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PHASE1

第12話 PHASE1 その8 幸せはこのままで

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夏子はベッドの上で、仰向けに横たわっている。 その目はトロンとしており、
焦点が定まっていないようだった。 そんな彼女に向かって、声をかける。

「一緒にシャワー浴びようか。」
と提案すると、夏子は嬉しそうに微笑んだ。 
そしてゆっくりと起き上がると、冬馬に抱きついてくる。
その身体はまだ火照っており、汗ばんでいた。 
冬馬はそんな彼女を抱き抱えるようにして、浴室へと向かう。
そして二人でシャワーを浴びた。

それから一緒に湯船に浸かる。 お湯の温度は少し高めだったが、疲れが取れる。
「今日は一体、何回ヤったんだよ。こんな事、初めてだよ。」
「あはは、ごめん。」
と笑いながら答える夏子。

「でも、すごい気持ちよかったよ。」
「そりゃどうも。」
と言って冬馬は頭を搔く。 しかし正直なところ、かなり疲れたのも事実だ。 
もう少し控え目にしないとな。

「ねぇ、冬馬くん。またやろうね」
「わかった、考えておくよ。」
と答えたものの、またやりたいと思う気持ちで一杯だった。
そして風呂から出ると、夏子は寝巻きに着替えていた。 
俺はまだ濡れた髪のままだったので、タオルで拭きながらドライヤーを手に取る。
すると、夏子が俺の手を止めた。

「私がやってあげる」
と笑顔で言う彼女。 俺はそれを断ろうとしたが、彼女の方が先に行動に出た。
「いいからいいから」
と言って、ドライヤーを手に取ると、俺の髪を乾かし始めた。
その手つきはとても優しく、心地良いものだった。
俺は目を閉じ、身を委ねる。 そしてしばらくの後、彼女は手を止めた。

「はい、できたよ」
と夏子が言う。 俺は礼を言うと、ベッドに横になった。 
すると彼女も隣に潜り込んでくる。 そして俺に抱きついてきた。
彼女の肌は柔らかく、温かい。 冬馬はそんな彼女を抱きしめ返すと、頭を撫でた。
すると夏子は嬉しそうに微笑んで、胸に顔を埋めてくる。
 そして深呼吸をするように、大きく息を吸い込んだ。

「えへへ、いい匂い」
と彼女は呟く。 俺は恥ずかしくなって、顔が熱くなるのを感じた。 
だが、それ以上に幸せな気分だった。
それからしばらくして、二人は眠りについた。 
夢の中でも抱き合っているような気がするが、気のせいだろう。



目が覚めると隣で裸の夏子が眠っているのは、ちょっと不思議ではある。
「ごめん、起こしちゃった?」
と聞くと、夏子は首を横に振る。 そして俺の腕を掴んで、自分の胸に引き寄せた。 
柔らかく温かい感触が伝わってくる。
彼女は幸せそうな笑みを浮かべながら、俺の顔を見つめた。
時間は午前2時過ぎだった。

「目が覚めちゃったなぁ。」
と冬馬は答える。 そして彼女の髪を撫でながら、軽くキスをした。
 すると彼女は嬉しそうに微笑む。
それからしばらくの間、俺達は抱き合ったままだった。
 お互いの体温を感じながら、幸せな時間を過ごす。
夏子は俺の胸に顔を埋めると、深呼吸をするように大きく息を吸い込んだ。
 そして小さな声で囁くように言う。

「私、冬馬くんの匂い好き。」
と。 冬馬は恥ずかしくなって、顔が熱くなるのを感じた。
 しかしそれ以上に幸せな気分だった。

「ねぇ、もう一回だけしようよ」
と夏子が言う。 冬馬は一瞬迷ったが、すぐに頷いた。
「それじゃあ、どうぞ」
と言うと、彼女は嬉しそうに微笑んだ。
 
そしてゆっくりと起き上がると、冬馬の下腹部へと手を伸ばす。
既に硬くなっていたそれを優しく握ると、上下に動かし始めた。
冬馬も負けじと、彼女の胸にしゃぶりつく。
舌先で乳首を転がしたり甘噛みしたりしているうちに、段々と気分が高まってきた。

しばらくすると夏子が冬馬の手を取り、自分の股間へと導く。 
そこは既に濡れており、ヒクついていた。
「お願い、ここにも挿れて欲しい」
と恥ずかしそうに言う夏子。 冬馬はそれに頷くと、
彼女の足を広げて間に割って入る。
そしてそこに挿入した。

最初はゆっくり動かしていたが、次第に速くなっていった。
夏子は俺にしがみついて、甘い声を上げている。
やがて絶頂を迎えそうになったところで、二人は同時に果てた。
俺は白濁液を出し切ると、そのまま倒れこむようにして彼女に覆い被さる。
 夏子は冬馬の頭を優しく撫でてくれた。

そしてしばらく余韻に浸っていたが、やがて夏子が起き上がる。
 そして冬馬の上に跨ってきた。 彼女はそのまま腰を落としていく。
彼女の中はとても温かく、柔らかい襞が絡みついてくるようだ。
冬馬はその感触を楽しむように、少しずつ奥へと進めていった。
やがて根元まで入ったところで、一度動きを止める。 

それから再び動き始めた。 今度は先程よりも速く、力強く突き上げる。
夏子は冬馬の背中に手を回すと、爪を立てた。 
その痛みすら心地良く感じるほど、冬馬は快楽に溺れていた。

そして冬馬に限界が訪れる。 
夏子は大きく身体を仰け反らせ、絶頂を迎えたようだ。
それと同時に夏子が激しく痙攣し出した。
冬馬もまた、彼女の中に全てを吐き出した。

そして繋がったまま、お互いに抱き合ったままで呼吸を整える。
夏子は冬馬の上に覆い被さったまま、耳元で囁いた。
「私、冬馬くんとが一番好き」
「俺もだよ。夏子とが一番好きだ」
と答えながら、冬馬は夏子の髪を撫でた。
 彼女は嬉しそうに微笑むと、唇を重ねてくる。
 二人はしばらくの間、抱き合っていた。

「でも、やりすぎちゃったかな?」
と夏子が言う。 確かに昨日は少し激しかったかもしれない。
 だが、それでも構わないと思った。 何故なら彼女が喜んでいるからだ。
それに自分も気持ちよかったし。 だから問題は無いはずだ。
冬馬は夏子を抱きしめたまま、眠りについた。
彼女の温もりを感じながら、幸せな夢を見るのだった。
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