冷酷無慈悲なお兄さまに認められたい

桐生桜月姫

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22. 新登場の男

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「マイグレックヒェン公爵令嬢は、な、何をおっしゃりたいのでしょう……?」
「……わたしはわたしの質問にだけ“イェス”もしくは“ノー”で答えろと言ったわ。」

 わたしはわざと横暴な態度をとって冷たい声で自信満々に言い切った。
 この場にいる人間の中には、伯爵デブの所業を知っている者や協力している者も少なからず存在しているだろう。

 焦って尻尾を出すがいい。
 全員まとめてお掃除してやるわ。

「も、申し訳ございません。」
「……第4問。
 亡くなった伯爵令息の乗っていた馬車には細工が施されていた。」
「!? 細工は施されていなかったと、貴方様はそうおっしゃったばかりではございませんか!?」

 伯爵デブは素っ頓狂な叫び声を上げた。
 本当に不愉快だ。
 隣でジェフリーもわたしと同じようにぐぅっと顔を顰めた。

「………何度も同じことを言わせないでくれる?」
「も、申し訳ございません。」

 わたしは鼻を鳴らしながら伯爵デブを呆れた目で見た。

「……で?お返事は?」
「の、ノーです。」
「い、イェスです!!」

 わたしが聞いていないところから唐突に大きな男の声が上がった。
 てててっと身軽な仕草で右手を上げながら前に出て来た中年の男が、わたしを真っ直ぐに見据えて言った。

「…彼は、馬車に細工をするように命じろと私に命じました。」
「……そう。ではあなたがコーネリアス・ハエック男爵なのね。」
「「!?」」

 わたしは肖像画と見た目が全く異なる適度に細い心底驚いた顔をしている男に言った。

 パラパラともう1冊の書類をめくり、この事件に関わっている事柄について書かれた、とあるページにすっと目線を落とした。

『建国1025年3月29日。
 ハエック男爵家長男、コーネリアスがアダムス伯爵家の馬車を修理する為に出入りする業者に業者の家にて密かに接触。
 その後、業者は注文を受けていない建国1025年4月4日にアダムス伯爵家に訪れ、亡くなった伯爵令息と婚約者の子爵令嬢が乗った馬車の最終が行われる。
 馬車は建国1025年4月6日に点検されずに使用され、3人が亡くなるな事故が起こった。
 御者は今まで安全運転第1の実績が高く、経験の豊富な優秀な御者だった。』

 裏で秘密裏にまとめられた書類の結果は事故が故意である事を示しものだった。

*******************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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