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お目覚めと共に、美少年に転生してた。1
しおりを挟む「…」
(ガーン…)
そういう表現が、正しいのか分からないけど。
だってさ。
朝だな~、って思って、目覚めたら。
金髪碧眼の美少年に転生してたら、普段使わない言葉しか思いつかなくても、仕方なくないか?
水崎楓。 それが転生前の名前だった。
両親と姉一人という、いわゆるどこにでもある家庭環境で育ったのだが、一人いるその姉が
『特級クラスのBL好き』
で。
その姉にそその…勧められてプレイしたゲームソフトがあった。
それが
【ロイヤルブルー~貴方に心を奪われて~】
という、ギリギリR指定がつかない、ボーイズラブをテーマにしたゲームソフトだった。
…そして。
なぜか。
(そのゲームの、主人公の攻略者に転生するなんて)
「…なんで」
よりにもよって、ゲームプレイ者である主人公の少年にではなく、その主人公キャラ・レグルスと恋をするディバイン帝国第二王子・カノープスとして、楓はBLゲームの世界に転生してしまっていた。
――大概、フツーは。
ゲームの主人公キャラだったり。
もしくはラスボス、もしくはゲーム内ではあまり目立たないモブキャラに転生するのがセオリーなはずなのに。
それなのに、楓は。
ゲームをプレイした女子の、人気ナンバー3にランクインするような美少年キャラに転生してしまったのだった。
「…う~ん」
どう見ても目覚めた自分がまだ夢でも見ているかのような、絵に描いたような天蓋のある豪奢なベッドから降り、身なりを整えるためのドレッサーに映ったカノープスの姿が己れであると理解しても尚。
ただ、いつものように。
一人で寝るのに十分な、簡素なベッドに身を横たえて寝ただけの、自分が。
目覚めたら、異世界に転生するような何かの分岐点を選んだ記憶なんてない…のに。
(こういうのって)
一回、死んで。
それで、ゲームの世界に生まれ変わった自分の人生を歩み出す…んだった、よな?
.
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