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89 〇〇夫婦

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(全っ然、つまんなくなんてないわ!!私が告白されるなんて、ちっとも可愛くない私には人生で最も遠いシチュエーションなはずなのに!!私だって、彼氏ぐらい欲しいのに!!ま、まあ!ちょこっと、ちょこーっとだけど!!)

 うぐぬーっと心の中で葛藤していると、おふざけマンはもっとタチの悪いおふざけを始める。こういうのは初めの方の徹底的な駆除が重要だと聞いたことがあったが、それが本当だと思い知らされることになった。
 意地の悪い顔をしたおふざけマンは、にいっと笑ってツンツンと人差し指で立花の肩を突っついた。

「中学生って恋だの愛だのっていうのに浮かれる時期だろ?もっと遊べよ。クソ真面目が」
「「だーかーらー、………………」」

 もうそう言って少しだけ赤い顔で止めるしかない2人は、おふざけマンに向けてパッと勢いよく口を開いた。言葉が重なって顔を見合わせた2人は、はあーっと揃ったため息をついて、そしてお互いが譲り合うかのように口をつぐんだ。

「………どうぞ、立花」
「………どうぞ、久遠」
「いや、そこ譲り合わなくて良くね?」
「良くない!!」「良くありません!!」

 口を揃えた2人に対して、おふざけマンはニヤッとまたもや笑う。

「熟練
「違う!!」「違います!!」

 またもや揃って叫んだ2人を見ながら、恋だの愛だのという恋バナスキャンダルに飢えているクラスメイトは、わちゃわちゃとみんなして笑う。

「も~!!私、揶揄われたくて戻ってきたんじゃありません!!」
「はいはい、分かったって。にしてもリレー凄かったよ!久遠!!お前、鈍臭そうな感じして、結構運動得意なんだな。いっつもお前ダラダラして、体育の授業真面目に受けていなかったから知らなかったよ」

 へらへらと媚びへつらうように誉めて持ち上げてくるおふざけマンに、心菜は呆れた顔をして正直なことを言う。ちょっとというかとても悔しいが、事実は事実。あまり色々な場面で頼られたとしても、心菜は苦手なことまでも完璧にこなすことができるほどできた人間ではない。

「………いえ、体育は殊更必死になって真面目に受けていますよ。成績が下がったら嫌ですし。ただ、体育の授業はドストライクで私の苦手科目がいつもガッツリと被ってしまっているだけで………」

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読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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