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「ーーで、できた……!」
時計の針がてっぺんを迎える頃、私は自室で一人ガッツポーズをした。
手元の試験管に入った薄紫色の液体を眺め、フッと、一人不敵な笑みを浮かべる。
つい夢中になってこんな時間になってしまったが、我ながら仕事が早い。手際の良さに惚れ惚れしてしまう。
昼間リンダに、とある薬の生成をお願いされた。
私はもともと魔術による製薬の分野の方が興味があり、無職時代もその研究に勤しんでいた。いつかは職場に私が作った薬を卸してもらえないかと目論んでいたため、願っても無い依頼だった。
『あのね、前気になる彼がいるって飲み会で話してたじゃない? 彼も何となく私に気がありそうだな~って素振りは見せてくれるんだけど、どうにも確証が持てなくて……ついでに他にも彼を狙ってる人が彼の職場にいるという噂まで聞いちゃって、もし両思いなら、少しでも早く彼をモノにしたくってね! そんなことが叶う魔法道具ってあったりしないかな?』
何という無茶振り。
しかしながら私におねだりするリンダがあまりにも可愛らしく、私もまた彼女に褒められて大層気分が良かったため快諾した。
もちろんそんな都合の良い道具は市販されていないが、無いのなら作るしかあるまい。
かつては神童と呼ばれていた私。やってやろうじゃないの魔術製薬。
という訳で出来上がったのがこちら、【飲んだ本人が好意を寄せる相手にのみ欲情する薬】~!
実験のしようがないので効果の程は分かり兼ねるが、過去に惚れ薬も作ったことがある。同じ配分でちょっと術式を変えたものだから、よっぽど失敗は無いだろう。何せ私、魔術においてはちょっと天才なので。
しかしながら薬を持ち運ぶ、丁度良い入れ物が無い。
台所に適当な容器無かったかな……。
試験管を片手に、のそのそと部屋を出て台所へ向かう。コーマの手によって綺麗に整理された食器棚を漁るが、そんな都合の良い入れ物は無い。水筒に入れるのも大きすぎるし、試験管のまま持って行くのもなぁ……。
ついで冷蔵庫の中を見回していたところ、市販の栄養ドリンクが目に入った。これだ!
中身を一気に飲み干し、その空き瓶をくまなく洗浄すると、私は試験管の中身を移し替えた。
容量もピッタリ。やはり私は天才だ。
これを明日、職場に持って行きリンダに渡してやろう。喜んでくれるといいなぁ。
冷やしておいた方が薬の鮮度の劣化も防げるため、一旦冷蔵庫に瓶をしまい、寝る前に一度用を足しておこう~とお手洗いに向かった。
「げ」
戻って来ると、台所にコーマがいた。
何故にこんな深夜に。あ、そう言えば今夜は資料作成で夜中まで持ち帰り業務をしているから、「絶対に邪魔するな邪魔をしたら殺す」、と念を押されていたことを思い出す。すっかり忘れていた。
うるさくし過ぎた私を叱りに来たのだろうかと恐る恐るコーマを見やるが、彼は私を見据えたまま、微動だにしない。
寝ぼけてやがるのか?
眉を潜ませながら、コーマを観察する。
よくよく見ると頬がみるみる紅潮しており、何となく呼吸も浅くなっているように感じた。目付きは相変わらず悪いが、そのエメラルドグリーンの瞳はなんだか潤んでいるようにも見える。
「? あんた、もしかして体調悪いの?」
そうっとコーマに近付き、頭一つ分以上高い位置にある額に手を添えようとすると、不躾に払われた。
「! 失礼な奴だな」
「……ハァ、触るんじゃ、…ねぇ……」
「いやいや、だって見るからに体調悪そうじゃん。熱があるかもしれないし、ちょっとお姉ちゃんに見せてみ」
「くそッ、やめろーー」
無理矢理コーマの体温を触診しようとする私と、どうしても私に触られるのが不快らしいコーマの攻防戦の最中、横目に恐ろしいものを目にしてしまった。
台所の流しに、見覚えのある空き瓶が一つ。
あれ? 私がさっき見た時、冷蔵庫の中にあった栄養ドリンクって一つしかなかったよな? そんでもって私が薬の中身を入れ替えて、一本元に戻してーー
「あんた、もしかしなくても冷蔵庫の中の栄養ドリンク、飲んだ?」
「あ゛? …………飲んだが、一体それが、何だって言うんだ」
ちぃいッ、なんてこと。
触診を抵抗するコーマに両手首を掴まれながら、私は心の中で盛大に舌打ちをする。
いやいや、いくら疲れていたとしても、気付けよ、なんか味が違うって。くそ、私のアフターファイブの数時間の努力を無に返しやがって……明日早急にリンダに渡して、仕事の早い女っぷりをアピールできないじゃないか。
そんな明後日のことを考えながら、弟の所業に苛ついていると、両手首を握る手に力が込められた。あ、やべ。
「…………おい、お前まさか」
「ピュ~♪」
「口笛吹いて誤魔化すんじゃねぇ! お前……ッ…一体何を飲ませやがった……」
くそう私の仕業と気付かれたか。
どうやって言い逃れをしよう
あれ? でも待てよ。そもそも普通だったらコーマに今、この薬の効果が出てるのっておかしいんじゃ無いか?
こいつが先程誤って飲み干しやがった薬は、飲んだ本人が好意を寄せる相手にのみ欲情する、私特製の代物のはずだ。
しかしながら、この家は私達二人しか住んでおらず、当然のことながらこの室内にいるのも私達だけだ。
詰まるところ、この男の目の前には私しか存在しないわけで。
ガタンッ
気付くと、食器棚が背中に当たり、目の前には私よりずっと大きなコーマの胸板。そして、見上げると今にも齧り付いてきそうな、余裕の無さそうな捕食者の目をしたコーマの顔があった。
ひぇえっ、と、とにかく、薬が失敗したのか何なのかよく分からないけど、なんかこのままだとまずい! 命が! 命が危ない!!
「こ、コーマ! あのーー」
「……ッ…ハァ、ハァ、」
「ひぃいっ」
徐に首元に顔を埋められ、耳元に熱い吐息が直に当たり、ぞくぞくと変な感覚が背中を這い上がる。
こ、このまま喉笛をぶちっと噛み千切られるのか私。
「……お前の、…ッ、せいだからな……っ」
「ぇ、なにーーッあっ!?」
しかし構えていた激痛は首筋に訪れず、代わりに降ってきたのは、滑りを帯びた生温かい感触だった。次いでその感触が首筋から耳介まで伸びると、またもや背中と、下腹部にいけない感覚が押し寄せる。
数拍置いて、私はコーマに首元に口付けをされ、舌を這わされていることに気付いた。
え、なに、なに、一体何が。
耳介を舌先で弄られると、ぴちゃぴちゃと耳元で響く水温が響いた。それらの刺激にびく、びく、と反射的に体が跳ねる。
「ま、まって、…ひぃうぅっ!」
カリッと耳朶を噛まれて、変な声が出た。
恥ずかしくて、カッと全身が熱くなる。思わず身を捩るが、両手首を彼の両手で拘束されており、身動きが取れない。
「ひゃぁあ!?」
ぐり。と、私のアソコに、固い何かが押し付けられた。それが何なのか分からないほど、私も初心では無い。
どういった経緯で薬の配合を失敗したのかは分からないが、少なくともコーマは現在私に欲情してしまっており、息子も元気ビンビンになってしまっているようだ。
顔面は私の首元に押し付けたまま、フゥフゥと荒い呼吸を繰り返し、コーマは私の割れ目の部分に、布越しに己の分身を擦り付けている。
あの普段はつっけんどんとした暴君の弟が、情けない程に肉欲に従順になり、私に抱き付いてはぁはぁしながら腰を振っている。ざまぁないわ、はっはっはーー等と馬鹿にする余裕も私には無くて。
恥ずかしい話、この歳になって未だ生娘歴を更新し続けている私は既にこのシチュエーションにキャパオーバーになり、熱に浮かされた空気だけでアソコがぐずぐずになっていた。
布越しでもしっかりと快感は拾われ、僅かに擦れる敏感な部分をコーマの肉棒が揺すっているのかと思うと、どうしようもなく興奮してしまった。姉弟なのに、弟のおちんちんに欲情するなんて、私は、私は。
徐に、寝巻きのパンツの隙間からコーマの片手が侵入してきて、私は飛び上がった。
待て待て待て! 流石にそれはーーっ
「コーマ、待って……! あぁあんッ」
くちゅり、と、既にびしょ濡れになっているであろう割れ目に、コーマの指が触れると、とてつもない快感が腰を駆け抜けた。
コーマの表情は依然として見て取れないが、私の反応が明るいと感じたのか、そのまま花弁への攻撃を続けてきた。
「んんっ…! ぁっ、ああっ、…やぁ、ンっ…!」
くちゅくちゅくにゅくにゅ
スライドするように割れ目を擦ったかと思うと、時たま爪を立てて誰にも直接触られたことのない、敏感な陰核を根本からこよりを作るように捏ね上げられる。
コーマは知らぬ間にすっかりと大人になっていたようで、彼の愛撫は悔しいことに、とてつもなく気持ちが良かった。
更にいつも私の頬を抓って来るあの指が、私を嫌ってる筈の弟の手が、この刺激を与えているのだと考えると何故か子宮に甘美な快楽がうずき、蜜壺から愛液を溢れさせた。
解放された片手でコーマの肩を掴むが、それは最早抵抗のためのものではなく、快感に耐えるためのお飾りに過ぎず。もはや彼に抱き付くような形で、私は彼の首筋に顔を埋め、次々に与えられる快感に耐えた。ぎゅっと弟に縋り付くと、彼もびくりと肩を揺らし、また更に指での猛攻を苛烈にしてきた。
「あふっ、…ぁっ、んんっ、…こー、まぁ、ゆび、はげしっ…ごしごししちゃ、やぁあっっ」
いつの間にか彼の長い指が他人に暴かれたことのない牝穴に侵入して、ぐちゅちゅちゅっとかき混ぜていた。時折イイところを押し潰し、掻き擦られるとぞくぞくそくとした刺激が下半身を突き抜け、がくがくと腰が揺れてしまう。
びしゃびしゃに溢れるえっちなお汁が、内腿を垂れているのを感じる。台所の床はきっと、私のお汁まみれになっていることだろう。
「ぁあああっだめっ、も、イッちゃう! ダメダメだめイくッ、弟のゆびでイくぅうッッ!」
私はコーマの首に腕を回し、抱き付くと、そのまま彼の指を膣内に迎え入れたまま果てた。びく、びく、と痙攣するたび、膣肉が収縮して彼の指を締め付けているのを感じる。
荒い呼吸を繰り返しながら、抱き締めたままの弟の頸を見つめていると幾分が思考がクリアになってきて事の深刻さを実感した。
どどどど、どうしよう!
私の作った薬で暴走した弟に釣られて暴走して、挙げ句の果てにイかされてしまったっ……!
と、とにかくコーマから離れないと……。
「コーマ……あの、ひぁあっ!?」
ちゅぷんっ、と指を引き抜かれ、苛烈な刺激で敏感になったお股にまた快感が走った。
体勢を立て直して、コーマを覗き見ると、漸く彼の顔が見えた。
真っ赤なお顔に、息も絶え絶え。とても辛そうな様子だった。
ちら、と見えた彼の股間は引き続きこれでもかというほどにズボンを押し上げており、私はあまりの立派なご様子に思わず視線を逸らした。
「あの、コーマ……あの薬だけど……」
汗が滲む彼の頬に手を添えながら弟を見上げると、視線が交わった。
目つきが悪いのは相変わらずだが、薬の作用の辛さか、潤んだその瞳はなんだか艶っぽく、我が弟ながら扇情的で。
その瞳が映し出す私も同じように、蕩けたようなだらしない表情をしていた。
その瞳がみるみる私に近付いてきて……、え、ちょ、これ、まって、キスーー
「コーマ!! あの薬、本当は好きな人にしか欲情しないように作ってたんだけどなんか失敗したみたいだから、コーマはちゃんと本当に好きな子とこういうことした方が良いと思う!!!!!」
早口で捲し立てると、ピタリ、と、唇と唇が触れる寸前で、コーマの動きが止まった。
数秒、数十秒、時間が経過し、目の前のフリーズしたコーマを見つめ続ける。おーい? もしもーし? とついでにぺちぺち頬を叩いてやる。
ゴンッッッ
「いっっっだぁぁああ!?」
突然、目の前のコーマに頭突きをされた。
それも盛大な。
あまりの痛みに、額を抑えてその場に蹲る。
痛い、痛すぎる。目の前に星が散った。
キッと涙目でコーマを睨み上げると、それ以上にコーマは魔王もびっくりな恐ろしい形相でこちらを見下ろしていた。茹蛸のように、湯気が出るほど真っ赤になって。
「二度とそんなもん作るなッッ!!!!」
そう吐き捨てると、彼はドスドスと大袈裟に足音を響かせながら、台所を後にした。
「…………」
うーん……、とりあえず、薬は失敗したのだろう。
今回の教訓として、小さめの薬の容器を家に常備しておこうと心に刻んだ。
時計の針がてっぺんを迎える頃、私は自室で一人ガッツポーズをした。
手元の試験管に入った薄紫色の液体を眺め、フッと、一人不敵な笑みを浮かべる。
つい夢中になってこんな時間になってしまったが、我ながら仕事が早い。手際の良さに惚れ惚れしてしまう。
昼間リンダに、とある薬の生成をお願いされた。
私はもともと魔術による製薬の分野の方が興味があり、無職時代もその研究に勤しんでいた。いつかは職場に私が作った薬を卸してもらえないかと目論んでいたため、願っても無い依頼だった。
『あのね、前気になる彼がいるって飲み会で話してたじゃない? 彼も何となく私に気がありそうだな~って素振りは見せてくれるんだけど、どうにも確証が持てなくて……ついでに他にも彼を狙ってる人が彼の職場にいるという噂まで聞いちゃって、もし両思いなら、少しでも早く彼をモノにしたくってね! そんなことが叶う魔法道具ってあったりしないかな?』
何という無茶振り。
しかしながら私におねだりするリンダがあまりにも可愛らしく、私もまた彼女に褒められて大層気分が良かったため快諾した。
もちろんそんな都合の良い道具は市販されていないが、無いのなら作るしかあるまい。
かつては神童と呼ばれていた私。やってやろうじゃないの魔術製薬。
という訳で出来上がったのがこちら、【飲んだ本人が好意を寄せる相手にのみ欲情する薬】~!
実験のしようがないので効果の程は分かり兼ねるが、過去に惚れ薬も作ったことがある。同じ配分でちょっと術式を変えたものだから、よっぽど失敗は無いだろう。何せ私、魔術においてはちょっと天才なので。
しかしながら薬を持ち運ぶ、丁度良い入れ物が無い。
台所に適当な容器無かったかな……。
試験管を片手に、のそのそと部屋を出て台所へ向かう。コーマの手によって綺麗に整理された食器棚を漁るが、そんな都合の良い入れ物は無い。水筒に入れるのも大きすぎるし、試験管のまま持って行くのもなぁ……。
ついで冷蔵庫の中を見回していたところ、市販の栄養ドリンクが目に入った。これだ!
中身を一気に飲み干し、その空き瓶をくまなく洗浄すると、私は試験管の中身を移し替えた。
容量もピッタリ。やはり私は天才だ。
これを明日、職場に持って行きリンダに渡してやろう。喜んでくれるといいなぁ。
冷やしておいた方が薬の鮮度の劣化も防げるため、一旦冷蔵庫に瓶をしまい、寝る前に一度用を足しておこう~とお手洗いに向かった。
「げ」
戻って来ると、台所にコーマがいた。
何故にこんな深夜に。あ、そう言えば今夜は資料作成で夜中まで持ち帰り業務をしているから、「絶対に邪魔するな邪魔をしたら殺す」、と念を押されていたことを思い出す。すっかり忘れていた。
うるさくし過ぎた私を叱りに来たのだろうかと恐る恐るコーマを見やるが、彼は私を見据えたまま、微動だにしない。
寝ぼけてやがるのか?
眉を潜ませながら、コーマを観察する。
よくよく見ると頬がみるみる紅潮しており、何となく呼吸も浅くなっているように感じた。目付きは相変わらず悪いが、そのエメラルドグリーンの瞳はなんだか潤んでいるようにも見える。
「? あんた、もしかして体調悪いの?」
そうっとコーマに近付き、頭一つ分以上高い位置にある額に手を添えようとすると、不躾に払われた。
「! 失礼な奴だな」
「……ハァ、触るんじゃ、…ねぇ……」
「いやいや、だって見るからに体調悪そうじゃん。熱があるかもしれないし、ちょっとお姉ちゃんに見せてみ」
「くそッ、やめろーー」
無理矢理コーマの体温を触診しようとする私と、どうしても私に触られるのが不快らしいコーマの攻防戦の最中、横目に恐ろしいものを目にしてしまった。
台所の流しに、見覚えのある空き瓶が一つ。
あれ? 私がさっき見た時、冷蔵庫の中にあった栄養ドリンクって一つしかなかったよな? そんでもって私が薬の中身を入れ替えて、一本元に戻してーー
「あんた、もしかしなくても冷蔵庫の中の栄養ドリンク、飲んだ?」
「あ゛? …………飲んだが、一体それが、何だって言うんだ」
ちぃいッ、なんてこと。
触診を抵抗するコーマに両手首を掴まれながら、私は心の中で盛大に舌打ちをする。
いやいや、いくら疲れていたとしても、気付けよ、なんか味が違うって。くそ、私のアフターファイブの数時間の努力を無に返しやがって……明日早急にリンダに渡して、仕事の早い女っぷりをアピールできないじゃないか。
そんな明後日のことを考えながら、弟の所業に苛ついていると、両手首を握る手に力が込められた。あ、やべ。
「…………おい、お前まさか」
「ピュ~♪」
「口笛吹いて誤魔化すんじゃねぇ! お前……ッ…一体何を飲ませやがった……」
くそう私の仕業と気付かれたか。
どうやって言い逃れをしよう
あれ? でも待てよ。そもそも普通だったらコーマに今、この薬の効果が出てるのっておかしいんじゃ無いか?
こいつが先程誤って飲み干しやがった薬は、飲んだ本人が好意を寄せる相手にのみ欲情する、私特製の代物のはずだ。
しかしながら、この家は私達二人しか住んでおらず、当然のことながらこの室内にいるのも私達だけだ。
詰まるところ、この男の目の前には私しか存在しないわけで。
ガタンッ
気付くと、食器棚が背中に当たり、目の前には私よりずっと大きなコーマの胸板。そして、見上げると今にも齧り付いてきそうな、余裕の無さそうな捕食者の目をしたコーマの顔があった。
ひぇえっ、と、とにかく、薬が失敗したのか何なのかよく分からないけど、なんかこのままだとまずい! 命が! 命が危ない!!
「こ、コーマ! あのーー」
「……ッ…ハァ、ハァ、」
「ひぃいっ」
徐に首元に顔を埋められ、耳元に熱い吐息が直に当たり、ぞくぞくと変な感覚が背中を這い上がる。
こ、このまま喉笛をぶちっと噛み千切られるのか私。
「……お前の、…ッ、せいだからな……っ」
「ぇ、なにーーッあっ!?」
しかし構えていた激痛は首筋に訪れず、代わりに降ってきたのは、滑りを帯びた生温かい感触だった。次いでその感触が首筋から耳介まで伸びると、またもや背中と、下腹部にいけない感覚が押し寄せる。
数拍置いて、私はコーマに首元に口付けをされ、舌を這わされていることに気付いた。
え、なに、なに、一体何が。
耳介を舌先で弄られると、ぴちゃぴちゃと耳元で響く水温が響いた。それらの刺激にびく、びく、と反射的に体が跳ねる。
「ま、まって、…ひぃうぅっ!」
カリッと耳朶を噛まれて、変な声が出た。
恥ずかしくて、カッと全身が熱くなる。思わず身を捩るが、両手首を彼の両手で拘束されており、身動きが取れない。
「ひゃぁあ!?」
ぐり。と、私のアソコに、固い何かが押し付けられた。それが何なのか分からないほど、私も初心では無い。
どういった経緯で薬の配合を失敗したのかは分からないが、少なくともコーマは現在私に欲情してしまっており、息子も元気ビンビンになってしまっているようだ。
顔面は私の首元に押し付けたまま、フゥフゥと荒い呼吸を繰り返し、コーマは私の割れ目の部分に、布越しに己の分身を擦り付けている。
あの普段はつっけんどんとした暴君の弟が、情けない程に肉欲に従順になり、私に抱き付いてはぁはぁしながら腰を振っている。ざまぁないわ、はっはっはーー等と馬鹿にする余裕も私には無くて。
恥ずかしい話、この歳になって未だ生娘歴を更新し続けている私は既にこのシチュエーションにキャパオーバーになり、熱に浮かされた空気だけでアソコがぐずぐずになっていた。
布越しでもしっかりと快感は拾われ、僅かに擦れる敏感な部分をコーマの肉棒が揺すっているのかと思うと、どうしようもなく興奮してしまった。姉弟なのに、弟のおちんちんに欲情するなんて、私は、私は。
徐に、寝巻きのパンツの隙間からコーマの片手が侵入してきて、私は飛び上がった。
待て待て待て! 流石にそれはーーっ
「コーマ、待って……! あぁあんッ」
くちゅり、と、既にびしょ濡れになっているであろう割れ目に、コーマの指が触れると、とてつもない快感が腰を駆け抜けた。
コーマの表情は依然として見て取れないが、私の反応が明るいと感じたのか、そのまま花弁への攻撃を続けてきた。
「んんっ…! ぁっ、ああっ、…やぁ、ンっ…!」
くちゅくちゅくにゅくにゅ
スライドするように割れ目を擦ったかと思うと、時たま爪を立てて誰にも直接触られたことのない、敏感な陰核を根本からこよりを作るように捏ね上げられる。
コーマは知らぬ間にすっかりと大人になっていたようで、彼の愛撫は悔しいことに、とてつもなく気持ちが良かった。
更にいつも私の頬を抓って来るあの指が、私を嫌ってる筈の弟の手が、この刺激を与えているのだと考えると何故か子宮に甘美な快楽がうずき、蜜壺から愛液を溢れさせた。
解放された片手でコーマの肩を掴むが、それは最早抵抗のためのものではなく、快感に耐えるためのお飾りに過ぎず。もはや彼に抱き付くような形で、私は彼の首筋に顔を埋め、次々に与えられる快感に耐えた。ぎゅっと弟に縋り付くと、彼もびくりと肩を揺らし、また更に指での猛攻を苛烈にしてきた。
「あふっ、…ぁっ、んんっ、…こー、まぁ、ゆび、はげしっ…ごしごししちゃ、やぁあっっ」
いつの間にか彼の長い指が他人に暴かれたことのない牝穴に侵入して、ぐちゅちゅちゅっとかき混ぜていた。時折イイところを押し潰し、掻き擦られるとぞくぞくそくとした刺激が下半身を突き抜け、がくがくと腰が揺れてしまう。
びしゃびしゃに溢れるえっちなお汁が、内腿を垂れているのを感じる。台所の床はきっと、私のお汁まみれになっていることだろう。
「ぁあああっだめっ、も、イッちゃう! ダメダメだめイくッ、弟のゆびでイくぅうッッ!」
私はコーマの首に腕を回し、抱き付くと、そのまま彼の指を膣内に迎え入れたまま果てた。びく、びく、と痙攣するたび、膣肉が収縮して彼の指を締め付けているのを感じる。
荒い呼吸を繰り返しながら、抱き締めたままの弟の頸を見つめていると幾分が思考がクリアになってきて事の深刻さを実感した。
どどどど、どうしよう!
私の作った薬で暴走した弟に釣られて暴走して、挙げ句の果てにイかされてしまったっ……!
と、とにかくコーマから離れないと……。
「コーマ……あの、ひぁあっ!?」
ちゅぷんっ、と指を引き抜かれ、苛烈な刺激で敏感になったお股にまた快感が走った。
体勢を立て直して、コーマを覗き見ると、漸く彼の顔が見えた。
真っ赤なお顔に、息も絶え絶え。とても辛そうな様子だった。
ちら、と見えた彼の股間は引き続きこれでもかというほどにズボンを押し上げており、私はあまりの立派なご様子に思わず視線を逸らした。
「あの、コーマ……あの薬だけど……」
汗が滲む彼の頬に手を添えながら弟を見上げると、視線が交わった。
目つきが悪いのは相変わらずだが、薬の作用の辛さか、潤んだその瞳はなんだか艶っぽく、我が弟ながら扇情的で。
その瞳が映し出す私も同じように、蕩けたようなだらしない表情をしていた。
その瞳がみるみる私に近付いてきて……、え、ちょ、これ、まって、キスーー
「コーマ!! あの薬、本当は好きな人にしか欲情しないように作ってたんだけどなんか失敗したみたいだから、コーマはちゃんと本当に好きな子とこういうことした方が良いと思う!!!!!」
早口で捲し立てると、ピタリ、と、唇と唇が触れる寸前で、コーマの動きが止まった。
数秒、数十秒、時間が経過し、目の前のフリーズしたコーマを見つめ続ける。おーい? もしもーし? とついでにぺちぺち頬を叩いてやる。
ゴンッッッ
「いっっっだぁぁああ!?」
突然、目の前のコーマに頭突きをされた。
それも盛大な。
あまりの痛みに、額を抑えてその場に蹲る。
痛い、痛すぎる。目の前に星が散った。
キッと涙目でコーマを睨み上げると、それ以上にコーマは魔王もびっくりな恐ろしい形相でこちらを見下ろしていた。茹蛸のように、湯気が出るほど真っ赤になって。
「二度とそんなもん作るなッッ!!!!」
そう吐き捨てると、彼はドスドスと大袈裟に足音を響かせながら、台所を後にした。
「…………」
うーん……、とりあえず、薬は失敗したのだろう。
今回の教訓として、小さめの薬の容器を家に常備しておこうと心に刻んだ。
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