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『――で、今度は俺のカバンからボールペンが出てきたんだ』
(……え?)
以前に比べれば音量が小さく、とぎれとぎれになりがちな星のささやきを、必死に聞き取っていた時だった。
不穏な言葉をキャッチした私は、聞き間違いかと思ってさらに耳をすませる。
彼はため息をつきながら続けた。
『もちろん身に覚えはない。だけど今回は物証があったから、昨日、親まで呼び出されたんだ。そこまで言うなら警察を呼んで徹底的に調べればいいのに、向こうは大事にしたくない、穏便に済ましてやるからの一点張り。話にならないよ』
「ラーシュ……」
『父さんに、今日は休んでもいいって言われたけど、無実なのにそれもしゃくだしさ』
ラーシュは力なく微笑んで、早めに学校へ向かった。バスの列に並びながら、足取りの重い彼の背中を見送る。
(大丈夫かな……)
ラーシュが窃盗なんてするとは思えない。何かトラブルに巻き込まれているのだろう。こういう時は同じ学校でないのが歯がゆくて仕方ない。
何ができるかわからないけれど、最後に何か、彼の役に立てないだろうか。そうすれば、自分の気持ちに一区切りつけられそうな感じがした。
ようやくバスが到着し、行列の先頭が車中に吸い込まれていく。その背後を、ラーシュと同じ高校の生徒たちがパラパラと通り過ぎる。
私も乗り込もうとしたところで、ある声が耳に飛び込んできた。
『なんであいつ、学校来てるんだ……、ペン細工するの、結構面倒だったんだぞ』
(――えっ!?)
同じ年頃の男子のものに聞こえた。可憐な音とともに零れ落ちる声。
慌てて後ろを振り向いたけれど、彼と同じ制服を着た男子生徒はたくさんいて、誰の心の声なのかわからなかった。
(……え?)
以前に比べれば音量が小さく、とぎれとぎれになりがちな星のささやきを、必死に聞き取っていた時だった。
不穏な言葉をキャッチした私は、聞き間違いかと思ってさらに耳をすませる。
彼はため息をつきながら続けた。
『もちろん身に覚えはない。だけど今回は物証があったから、昨日、親まで呼び出されたんだ。そこまで言うなら警察を呼んで徹底的に調べればいいのに、向こうは大事にしたくない、穏便に済ましてやるからの一点張り。話にならないよ』
「ラーシュ……」
『父さんに、今日は休んでもいいって言われたけど、無実なのにそれもしゃくだしさ』
ラーシュは力なく微笑んで、早めに学校へ向かった。バスの列に並びながら、足取りの重い彼の背中を見送る。
(大丈夫かな……)
ラーシュが窃盗なんてするとは思えない。何かトラブルに巻き込まれているのだろう。こういう時は同じ学校でないのが歯がゆくて仕方ない。
何ができるかわからないけれど、最後に何か、彼の役に立てないだろうか。そうすれば、自分の気持ちに一区切りつけられそうな感じがした。
ようやくバスが到着し、行列の先頭が車中に吸い込まれていく。その背後を、ラーシュと同じ高校の生徒たちがパラパラと通り過ぎる。
私も乗り込もうとしたところで、ある声が耳に飛び込んできた。
『なんであいつ、学校来てるんだ……、ペン細工するの、結構面倒だったんだぞ』
(――えっ!?)
同じ年頃の男子のものに聞こえた。可憐な音とともに零れ落ちる声。
慌てて後ろを振り向いたけれど、彼と同じ制服を着た男子生徒はたくさんいて、誰の心の声なのかわからなかった。
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