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16. わたしの怒りは………
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「……が、ガルシアの御令息だとはぞ、存じず、ぐ、愚息が、た、大変失礼を………。」
「も、申し訳、ございません……。」
伯爵は真っ青な顔で息子ともども頭を下げながらカチカチと奥歯を鳴らした。
びっくりするぐらいに不愉快な不協和音だ。
下手な吟遊詩人や、楽器に初めて触れた初心者の方がまだマシな音を、音色を奏でる。
それに、今日のわたしは何故かすこぶる機嫌が悪いらしい。
これだけ暴れたわしたにも関わらず、不愉快な気持ちが一向に収まらないどころか、どんどん増していく。それもこれも、ある意味すごい逆鱗に触れまくる伯爵親子の所為だろう。
目上の者の心に、許可も取らず、その挙句土足で踏み入ろうとするからこうなる。
わたしは小さく左の口角だけを上げて歪な微笑みを浮かべながら、伯爵という名の豚に話しかけた。………やめましょう、こんな愚か者と豚さんを一緒にするなんて豚さんの方に失礼だわ。
「……ーー今回は亡くなったお父さまに仕えてくれていたことに免じて特別に許すけれど、次は存在していないわ。わたし、こう見えても心が広くないの。言いたいこと、分かるわね?」
愚か者親子は、わたしの天使のようだと言われる困ったような笑みに、不協和音を鳴らしたままこくこくこくと必死に頷いた。
……これは絶対に分かっていないわね。
その場しのぎにしても、もっと上手く誤魔化しようもあるでしょうに。まぁでも、誤魔化しもわたしには通用しないけれどね。
「私はお嬢様のお心は大変広いと思いますよ?私だけでしたら、もうおそらく彼らを叩き斬って、血祭りにしてしまっていたでしょうから。」
ジェフリーは優雅に甘い微笑みを浮かべて笑い声をあげながら、物騒なことを平然と当たり前のことのように言った。
「あぁでも、お嬢様に醜くて酷いところを見せるわけには参りませんからね……。はわわ、いかがいたしましょうか?」
幸せそうに興奮で頬を上気させながら言うジェフリーに、お葬式場にいる皆が恐れ、戦いた。
……演技でここまでする、できててしまうジェフリーは、本当に流石ジェフリーとしか言いようがありませんわよね……。
「何もしなくてもいいわ。でも、もしもの時はお願いね?」
「承知いたしました。」
こてんと小首を傾げたわたしと、そんなわたしに優しく微笑みながら返したジェフリーを見て、お葬式場にピリピリとした緊張と震え上がった恐怖が走った。
あら、つまらないわね。
*******************
読んでいただきありがとうございます♪♪♪
「も、申し訳、ございません……。」
伯爵は真っ青な顔で息子ともども頭を下げながらカチカチと奥歯を鳴らした。
びっくりするぐらいに不愉快な不協和音だ。
下手な吟遊詩人や、楽器に初めて触れた初心者の方がまだマシな音を、音色を奏でる。
それに、今日のわたしは何故かすこぶる機嫌が悪いらしい。
これだけ暴れたわしたにも関わらず、不愉快な気持ちが一向に収まらないどころか、どんどん増していく。それもこれも、ある意味すごい逆鱗に触れまくる伯爵親子の所為だろう。
目上の者の心に、許可も取らず、その挙句土足で踏み入ろうとするからこうなる。
わたしは小さく左の口角だけを上げて歪な微笑みを浮かべながら、伯爵という名の豚に話しかけた。………やめましょう、こんな愚か者と豚さんを一緒にするなんて豚さんの方に失礼だわ。
「……ーー今回は亡くなったお父さまに仕えてくれていたことに免じて特別に許すけれど、次は存在していないわ。わたし、こう見えても心が広くないの。言いたいこと、分かるわね?」
愚か者親子は、わたしの天使のようだと言われる困ったような笑みに、不協和音を鳴らしたままこくこくこくと必死に頷いた。
……これは絶対に分かっていないわね。
その場しのぎにしても、もっと上手く誤魔化しようもあるでしょうに。まぁでも、誤魔化しもわたしには通用しないけれどね。
「私はお嬢様のお心は大変広いと思いますよ?私だけでしたら、もうおそらく彼らを叩き斬って、血祭りにしてしまっていたでしょうから。」
ジェフリーは優雅に甘い微笑みを浮かべて笑い声をあげながら、物騒なことを平然と当たり前のことのように言った。
「あぁでも、お嬢様に醜くて酷いところを見せるわけには参りませんからね……。はわわ、いかがいたしましょうか?」
幸せそうに興奮で頬を上気させながら言うジェフリーに、お葬式場にいる皆が恐れ、戦いた。
……演技でここまでする、できててしまうジェフリーは、本当に流石ジェフリーとしか言いようがありませんわよね……。
「何もしなくてもいいわ。でも、もしもの時はお願いね?」
「承知いたしました。」
こてんと小首を傾げたわたしと、そんなわたしに優しく微笑みながら返したジェフリーを見て、お葬式場にピリピリとした緊張と震え上がった恐怖が走った。
あら、つまらないわね。
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