魔王、現代に転生する、そこそこ苦労しながらしっかり適応しています。

第一章 日常生活について

パソコン入門

迎えはすぐにきた。
　おどおどした金髪と筋肉質の赤い髪の毛と丸刈りの男の三人に連れられてナナオと車に乗る。
　以前はへらへらしていた赤髪と丸刈りも神妙な顔になっていた。
「私達殺される、絶対殺される」
　ナナオがひどく怯えていた。
　案内されたのは以前とは違うビルで以前より古くい場所だった。
　中に入ると、広く全体が空洞になっていた。
「すごいな」思わず声が出た。
　処刑場のような場所だった、たくさんの人間が殺されたような濃い死臭がする。
「お前も来い」そういって赤髪は若い金髪までも連れて行く
「ひいい」と金髪は怯えた声をだした。
「武志たけし」ナナオが心配そうに声を出す。
　うむ、どうやら二人はつき合っているのだろう、カトウよお前の恋は実らなかったぞ。

　奥には黒いスーツのナカニシが立っていた。
　眼鏡越しからも強い殺気を帯びた目が見えた。
　我輩たちを確認すると、ナカニシはタバコを捨てて
「これから何を話すのかはわからないが、発言は気をつけた方がいい、ここは解体場だ。」
　ナカニシの顔が楽しげにぐにゃりとゆがむ
「ここでは人が死んでも、後が残らないようになっている、つまりお前達はまな板の鯉だ」
　そう宣言した。
「取引だ」
　我輩はケータイを取り出した。
　「これは？」
　「ここに逃げたフクシャチョウの居場所が表示されているようにしている」
　「何？」
　ナカニシが目を細めた。
　そう、我輩パソコン練習にはまってプログラムを練習するついでに顧客データにウイルスをつけてケータイ連動させるシステムを完成していたのだ。
　データの塊を一つの生命体と見立てて集合している場所を特定しアプリの地図で表示できるようになっている。
「えっいつそんなもの作っていたの」
　ナナオが心底驚いた声をあげる。
「無論、昨日だ」
「一晩で？」
「まあ、こちらでいう六時間くらいだな」

　まあ、我輩くらいになれば仕掛けを知っていればあとはわけない。