冷酷無慈悲なお兄さまに認められたい

桐生桜月姫

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72 わたしとジェフの頼りになる人

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「不作法者がいらっしゃいましたので。」
「優秀すぎるのも悩みものね。」

 フレイアさまは呻き声と倒れる音がした方に視線を向けて溜め息をついた。確かにジェフリーは優秀だ。だが、優秀すぎるのが悩みものだと言うのは分からない。

「………優秀すぎるのが問題なの?」
「えぇ、問題よ。特に立場のないあなたの従者となればね。」
「………………。」

 わたしはわたしの立場のなさ故にジェフリーに迷惑をかけていることに苦しくなった。わたしが異能者であると明かせば、ジェフリーの苦労は表向きなくなる。だが、それはあくまで表向きはだ。裏では命を狙われる回数が増えてしまうかもしれない。そして、わたしの異能が回復系であるというのがバレれば、一気に増えるだろう。異能者を恨んでいる人間には、戦闘系の異能じゃないわたしは良いカモになってしまう。

「………フレイアさま、わたしはどうすればいいでしょうか。」
「う~ん、今まで通りで良いと思うのだけれど………。ジェフはどう思う?というか、あなたも席につきなさい。今からは従者じゃなくて鬼才を輩出する侯爵家のお坊っちゃまよ。あなたは下がりなさい。」

 ジェフは席に着き、侍女は会話が聞こえない範囲にまで下がった。ゆっくりとローズヒップティーを嚥下するとふんわりとした花の香りが花を抜けた。うん、美味しい。

「僕はレティーの身の安全は多少マシになったと思っています。閣下はレティーのことがそこそこ気に入ったみたいだから。」
「………嘘はやめなさい。今日も朝から無視された挙句、うざったらしく声をかけて不愉快そうな声を返されたばかりじゃない。」
「うん、本当にこういうところは兄妹そっくりだね。」

 わたしはぐっと眉を寄せた。あの兄とそっくりと呼ばれるのは正直に言って複雑な気分だし不愉快だ。わたしはあんな風に周りを威圧して怖がらせているわけではない。……… お掃除は別としてないはずだ。………なかったはずだ。

「事情はある程度分かったわ。それで?私の名前を使ったっていうのは?」
「公爵閣下を脅すのに使いました。レティーを殺したらフィリアザフィロ公爵が対立するって。」
「あぁー、それはまぁ事実ね。私の可愛いレティーを傷つけたら報復に行くわ。もちろんジェフが傷つけられてもね。」

 フレイアさまはパチンとウインクした。

*******************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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