫌味を込めて。
「すごい威力だったなぁ。どうだった、俺の魔力を奪って撃った究極火属性魔法の感想は」
「酷い言いようですね。私はカズヤの許可を得て魔力を放っただけですよ」
「いやぁ、俺がそんなに強い魔法撃てないのに撃てて良いなと思ったんだよ。でも本当に魔法ってのはすごいんだな」
「そうですよ! 特にさっき撃った究極火爆発《テリコスグラニティス》は人類の発明した魔法の中でも最上位に位置する魔法です。私の欲求も満たされるくらいの体に響く具合でした。私を満足させるくらいの威力なので当然、カズヤの魔力量があと三倍くらいあれば王都くらい滅ぼしちゃえますよ!」
「冗談でもやめろ」
こいつが使うのはどうかと思うが本当にすごい威力。まあ何にせよ俺の魔力はもう殆ど無いし今日は実の入がいいクエストもない。とりあえず……………………寝るか。
俺はこの草原で寝転がり目を瞑る。
周りが少し騒がしいが無視をして寝ることにした。《え、寝るのですか!? クエストは行かないのですか。ねえカズヤ! 私今日あの魔法のじーんしか味わってないですよ! ねぇカズヤ!!》
何故か揺さぶられているような気もするがとりあえず無視だ。
《わ、私も寝ようか…………! イタズラとかされても起きないかもなぁー! はぁ眠い眠い…………》
こいつは何を期待しているんだろう。まあ当然無視だな。
《すぅすぅ…………》
…………やっぱりスイナは天使だな。全く……ラミアの方が年下なのになんで可愛げがないのか不思議でならない。
本当にこいつらは…………全く……世話が焼ける奴ら……だな。でも案外悪くない……。俺はゆっくりと眠りに落ちていった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

勇者の様子がおかしい

しばたろう
ファンタジー
勇者は、少しおかしい。 そう思ったのは、王宮で出会ったその日からだった。 神に選ばれ、魔王討伐の旅に出た勇者マルク。 線の細い優男で、実力は確かだが、人と距離を取り、馴れ合いを嫌う奇妙な男。 だが、ある夜。 仲間のひとりは、決定的な違和感に気づいてしまう。 ――勇者は、男ではなかった。 女であることを隠し、勇者として剣を振るうマルク。 そして、その秘密を知りながら「知らないふり」を選んだ仲間。 正体を隠す者と、真実を抱え込む者。 交わらぬはずの想いを抱えたまま、旅は続いていく。 これは、 「勇者であること」と 「自分であること」のあいだで揺れる物語。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

レオナルド先生創世記

ポルネス・フリューゲル
ファンタジー
ビッグバーンを皮切りに宇宙が誕生し、やがて展開された宇宙の背景をユーモアたっぷりにとてもこっけいなジャック・レオナルド氏のサプライズの幕開け、幕開け!

処理中です...