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第一話・我が家に執事
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六年生になって一日目。始業式が終わって家に帰ると、わたしの部屋に見知らぬ男の子がいた。
「わ、わあ!」
男の子と目が合って、ドアを勢いよくバタンと閉めてしまう。びっくりしたあ。落ち着いて、深呼吸。すー、はー。わたしは自分のほっぺをつねってみる。痛いので夢ではない。これは、まぎれもなく現実。……よし。
「そー」
覚悟を決めて、今度はゆっくりとドアを開ける。わたしは、いつになく慎重に自分の部屋へ入っていった。
仮面バトラーで、敵の本拠地に忍び込むとき、手下に見つからないように隠れながら進んでいたのと同じ。結局は見つかっちゃって戦いになるのだけれど。
「いったい、何をしていらっしゃるのですか?」
部屋の中にいる男の子にはわたしのおかしな行動に見えちゃった。話しかけられて、わたしは「うわあっ!」と床から数センチ跳び上がる。
「なっ、何をって、こちらのセリフ!」
心臓もドキンドキンと跳ね回っている。わたしは左胸を服の上から押さえた。押さえておかないと、ここから飛び出してどこかに行っちゃいそう。
「なるほどなるほど。マリア様の生まれ変わりであるきみには、ぼくの姿が見えるのですね」
男の子は納得していたけれども、わたしにはてんでわからなかった。
マリア様?
生まれ変わり?
「あっ、あの、あの」
「?」
「あなたは、な、何? どちらさま?」
おかあさんが台所でお昼を作っている音は、部屋の中には入ってこない。外の音が聞こえないということは、部屋の中で話していても気づかれないってことだ。
「何って……」
わたしの言葉を聞いて、男の子はがっかりしている。けれども、わたしは本当にあなたのことを知らないの。初めましてだよね。顔は、なんとなくだけど、仮面バトラーの一号に変身する俳優さんに似ている。明るい茶髪に、きりっとした目つき。身長は、わたしより頭ひとつ分高い。
「ぼくは、きみの前世――マリア様の執事だった男ですよ」
執事。わたしは男の子の着ている服を見る。この現代日本で『職業:執事』の人なんて、そうそう出会えない。執事さんがついているようなお金持ちの人は、この辺には住んでいない。お金持ちのたくさん住んでいるようなところに、大きなおうちを建てていそう。
「執事って、仮面バトラーみたいな?」
わたしはランドセルを学習机の上に置き、引き出しを開ける。引き出しの中には、大好きな『仮面バトラー』のポスターがあるのだ。おこづかいでこっそり買った雑誌、の付録。
「なんですか、これ」
ポスターを広げて見せたら、男の子はむすっとした顔をする。ありゃ。知らないのかあ。こういう変身ヒーローモノって女の子向けというよりは男の子向けのはずなのに、めずらしい。
「お嬢様をお守りするために戦うヒーロー、仮面バトラー。仮面をつけた執事!」
「バトラー……バトラー、ですね」
ポスターの中心には、必殺技のポーズをした仮面バトラーの一号がいる。男の子はその一号をまじまじと見て、自分の服と比べて、首をかしげた。
「こちらの世界の執事は、このような格好なのですか?」
「いやいや。これは変身後の姿で、変身前はスーツを着ているよ。一号に変身する勝利は、怪人が現れていないときには、ふつうのサラリーマンとして、会社で働いているの」
仮面バトラーについて質問されると、つい早口で答えてしまう。男の子がびっくりして大きな目をぱちくりさせているので、もっと話したいけれども、ここでやめておいた。
「わたしは加賀美まりあ。同じ名前だけども、あなたの言っている『マリア様』とは、かなり違うかも」
あらためて自己紹介をする。まず自分から名乗ることがマナーだって、仮面バトラーでも言っていた。
「ええ、そうですね。きみとマリア様は、ずいぶんと似ていない。マリア様は、高潔でお優しく、弱き者を助け、強き者を挫く、クロノス家を継ぐに相応しい麗しの姫君」
わたしの鼻先に、男の子の人差し指が押し当てられる。こーけつって言われたことは、ないなあ。
「マリア様の生まれ変わりであるきみを、マリア様にお仕えしたぼくがきたえてあげましょう」
「い、いえ、結構です」
首をぷるぷると横に振って、わたしは断る。早めに断らないと、押し切られそうな予感がした。わたしは断るのが苦手で、これやって、あれやって、と頼まれちゃうとつい「いいよ」って言っちゃう。あとで「ぜんぜんよくないじゃん」って反省会が始まる。すぐに「いや」って言えたらいいのに。
「何故です?」
断られるとは思っていなかったようで、男の子は理由を聞いてきた。
「いや、よく、わからないし……わたしが生まれ変わりっていうのがピンとこないし、あなたがどうやってここに入ってきたのかも、生まれ変わりだから『きたえる』のも、わからない」
「ああ、なるほど。では、事の経緯をお話しいたしますので、お座りいただいても?」
わたしの部屋なのに、わたしは男の子にざぶとんを案内される。お話ししてくれるのはありがたいから、ポスターは元の場所にしまって、わたしはざぶとんに座った。
「ところで、あなたのお名前は?」
座ってから、わたしは男の子に質問した。男の子は『生まれ変わり』だとか『前世』だとか言うけども、わたしはまったく覚えていない。わたしが名乗ったのだから、男の子の名前を聞いてもおかしくはない、はず。
「……」
答えにくい質問はしていないのに、男の子は難しい顔をしている。先生のうっかりミスで、まだ授業でやっていない範囲の問題が出てきたテストを見たとき、わたしもこんな顔をしていたのだろう。
「ジョン」
「ジョン?」
「ぼくのことは、ジョンと呼んでください」
「わかった。ジョンくん」
ジョンくんかあ。さっき『こちらの世界』と言っていたから、違う世界から来たのかな。
――違う世界って何?
「ぼくはマリア様にお仕えしていた執事で、きみはマリア様の生まれ変わり。ぼくが『こちらの世界』に来たのは『運命の女神様』のお導きによるもの」
また知らない言葉が出てきた。わたしは授業を受けているときのように、頭をフル回転させて覚えようとする。
「真夜中に、クロノス家が盗賊団に襲われました」
ええと、クロノス家というのは、マリア様のおうちだよね。継ぐ、って言っていたから。つまり、ジョンくんを雇って、マリア様の執事としてお仕事させていたおうち。とうぞくだんは、悪い人たち。マリア様のおうちはきっと大きなおうちだから、いろんなすごいものがあって、高く売れそうなものを盗もうとしたんだろう。
「ぼくは、ぼくの命と引き換えにマリア様のことは見逃していただこうとしました。執事として果たすべき、最後の仕事です」
「そうなの?」
仮面バトラーには、お嬢様がいる。お嬢様はふしぎな力を持っていて、敵はこのふしぎな力をねらっているのだ。お嬢様は毎週ピンチになるけれども、必ず仮面バトラーがかけつけて、敵をやっつけてくれる。
「ぼく一人では、十数人の盗賊たちを倒すことはできません。マリア様が逃げる時間を作ることはできます」
仮面バトラーなら、変身して敵を倒せるけれども、ジョンは執事であって仮面バトラーではない。わたしよりちょっと年上の男の子だ。悪いことをしようとしている男の人に囲まれたらかなわない。
「あいつらはぼくとの約束を破った、と運命の女神様から聞きました」
「ああ……」
生まれ変わり、って言っているのだから、そうか。そうだよね。ジョンは身代わりになろうとしたけれど、できていない。
「ぼくにとってはついさきほど起こった出来事です」
「ひどい話」
前世の話というと、わたしにとっては十二年も前。生まれる前の話になってしまう。
「運命の女神様はぼくをあわれんで、マリア様の生まれ変わりであるきみの近くに送り届けてくださいました」
「なるほど?」
ここまでがわたしの家にいた理由ね。たしかに、報われない話だとは思う。ジョンは執事として、マリア様をお守りしようとしたのに、結果を見たら守り切れていないのと同じ。
「ただし、今の姿は完全ではありません」
「そうなの?」
「ぼくの姿は、きみにしか見えていない」
「……そうなの?」
わたしはスマートフォンを取り出して、カメラを起動する。カメラを通してジョンを見ると、あら不思議、ジョンの姿は写らない。
「きみが帰ってくるまでに、きみの母上にもお話ししようとしたのですが、聞いていただけず」
「ゆーれい、ってこと?」
「まあ、そういうことですね」
ジョンはレンズに顔を近づけたり、手を振ったりしている。画面には、何の変化もない。ジョンの後ろにあるわたしの学習机が写っているだけだ。
「ぼくが完全な姿で『こちらの世界』に『転生』するために、運命の女神様はある条件を出されました」
「ふむふむ」
「きみが『運動会』というイベントで『一等賞』になること、です」
な。
なんですと?
「ぼくの世界に『運動会』はありませんでしたが、運動、すなわち、スポーツですよね。マリア様は才色兼備の文武両道でおられましたから、きみも」
「いや……ちょっと厳しいかも……」
スマートフォンを握る手が震えた。申し訳なさから、冷や汗がだらだら流れてくる。無理難題だ。運動会は、来月の話ではないか。しかも『一等賞』って。一年生から五年生まで毎年ビリなのに。
わたしは、運動が大の苦手である!
「わ、わあ!」
男の子と目が合って、ドアを勢いよくバタンと閉めてしまう。びっくりしたあ。落ち着いて、深呼吸。すー、はー。わたしは自分のほっぺをつねってみる。痛いので夢ではない。これは、まぎれもなく現実。……よし。
「そー」
覚悟を決めて、今度はゆっくりとドアを開ける。わたしは、いつになく慎重に自分の部屋へ入っていった。
仮面バトラーで、敵の本拠地に忍び込むとき、手下に見つからないように隠れながら進んでいたのと同じ。結局は見つかっちゃって戦いになるのだけれど。
「いったい、何をしていらっしゃるのですか?」
部屋の中にいる男の子にはわたしのおかしな行動に見えちゃった。話しかけられて、わたしは「うわあっ!」と床から数センチ跳び上がる。
「なっ、何をって、こちらのセリフ!」
心臓もドキンドキンと跳ね回っている。わたしは左胸を服の上から押さえた。押さえておかないと、ここから飛び出してどこかに行っちゃいそう。
「なるほどなるほど。マリア様の生まれ変わりであるきみには、ぼくの姿が見えるのですね」
男の子は納得していたけれども、わたしにはてんでわからなかった。
マリア様?
生まれ変わり?
「あっ、あの、あの」
「?」
「あなたは、な、何? どちらさま?」
おかあさんが台所でお昼を作っている音は、部屋の中には入ってこない。外の音が聞こえないということは、部屋の中で話していても気づかれないってことだ。
「何って……」
わたしの言葉を聞いて、男の子はがっかりしている。けれども、わたしは本当にあなたのことを知らないの。初めましてだよね。顔は、なんとなくだけど、仮面バトラーの一号に変身する俳優さんに似ている。明るい茶髪に、きりっとした目つき。身長は、わたしより頭ひとつ分高い。
「ぼくは、きみの前世――マリア様の執事だった男ですよ」
執事。わたしは男の子の着ている服を見る。この現代日本で『職業:執事』の人なんて、そうそう出会えない。執事さんがついているようなお金持ちの人は、この辺には住んでいない。お金持ちのたくさん住んでいるようなところに、大きなおうちを建てていそう。
「執事って、仮面バトラーみたいな?」
わたしはランドセルを学習机の上に置き、引き出しを開ける。引き出しの中には、大好きな『仮面バトラー』のポスターがあるのだ。おこづかいでこっそり買った雑誌、の付録。
「なんですか、これ」
ポスターを広げて見せたら、男の子はむすっとした顔をする。ありゃ。知らないのかあ。こういう変身ヒーローモノって女の子向けというよりは男の子向けのはずなのに、めずらしい。
「お嬢様をお守りするために戦うヒーロー、仮面バトラー。仮面をつけた執事!」
「バトラー……バトラー、ですね」
ポスターの中心には、必殺技のポーズをした仮面バトラーの一号がいる。男の子はその一号をまじまじと見て、自分の服と比べて、首をかしげた。
「こちらの世界の執事は、このような格好なのですか?」
「いやいや。これは変身後の姿で、変身前はスーツを着ているよ。一号に変身する勝利は、怪人が現れていないときには、ふつうのサラリーマンとして、会社で働いているの」
仮面バトラーについて質問されると、つい早口で答えてしまう。男の子がびっくりして大きな目をぱちくりさせているので、もっと話したいけれども、ここでやめておいた。
「わたしは加賀美まりあ。同じ名前だけども、あなたの言っている『マリア様』とは、かなり違うかも」
あらためて自己紹介をする。まず自分から名乗ることがマナーだって、仮面バトラーでも言っていた。
「ええ、そうですね。きみとマリア様は、ずいぶんと似ていない。マリア様は、高潔でお優しく、弱き者を助け、強き者を挫く、クロノス家を継ぐに相応しい麗しの姫君」
わたしの鼻先に、男の子の人差し指が押し当てられる。こーけつって言われたことは、ないなあ。
「マリア様の生まれ変わりであるきみを、マリア様にお仕えしたぼくがきたえてあげましょう」
「い、いえ、結構です」
首をぷるぷると横に振って、わたしは断る。早めに断らないと、押し切られそうな予感がした。わたしは断るのが苦手で、これやって、あれやって、と頼まれちゃうとつい「いいよ」って言っちゃう。あとで「ぜんぜんよくないじゃん」って反省会が始まる。すぐに「いや」って言えたらいいのに。
「何故です?」
断られるとは思っていなかったようで、男の子は理由を聞いてきた。
「いや、よく、わからないし……わたしが生まれ変わりっていうのがピンとこないし、あなたがどうやってここに入ってきたのかも、生まれ変わりだから『きたえる』のも、わからない」
「ああ、なるほど。では、事の経緯をお話しいたしますので、お座りいただいても?」
わたしの部屋なのに、わたしは男の子にざぶとんを案内される。お話ししてくれるのはありがたいから、ポスターは元の場所にしまって、わたしはざぶとんに座った。
「ところで、あなたのお名前は?」
座ってから、わたしは男の子に質問した。男の子は『生まれ変わり』だとか『前世』だとか言うけども、わたしはまったく覚えていない。わたしが名乗ったのだから、男の子の名前を聞いてもおかしくはない、はず。
「……」
答えにくい質問はしていないのに、男の子は難しい顔をしている。先生のうっかりミスで、まだ授業でやっていない範囲の問題が出てきたテストを見たとき、わたしもこんな顔をしていたのだろう。
「ジョン」
「ジョン?」
「ぼくのことは、ジョンと呼んでください」
「わかった。ジョンくん」
ジョンくんかあ。さっき『こちらの世界』と言っていたから、違う世界から来たのかな。
――違う世界って何?
「ぼくはマリア様にお仕えしていた執事で、きみはマリア様の生まれ変わり。ぼくが『こちらの世界』に来たのは『運命の女神様』のお導きによるもの」
また知らない言葉が出てきた。わたしは授業を受けているときのように、頭をフル回転させて覚えようとする。
「真夜中に、クロノス家が盗賊団に襲われました」
ええと、クロノス家というのは、マリア様のおうちだよね。継ぐ、って言っていたから。つまり、ジョンくんを雇って、マリア様の執事としてお仕事させていたおうち。とうぞくだんは、悪い人たち。マリア様のおうちはきっと大きなおうちだから、いろんなすごいものがあって、高く売れそうなものを盗もうとしたんだろう。
「ぼくは、ぼくの命と引き換えにマリア様のことは見逃していただこうとしました。執事として果たすべき、最後の仕事です」
「そうなの?」
仮面バトラーには、お嬢様がいる。お嬢様はふしぎな力を持っていて、敵はこのふしぎな力をねらっているのだ。お嬢様は毎週ピンチになるけれども、必ず仮面バトラーがかけつけて、敵をやっつけてくれる。
「ぼく一人では、十数人の盗賊たちを倒すことはできません。マリア様が逃げる時間を作ることはできます」
仮面バトラーなら、変身して敵を倒せるけれども、ジョンは執事であって仮面バトラーではない。わたしよりちょっと年上の男の子だ。悪いことをしようとしている男の人に囲まれたらかなわない。
「あいつらはぼくとの約束を破った、と運命の女神様から聞きました」
「ああ……」
生まれ変わり、って言っているのだから、そうか。そうだよね。ジョンは身代わりになろうとしたけれど、できていない。
「ぼくにとってはついさきほど起こった出来事です」
「ひどい話」
前世の話というと、わたしにとっては十二年も前。生まれる前の話になってしまう。
「運命の女神様はぼくをあわれんで、マリア様の生まれ変わりであるきみの近くに送り届けてくださいました」
「なるほど?」
ここまでがわたしの家にいた理由ね。たしかに、報われない話だとは思う。ジョンは執事として、マリア様をお守りしようとしたのに、結果を見たら守り切れていないのと同じ。
「ただし、今の姿は完全ではありません」
「そうなの?」
「ぼくの姿は、きみにしか見えていない」
「……そうなの?」
わたしはスマートフォンを取り出して、カメラを起動する。カメラを通してジョンを見ると、あら不思議、ジョンの姿は写らない。
「きみが帰ってくるまでに、きみの母上にもお話ししようとしたのですが、聞いていただけず」
「ゆーれい、ってこと?」
「まあ、そういうことですね」
ジョンはレンズに顔を近づけたり、手を振ったりしている。画面には、何の変化もない。ジョンの後ろにあるわたしの学習机が写っているだけだ。
「ぼくが完全な姿で『こちらの世界』に『転生』するために、運命の女神様はある条件を出されました」
「ふむふむ」
「きみが『運動会』というイベントで『一等賞』になること、です」
な。
なんですと?
「ぼくの世界に『運動会』はありませんでしたが、運動、すなわち、スポーツですよね。マリア様は才色兼備の文武両道でおられましたから、きみも」
「いや……ちょっと厳しいかも……」
スマートフォンを握る手が震えた。申し訳なさから、冷や汗がだらだら流れてくる。無理難題だ。運動会は、来月の話ではないか。しかも『一等賞』って。一年生から五年生まで毎年ビリなのに。
わたしは、運動が大の苦手である!
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