40 / 117
39. わたしにおける死への恐怖
しおりを挟む
「……お前も処分されたいのか?」
お兄さまの絶対零度の殺気の籠ったジェフリーに対する声音に、わたしは後先考えずに声をあげた。
「!? この件については、先程も申し上げた通り、わたしの独断です!処分するのはわたしだけで事足りるはずです!!」
「ふっ、……この従者はお前にとって余程大切な存在らしいな。」
わたしはやっとのことで先程の発言における、自分の大きな失態を悟った。
もしもわたしがお兄さまの立場に立っているのならば、ジェフリーを人質にとってわたしを脅しにかける。わたしよりも賢いお兄さまならば、絶対に逃しはしない。逃がしてはくれない。
お兄さまとわたしでは、そもそもの知識、能力、全てにおいて格が違うのだ。
もうわたしは逃げられない。
ならば………。
「……何を言っているのか分かりかねますわ。
わたしは彼自身を大切な存在だと認識してはいますが、それはあくまで有能な人材としてですから。」
ジェフリーにだけ分かる嘘の響きを混ぜた声でわたしは言った。
「それに、彼の身柄をこちらで預かることで、ガルシアを牽制することが可能です。フィリアザフィロ公爵家との繋がりも維持できますし、生かす方が得策なのではないのですか?」
「………そうだな。だが、それを踏まえたとしても、お前の入用性は一切感じないな。その従者だけを生かして監禁しておけば良いだけの話しだろう。」
お兄さまはわたしを冷たく見据えてわたしに対して『そんな言い訳しか言えないのか?』と、口外に言った。
けれど、これが、この視線を向けられることこそが、今のわたしの狙いだから構わない。
「……そうですね。
ですが、それで良いのです。そもそも、わたしはわたし自身の入用性をアピールしている訳ではございませんから。殺すのでしたら、一思いに殺してください。」
「……お前は殺されることに対しての恐怖心が圧倒的に他の感情に比べて薄いようだな。」
わたしは余程の死に方でないと、それこそ、一瞬で首が落ちたり、心臓が貫かれたしないと、魔法の所為でおそらく死ねない。
何故なら、わたしの魔法が回復だからだ。
自分の身体は、余程の怪我でないとすぐに怪我など無かったかのように癒えてしまうし、体力の回復も早く、風邪も引けない。食事や睡眠、休息が無くても生きていける。身体におけるアドバンテージが常人のそれとは、普通の異能者のそれとは、全く異なっているのだ。
だからわたしは、他人の死には常人並みに敏感でも、自分の死に対しては、常人のそれよりも恐怖心が薄いのだろう。
だからコレは、恐怖心が薄いのは、仕方のないことなのだ。
*******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
お兄さまの絶対零度の殺気の籠ったジェフリーに対する声音に、わたしは後先考えずに声をあげた。
「!? この件については、先程も申し上げた通り、わたしの独断です!処分するのはわたしだけで事足りるはずです!!」
「ふっ、……この従者はお前にとって余程大切な存在らしいな。」
わたしはやっとのことで先程の発言における、自分の大きな失態を悟った。
もしもわたしがお兄さまの立場に立っているのならば、ジェフリーを人質にとってわたしを脅しにかける。わたしよりも賢いお兄さまならば、絶対に逃しはしない。逃がしてはくれない。
お兄さまとわたしでは、そもそもの知識、能力、全てにおいて格が違うのだ。
もうわたしは逃げられない。
ならば………。
「……何を言っているのか分かりかねますわ。
わたしは彼自身を大切な存在だと認識してはいますが、それはあくまで有能な人材としてですから。」
ジェフリーにだけ分かる嘘の響きを混ぜた声でわたしは言った。
「それに、彼の身柄をこちらで預かることで、ガルシアを牽制することが可能です。フィリアザフィロ公爵家との繋がりも維持できますし、生かす方が得策なのではないのですか?」
「………そうだな。だが、それを踏まえたとしても、お前の入用性は一切感じないな。その従者だけを生かして監禁しておけば良いだけの話しだろう。」
お兄さまはわたしを冷たく見据えてわたしに対して『そんな言い訳しか言えないのか?』と、口外に言った。
けれど、これが、この視線を向けられることこそが、今のわたしの狙いだから構わない。
「……そうですね。
ですが、それで良いのです。そもそも、わたしはわたし自身の入用性をアピールしている訳ではございませんから。殺すのでしたら、一思いに殺してください。」
「……お前は殺されることに対しての恐怖心が圧倒的に他の感情に比べて薄いようだな。」
わたしは余程の死に方でないと、それこそ、一瞬で首が落ちたり、心臓が貫かれたしないと、魔法の所為でおそらく死ねない。
何故なら、わたしの魔法が回復だからだ。
自分の身体は、余程の怪我でないとすぐに怪我など無かったかのように癒えてしまうし、体力の回復も早く、風邪も引けない。食事や睡眠、休息が無くても生きていける。身体におけるアドバンテージが常人のそれとは、普通の異能者のそれとは、全く異なっているのだ。
だからわたしは、他人の死には常人並みに敏感でも、自分の死に対しては、常人のそれよりも恐怖心が薄いのだろう。
だからコレは、恐怖心が薄いのは、仕方のないことなのだ。
*******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
1
あなたにおすすめの小説
次期騎士団長の秘密を知ってしまったら、迫られ捕まってしまいました
Karamimi
恋愛
侯爵令嬢で貴族学院2年のルミナスは、元騎士団長だった父親を8歳の時に魔物討伐で亡くした。一家の大黒柱だった父を亡くしたことで、次期騎士団長と期待されていた兄は騎士団を辞め、12歳という若さで侯爵を継いだ。
そんな兄を支えていたルミナスは、ある日貴族学院3年、公爵令息カルロスの意外な姿を見てしまった。学院卒院後は騎士団長になる事も決まっているうえ、容姿端麗で勉学、武術も優れているまさに完璧公爵令息の彼とはあまりにも違う姿に、笑いが止まらない。
お兄様の夢だった騎士団長の座を奪ったと、一方的にカルロスを嫌っていたルミナスだが、さすがにこの秘密は墓場まで持って行こう。そう決めていたのだが、翌日カルロスに捕まり、鼻息荒く迫って来る姿にドン引きのルミナス。
挙句の果てに“ルミタン”だなんて呼ぶ始末。もうあの男に関わるのはやめよう、そう思っていたのに…
意地っ張りで素直になれない令嬢、ルミナスと、ちょっと気持ち悪いがルミナスを誰よりも愛している次期騎士団長、カルロスが幸せになるまでのお話しです。
よろしくお願いしますm(__)m
触れると魔力が暴走する王太子殿下が、なぜか私だけは大丈夫みたいです
ちよこ
恋愛
異性に触れれば、相手の魔力が暴走する。
そんな宿命を背負った王太子シルヴェスターと、
ただひとり、触れても何も起きない天然令嬢リュシア。
誰にも触れられなかった王子の手が、
初めて触れたやさしさに出会ったとき、
ふたりの物語が始まる。
これは、孤独な王子と、おっとり令嬢の、
触れることから始まる恋と癒やしの物語
好きすぎます!※殿下ではなく、殿下の騎獣が
和島逆
恋愛
「ずっと……お慕い申し上げておりました」
エヴェリーナは伯爵令嬢でありながら、飛空騎士団の騎獣世話係を目指す。たとえ思いが叶わずとも、大好きな相手の側にいるために。
けれど騎士団長であり王弟でもあるジェラルドは、自他ともに認める女嫌い。エヴェリーナの告白を冷たく切り捨てる。
「エヴェリーナ嬢。あいにくだが」
「心よりお慕いしております。大好きなのです。殿下の騎獣──……ライオネル様のことが!」
──エヴェリーナのお目当ては、ジェラルドではなく獅子の騎獣ライオネルだったのだ。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~
降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。
下賜されまして ~戦場の餓鬼と呼ばれた軍人との甘い日々~
イシュタル
恋愛
王宮から突然嫁がされた18歳の少女・ソフィアは、冷たい風の吹く屋敷へと降り立つ。迎えたのは、無愛想で人嫌いな騎士爵グラッド・エルグレイム。金貨の袋を渡され「好きにしろ」と言われた彼女は、侍女も使用人もいない屋敷で孤独な生活を始める。
王宮での優雅な日々とは一転、自分の髪を切り、服を整え、料理を学びながら、ソフィアは少しずつ「夫人」としての自立を模索していく。だが、辻馬車での盗難事件や料理の失敗、そして過労による倒れ込みなど、試練は次々と彼女を襲う。
そんな中、無口なグラッドの態度にも少しずつ変化が現れ始める。謝罪とも言えない金貨の袋、静かな気遣い、そして彼女の倒れた姿に見せた焦り。距離のあった二人の間に、わずかな波紋が広がっていく。
これは、王宮の寵姫から孤独な夫人へと変わる少女が、自らの手で居場所を築いていく物語。冷たい屋敷に灯る、静かな希望の光。
⚠️本作はAIとの共同製作です。
破滅したくない悪役令嬢によって、攻略対象の王子様とくっつけられそうです
村咲
恋愛
伯爵令嬢ミシェルは、第一王子にして勇者であるアンリから求婚されていた。
しかし、アンリが魔王退治の旅から帰ってきたとき、旅の仲間である聖女とアンリの婚約が宣言されてしまう。
原因はここが乙女ゲームの世界であり、ヒロインである聖女が旅の間にイベントを進めたためである――と、ミシェルは友人である王女アデライトから教えられる。
実はアデライトは、悪役令嬢というゲームの敵役。アンリと聖女が結婚すれば、アデライトは処刑されてしまうらしい。
処刑を回避したいアデライトは、どうにかミシェルとアンリをくっつけようと画策するが……。
アンリの方にも、なにやら事情があるようで?
カクヨムにも転載しています。
ドラゴンに攫われた聖女ですが、このドラゴン、めちゃくちゃ過保護でイケメンです
夏見ナイ
恋愛
聖女アリアは、魔王討伐後は用済みとされ、国から冷遇される日々を送っていた。心も体も疲れ果て、聖女という役割に絶望していたある日、伝説の「終焉の黒竜」が彼女を攫っていく。
誰もが生贄になったと嘆く中、アリアが連れてこられたのは雲上の美しい城。そこで竜は絶世の美青年カイザーへと姿を変え、「お前を守る」と宣言する。
待っていたのは死ではなく、豪華な食事に癒やしの魔法風呂、そして何より不器用で真っ直ぐなカイザーからの過保護すぎるほどの溺愛だった。
これは、全てを諦めた聖女が、世界最強のイケメンドラゴンに愛され、本当の自分と幸せを取り戻していく、極甘ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる