腐男子の俺、イケてる上司を抱く。

神居恭子

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プロローグ

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今日も今日とて。

毎朝プログラミングされた機械のようにホームの1番先頭でくたびれてきたスーツに身を包み数分おきの電車を待つ。
昨夜も教えられた通りの遣り方で、効率の悪い仕事は終わる訳もなくサービス残業。帰宅時間はいつも遅く目の下の隈は濃ゆくなるばかり。

ホームには俺と似た暗い目をした猫背の中年男性やタブレットを扱うサラリーマンやスマートフォンに目を落とし素早い速度で操作している女子高校生、ドデカイヘッドホンをつけた若者。
待つ間の暇つぶしに周りを眺めていると、隣の列にいた俺の斜め後ろのイケメンが目に入る。
緩く撫で付けたオールバックの下は密かに刈り上げられていて、体型にピッタリのスーツは俺のものとは段違いに高そうだ。余裕のある様は出来そうな上司だな、と桜庭兼親27歳は思った。


新卒で入社した保険会社は中間くらいの業績の会社である。
よく言えばアットホームな、悪く言えば根性論が罷り通るような法律も労基もあったもんじゃない…所謂ブラック企業であった。
酒とエネルギードリンクをガソリンに堪えてきたが、右手から来る仕事場への電車へ倒れかかりたい。
しかし、現実問題そんな訳にはいかない。他人様にそんな迷惑かけては、と思うのに瞬間…、足の力が抜けて黄色い線から前方へ身体が傾く。

あ、死んだ。

衝撃に備えて瞼を閉じると、本能が瞬時に流す記憶はインドアな内容。何故なら休みの日まで会うような友達も音沙汰なく、外に出る気力が無いため家で過ごしてばかりだった。
読みふけっていた小説や漫画の内容が思い出された時、残念なことに俺の厨二病が疼いてしまった。

えぇっ……もしかして転生フラグ!?

死ぬ瞬間にこんな事を考えて死ねるなんて、ファンタジーさまさまである。
願うなら最近ハマっていたあの先生の新作読みたかった…


襲い受けのどエロいお兄さん!!


だが……来るはずの衝撃はなく、右手には痛いほどに掴まれた感触。恐る恐る目を開け振り向くと先程、観察したイケ上司の焦った顔があった。

助けてくれたんだろうか…

こうして死ぬ間際に人間エロい事考えちゃうんだなと分かったところで、その日に会社に辞表届けを出し晴れて無職となりましたとさ。
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