冷酷無慈悲なお兄さまに認められたい

桐生桜月姫

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101 貴族の悲鳴

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「………フレイアさま、アレは絶対に、何が何でも、身を挺して止めに行ったほうがいいパターンよね?」
「うふふっ、いいえ?大丈夫じゃないかしら?もうちょっとこの茶番を楽しみましょう。」

 ………ちゃ、茶番………。わたしにはフレイアさまの豪胆さを見習えないわ。微笑みを浮かべたままはらはらとした心地でアドルファスお兄さまを見つめていたら、お兄さまにちょいちょいと手招きをされた。
 ………この状態で来いと手招きをするお兄さまは悪魔なのかしら?それとも魔王?あぁ、死神かもしれないわね。だってわたし、死刑宣告されているもの。遠い目をしていたら、ジェフリーに背中をぐいっとつねられ、痛みに現実を見たわたしは、カツカツとピンヒールを鳴らしてお兄さまの方へと向かった。ここで死んだら、幽霊になってでも呪って呪って呪尽くして差し上げるつもりだ。

「お初お目にかかります、国王陛下並びに王太子殿下。マイグレックヒェン公爵が妹、レティシアと申します。お見知りおきを。こちらはわたしの従者で、」
「ガルシア家が三男、レティシアお嬢様の従者をしております、ジェフリーと申します。」

 深々と頭を下げると、王太子殿下がポカーンと驚いたような表情をした。

「………どうしたらこんなに非常識で可愛げのない無愛想な兄から、こんなに常識的で礼儀正しくて、愛らしい妹が生まれてくるんだ?この前も父親の葬式で、当主交代早々、貴族どもを血祭りにあげた挙句、派閥に亀裂を入れて社交界を引っ掻き回したばかりだっていうのに。」

 王太子殿下の舌打ち混じりの呟きはなんというか、聞き覚えのある耳の痛いことばかりだった。

「ねー、そう思うよ、レティシア嬢。お兄ちゃん怖いよなー。」
「ふふふっ、………そ、そんなことありませんわ。お兄さまはとーっても優しいお方ですもの。ただ、曲がったことがお嫌いなだけですわ。そもそも。不正を働いていない人間は、恐怖心を煽られたのと、いなくなった貴族に変わって序列が上がったり、新たな領地をもらったり、それぞれが得ていた税収が上がったりしただけですもの。害なんて被っていないでしょう?」

 貴族たちから、無言の悲鳴が上がったが、気にする余裕なんてないし、これ以外にどう返せばいいのだろうか。わたしには、その答えを持ち合わせていない。

*******************

読んでいただきありがとうございます😊😭😊

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