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107 わたしは怒る
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▫︎◇▫︎
「「ん、」」
ジェフリーと同じタイミングで目が覚めたわたしは、ゆっくりと地面から起き上がった。
「………………なぜ逃げなかったの。」
攻めるような、憤怒に染まった声を聞いたジェフは、わたしよりももっともっと怖い表情でわたしを睨みつけた。
「僕がフレイア様にお世話になってきているのは、君もよく知っていることだと思うけど?それに、僕はレティーの護衛も兼ねている。いつ何時も僕は君を守る責務がある。」
「………………馬鹿げたことね。わたしは生き残れる確率が高くても、あなたはそこまで高くないのよ?」
異能者は異能者のみに対応可能であるというのは、世の摂理だ。だからこそ、わたしが生き残れる可能性は高くても、ジェフが生き残れる可能性は極めて低く、0に近い。
「………僕さ、レティーに1つだけ秘密があるんだ。」
「?」
「オーラって知ってる?」
わたしはジェフの言葉におずおずと頷く。
オーラ、それはこの世に存在する魔法の劣化版の存在である。魔法のように魔力を使用して新たな物質を生み出すことは不可能だが、魔力を剣や肉体などの武器に付与することのできる力だ。
異能者は使える力が決まっているけれど、オーラの方は決まっていないから、実質のところは、オーラの方が戦い方が自由気ままで応用力がある。だからこそ、戦などで手柄を上げているのは実質のところは、魔法を使う異能者よりも、オーラを使うオーラ使いの方が地味に多かったりする。
「僕さ、こう見えてもオーラ使いなんだよね。」
「!?」
「だから、簡単にはくたばらないよ。」
「………本当に、馬鹿なジェフ。」
わたしはそう呟くと、ほんのりと笑って彼の手を取って、結界の中央へと歩みを進め始めた。
「………ねえジェフ、あなた本当は、兄弟の中でもっとも強いんじゃないの?」
「う~ん、それはオーラを使った場合のみかな。兄上たちって、あんだけ異常な戦闘力持ってるけど、魔力なしなんだよね。」
ジェフの生家たるガルシア侯爵家は、異能者を生み出す家系、公爵家の分家筋にあたる。故に、よく魔力持ちや異能者が生まれるらしい。だが、ここ数年鬼才の家系ガルシア侯爵家は魔力持ちがいないとされていた。よって、わたしは少しだけ不思議に思った。
「ジェフ、あなたが魔力持ちなことを知っている人は、どれだけいるの?」
********************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
「「ん、」」
ジェフリーと同じタイミングで目が覚めたわたしは、ゆっくりと地面から起き上がった。
「………………なぜ逃げなかったの。」
攻めるような、憤怒に染まった声を聞いたジェフは、わたしよりももっともっと怖い表情でわたしを睨みつけた。
「僕がフレイア様にお世話になってきているのは、君もよく知っていることだと思うけど?それに、僕はレティーの護衛も兼ねている。いつ何時も僕は君を守る責務がある。」
「………………馬鹿げたことね。わたしは生き残れる確率が高くても、あなたはそこまで高くないのよ?」
異能者は異能者のみに対応可能であるというのは、世の摂理だ。だからこそ、わたしが生き残れる可能性は高くても、ジェフが生き残れる可能性は極めて低く、0に近い。
「………僕さ、レティーに1つだけ秘密があるんだ。」
「?」
「オーラって知ってる?」
わたしはジェフの言葉におずおずと頷く。
オーラ、それはこの世に存在する魔法の劣化版の存在である。魔法のように魔力を使用して新たな物質を生み出すことは不可能だが、魔力を剣や肉体などの武器に付与することのできる力だ。
異能者は使える力が決まっているけれど、オーラの方は決まっていないから、実質のところは、オーラの方が戦い方が自由気ままで応用力がある。だからこそ、戦などで手柄を上げているのは実質のところは、魔法を使う異能者よりも、オーラを使うオーラ使いの方が地味に多かったりする。
「僕さ、こう見えてもオーラ使いなんだよね。」
「!?」
「だから、簡単にはくたばらないよ。」
「………本当に、馬鹿なジェフ。」
わたしはそう呟くと、ほんのりと笑って彼の手を取って、結界の中央へと歩みを進め始めた。
「………ねえジェフ、あなた本当は、兄弟の中でもっとも強いんじゃないの?」
「う~ん、それはオーラを使った場合のみかな。兄上たちって、あんだけ異常な戦闘力持ってるけど、魔力なしなんだよね。」
ジェフの生家たるガルシア侯爵家は、異能者を生み出す家系、公爵家の分家筋にあたる。故に、よく魔力持ちや異能者が生まれるらしい。だが、ここ数年鬼才の家系ガルシア侯爵家は魔力持ちがいないとされていた。よって、わたしは少しだけ不思議に思った。
「ジェフ、あなたが魔力持ちなことを知っている人は、どれだけいるの?」
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