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カニバル有効活用編
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能力者の肉を食べるとその能力者の能力を得られる。
そんな研究成果が報告されました。
体温の高い【溶解】の能力を持つ兄と、体温の低い【氷結】の能力を持つ妹がお互いの肉を食べ合って、見事に打ち消したのです。二人は普通の生活を送っています。能力者であったことは世間から隠して。
「作倉ぁ……!」
こちらは首相だった男。わたしの同級生。ついさきほど、左膝から下を切り落とされました。いま、その部分はきれいに洗浄されてミンチになって、右の下腿とおなじ運命をたどります。具体的にはハンバーグにされることでしょう。楽しみですねぇ。今度は彼の前で食べたいと思います。
「ここから出してくれよ! なあ!」
「何度も言いましたけど、外はアンゴルモアの襲来で大変なことになっているんですよ。だから、あなたはここにいたほうが安全なんです」
「そうなのか?」
「ええ」
彼の能力は、人々を操る力です。その力のおかげで、彼は一時期この国の首相になっていました。
残念ながら彼はバカなので、わたしがいないとなんにもできません。すべての選択肢はわたしが選んでいました。わたし以外に頼れる人間はいない。わたしの言葉を信じ続けるしかないのです。
「さっきのやつら、作倉から依頼されたって言ってたぞ! そんなの嘘だよな?」
「わたしがあなたをこんなひどい目に遭わせるわけがないでしょう?」
わたしが抱きしめてやると、彼は「痛かったよぉ……」と声を震わせました。かわいそうな子。イヤだ、助けて、やめて。命乞いは無視されて、上半身を押さえつけられて、ナタを何度も振り下ろされて、切り落とされるまでの様子は、三台のビデオカメラで撮して、別室で鑑賞させてもらいました。泣き叫ぶ顔は、いつ見てもいいものです。
彼の肉は誰にも渡しません。全部食べきって、彼をわたしの中にすべて取り込みます。わたしはふたつ目の能力を手にして、この世界を統治するでしょう。
そんな研究成果が報告されました。
体温の高い【溶解】の能力を持つ兄と、体温の低い【氷結】の能力を持つ妹がお互いの肉を食べ合って、見事に打ち消したのです。二人は普通の生活を送っています。能力者であったことは世間から隠して。
「作倉ぁ……!」
こちらは首相だった男。わたしの同級生。ついさきほど、左膝から下を切り落とされました。いま、その部分はきれいに洗浄されてミンチになって、右の下腿とおなじ運命をたどります。具体的にはハンバーグにされることでしょう。楽しみですねぇ。今度は彼の前で食べたいと思います。
「ここから出してくれよ! なあ!」
「何度も言いましたけど、外はアンゴルモアの襲来で大変なことになっているんですよ。だから、あなたはここにいたほうが安全なんです」
「そうなのか?」
「ええ」
彼の能力は、人々を操る力です。その力のおかげで、彼は一時期この国の首相になっていました。
残念ながら彼はバカなので、わたしがいないとなんにもできません。すべての選択肢はわたしが選んでいました。わたし以外に頼れる人間はいない。わたしの言葉を信じ続けるしかないのです。
「さっきのやつら、作倉から依頼されたって言ってたぞ! そんなの嘘だよな?」
「わたしがあなたをこんなひどい目に遭わせるわけがないでしょう?」
わたしが抱きしめてやると、彼は「痛かったよぉ……」と声を震わせました。かわいそうな子。イヤだ、助けて、やめて。命乞いは無視されて、上半身を押さえつけられて、ナタを何度も振り下ろされて、切り落とされるまでの様子は、三台のビデオカメラで撮して、別室で鑑賞させてもらいました。泣き叫ぶ顔は、いつ見てもいいものです。
彼の肉は誰にも渡しません。全部食べきって、彼をわたしの中にすべて取り込みます。わたしはふたつ目の能力を手にして、この世界を統治するでしょう。
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