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第2章
6.スズメノテッポウ 後編
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そして時間が過ぎ朝方になった。
すると球体全体がひび割れそのヒビから白煙が吹き出したではないか。
次に球体が崩れ中から二本足で立っている怪獣が現出。
「スズメノテッポウが進化した?」
進化したと考えられるスズメノテッポウは「グワァァン」と前よりも比にならないほどの大声で咆哮した。
進化したスズメノテッポウは四足から二足になり姿形がガラリと変わっていた。
手は黒色のムチ状になっておりズンズンと地鳴らししながらロボットの方へ突進したスズメノテッポウ。
ロボットに自らの頭をぶつけそれは倒れた。
スズメノテッポウはロボットを倒しそしてゆっくりと門に向かって歩き始める。
「なんてこった。ロボットが・・・」
木嶋は倒れ動かないロボットを見て進化したスズメノテッポウを睨んだ。
それはノロノロ歩きながら門を壊し市街地へ向かって歩き出す。
「怪獣を市街地に向かわせるな!」
杉道率いる5人の隊員達がその怪獣にめがけて銃を撃った。
だが背にあるメリーゴーランドが急速回転し緑色のシールドらしき物体を発生させたためその銃弾はカンカンと音を鳴らしながら弾かれた。
「グワァァン」
「何!弾かれただと!」
スズメノテッポウは弾かれる銃弾を無視しながら侵攻を進める。
木嶋と美島は倒れているロボットを見つめた。
「木嶋さん・・・。このロボットの中に入れることは可能ですか?」
「えっ?」
木嶋は美島の突然の発言に驚きを隠さずにいらなかった。
「何故ですか?」
美島は木嶋を何かを訴える眼でジッと見つめる。
「まさか美島さん!あのロボットに乗る気ですか!」
「はい!」
「そんな無茶な!でもあの進化したスズメノテッポウを止めるにはこの手しかないか・・・」
木嶋は暫く考え込んだ。
「よし!美島さん!今すぐ乗りましょう」
「はい!」
2人はロボットの近くに行く。
だが近くにいったはいいものの入り方がわからない木嶋は美島に「入口って分かりますか?」と尋ねた。
「確か足元にハシゴがあたはずですが・・・」
2人はロボットの足元に行くと美島の言った通りそれの足のもも裏にハシゴがありそれを辿ると入口があり入る。
中に入ると美島が侵入した時とは内装が変わり中央にはおそらくAIが搭載されてるであろうPCがあり画面がロボットの全体図を映し出されてるではないか。
「私が侵入した時とかなり違う・・・。結構改造したんですね」
「そんなに違いますか?」
「ええ。特に私が撃った弾丸の痕跡がないんですよ」
「じゃ噂は本当だったんですね」
木嶋は腕を組み自分で納得した感の顔をした。
「先とは違う噂ですか?」
美島は木嶋に質問し彼はそれに答えようとした瞬間PCが突然光りだした。
「なんですかあれは!」
突如光りだしたPCが女性の声で“このままでは立ち上がれません。自動操縦から手動操縦に切り替えてください”と2人に話しかけてきた。
「木嶋さんどうしましょうか?」
「とにかく手動で動かしましょ。そこら辺に何かありませんか?」
美島はキョロキョロしながら辺りに使えるのがないか探した。
「木嶋さん!これ使えませんか!」
美島は両手に操作できそうな2つの操作レバーを抱えながら木嶋に近づく。
「それ使えそうですね!流石です美島さん!これをこうすれば・・・」
木嶋はPCにレバーを設置しようとしPCに近づく。
「大丈夫ですか?手伝いましょうか?」
心配する美島をよそに木嶋は「大丈夫です!これをこうすれば・・・」と独り言を言いながら接続を試みた。
そして“接続完了”と先程の女性の声が鳴り響いた。
「よしこれでOKだ!」
PCに繋げたレバーを握りそしてそれを上げた。
すると倒れていたロボットがウィィンと音を鳴らし立ち上がった。
一方その頃市街地へ向かっているスズメノテッポウは逃げ惑う車を物とせず踏み潰しながら侵攻し続ける。
杉道の命令で最新型の戦車等がそれにめがけ発砲した。
スズメノテッポウは新型戦車の発泡に構うことなく進む。
そして市街地へとようやく辿り着いたそれは「グアァァン」と再び雄叫び観覧車を高速回転させながら今度はムチを赤く発光させ高層ビルを真っ二つにし崩壊させた。
「なんてこった!」
戦車に搭乗していた若崎心珠が驚愕した。
破壊活動を辞めないスズメノテッポウの後方からズンズンと足音が近づいてくる、
ロボットAPEカスタムだ。
その操縦しているのはもちろん美島と木嶋の2人だ。
ロボットは地鳴らししながら歩くのをやめ天高くジャンプした。
それを後ろに振り向き顔を見上げ見ているスズメノテッポウ。
木島と美島の操縦で頭をスズメノテッポウに向けそのままそれに向けて斜めに落下した。
ロボットの頭突きを受けたそれの背中は道路とキスをした。
「グワァァン」
痛みがあるかのような咆哮をしたスズメノテッポウはすぐさま立上がった。
頭突きをし着陸したロボットはというとすぐさま立ち上がりこちらに猛突進するそれを待ち受ける構えをした。
操縦席にいた木島は美島に言った。
「美島さん!スズメノテッポウが迫ってきます!どうしましょうか?」
「目には目を!あちらが突進してくるならこちらも突進でいきましょう」
「分かりました」
木島はPCのキーボードを叩きレバーを上げた。
するとロボットは突進の構えをし猛スピードでスズメノテッポウに向かった。
お互い頭突きをし睨みつける。
「グワァァン」
スズメノテッポウは咆哮しながらロボットを押し倒そうとしている。
木島らが操作するロボットも負けじとそれを頭で押そうとしている。
勝敗は神のみぞ知る。
だが圧倒的にスズメノテッポウの方が力強く徐々にロボットの方が体ごと後退しているではないか。
「クソッ!なんて力強いんだ!」
木島と美島はスズメノテッポウに押し出されぬようレバーをグイッと上げようとしたが途中で硬くなりレバーが今以上に上げることなできなかった。
それの力によってロボットは押し返された。
よろけてすかさずスズメノテッポウは手であるムチをロボットの足に引っ掛け引っ張った。
その反動で倒れたロボットの操縦席にいた2人はレバーから手を離し壁に背が当たった。
「美島さん大丈夫ですか!美島さん!」
美島は頭を壁にぶつけたらしく呼吸はあり気を失っているだけだと確信した木嶋は手を強く握った。
木島は怒りによって本来の姿である宇宙人の姿へと変貌した。
「この怪獣がぁぁ!」
本来の宇宙人の姿になった木嶋はレバーを握った。
「動けロボットォォ!」
その言葉が届いたかは知らないが先程まで目の色が黃であったロボットは赤に染め立ち上がった。
スズメノテッポウは立ち上がったそれに再度突進してきた。
「させっかよ!」
ロボットは赤く染まった眼から怪光線を放つ。
それがスズメノテッポウにヒットした。
爆発しながらもそれは突進してきたがロボットは片手で突進を止めた。
片手でスズメノテッポウの頭を持ち足を曲げ膝でそれの顎に当てた。
その事によって怯みロボットから離れたスズメノテッポウにそれは怪光線を浴びさせた。
少し苦しみ始めたスズメノテッポウはまた背にある観覧車を高速回転させ口の中を光らせ破壊光線を放った。
ロボットを本来の姿で操縦している木嶋は「そっちがその気なら!」と独り言を言いながらPCのキーボードを叩く。
ロボットは口を開け粒子を口に集め粒子砲を放つ。
スズメノテッポウが放った破壊光線とそれが放った粒子砲がぶつかりあいそれが渦を巻きながら上へと宇宙に舞い上がった。
「やるなぁ!雀の鉄砲さんよぉ!」
「これ以上スズメノテッポウをイジメないで!」
聞き覚えのある声が宇宙人化した木嶋の脳内に先程出会った女子の声が響き渡った。
「じゃこれ以上雀の鉄砲を暴れ出さないようにしてくれ!」
ロボットを操作しながら女子に言った木嶋。
「それは無理。もう私が知っているスズメノテッポウじゃないから」
「なんだと!」
木嶋はロボット越しにスズメノテッポウをジッと見つめる。
ゆっくりとロボットめがけ進行するそれをロボットは目から近づけまいと怪光線を放ち続ける。
だがスズメノテッポウは体がボロボロになりながらも歩きロボットの所まで辿り着く。
「グワァァン」
スズメノテッポウは足でロボットを蹴ろうとするが木嶋はすかさずロボット操作しそれの足を持ち転ばせた。
そして再び怪光線を放ちスズメノテッポウを立ち上がらさせないようにした。
だがスズメノテッポウも反撃を開始する。
ロボットの怪光線を浴びながらも立ち上がり何度目かわからないが高速回転させる。
また破壊光線を出そうとしていた。
「させるか!」
ロボットは口に怪光線を当てそれが破壊光線を出さぬようにした。
だが手の代わりであるムチを再度足に引っ掛け引っ張る。
怪光線を放ちながらすっ転んだロボット。
「クソッ!同じことを繰り返しやがって!」
木嶋はロボットを直ちに立ち上がらせる。
同時にスズメノテッポウも立ち上がりロボットを睨みつける。
睨みつけられたロボットはスズメノテッポウめがけ走り出す。
「グワァァン」
スズメノテッポウも走り出す。
お互いぶつかりそうになったその瞬間ロボットはかわしそれの後ろに回り背の観覧車を掴む。
そうロボットは高速回転させまいと掴むのだ。
スズメノテッポウは振り向こうと体ごと動かすが同時にロボットも動くので埒が明かず観覧車を動かそうとする。
だがロボットの力が強く回すことができない。
なので発光して技を繰り出すことができずなんとかしてロボットの手を離そうともがくそれ。
ロボットはスズメノテッポウから観覧車を引き離そうと力強く引っ張る。
「グワァァン」
少し苦しみ始めたスズメノテッポウは長い尻尾をロボットの首に巻き付けギシギシを音を鳴らしながら強く締め付ける。
「抵抗しやがって!」
木嶋は再度ロボットの目から怪光線を放つように操作した。
怪光線を自らの首を締め付けているスズメノテッポウの尻尾に浴びさせ爆発しそれが2つに分断した。
「グワァァン」
ロボットは首に締め付けられた尻尾を地面に叩きつけた。
少し尻尾から流血し地面が青く染まりしゃがんだそれ。
「よし!少し弱ってやがるな!」
「やめてやめてよ!スズメノテッポウがなにしたっていうの?」
宇宙人化した木嶋は女子の問に答えた。
「何をしただって?周りをよく見てみろ!こんなに街や物を壊しといてよく言うぜ!」
「だって・・・」
女子の言葉が詰まり少し沈黙した。
「どうした?だんまりを決め込もうってか!」
「違う!だって私達の町を壊した大人たちが憎い!だからだよ」
「何の話をしてんだ?」
「あの遊園地の所に私達の街があったんだ!それを大人達が壊してそれを作ったんだ!そして・・・」
女子は続ける。
「スズメノテッポウと約束したんだ!遊園地を破壊してそれを作った大人たちを懲らしめてくれるって!」
女子は声を荒げながら木嶋に言った。
「もう十分だろ。見てみろ!雀の鉄砲も弱ってるじゃぁねぇかぁ」
「そんなぁ・・・」
残念そうな声で言った女子は涙声で更に続けた。
「ごめんねスズメノテッポウ。もういいよありがとう。静かに眠ってね」
女子の声が届いたかは神のみぞ知るがそれの体が淡い黄色に光だし粒子となりそれが宙に舞い上がった。
だがメリーゴーランドだけが残りズシンと地面とキスした。
キスしたそれは何故か突如ゆっくりと動き出しそしてゆっくりと回転をやめその後動かなくなった。
「まるで雀の鉄砲が“こちらこそありがとう”と言っていたみたいだな」
女子に話しかけたつもりが何も応答がなかった。
「・・・浄化したか」
木嶋の体はいつの間にか人間の姿に戻っていた。
木嶋は後に振り向き気絶した美島に近づいた。
「美島さん!しっかりしてください!美島さん!」
「う、うぅん」
唸りながら目を開けた美島は眼の前にしゃがんだ木嶋をみて驚愕した。
「き、木嶋さん!」
動こうとした美島に木嶋は「大丈夫ですか!美島さん。あまり動かないほうが・・・」と言った。
「大丈夫です!木嶋さんこそ大丈夫ですか?」
「僕は大丈夫です」
「そうですか。あ、雀の鉄砲は?」
「雀の鉄砲は・・・」
木嶋は美島が気絶してからロボットで応戦しそれが粒子となり儚く散ったと彼女に伝えた。
「そうですか・・・。あの女の子は?」
木嶋はおそらく浄化したと思いますと言いかけたがなぜそんなことが分かるのかと疑問持たれても困るし宇宙人化したからわかったとも言えないため美島に言うのをやめた。
だが何故小説 #宇宙人に恋をして
美島にもあの女子の声が聞こえたのだろうと疑問に思った木嶋。
「木嶋さん?」
考え事をしたためかかなり渋い顔をしていたらしく美島が呼んだためハッとして普通の顔に戻る。
「すみません。少し考え事を。何でしょうか?」
満面の笑みをした美島は木嶋の頬に手で触れ言った。
「木嶋さんに渋顔は似合いませんよ」
「美島さん・・・」
木嶋は自分の頬に触れている美島の手を触り口を開く。
「そうですね。美島さんの言う通りです」
満面の笑みになった木嶋。
「よしこのままこのロボットで基地に戻りましょうか?」
「そうですね。戻りましょ」
木嶋はレバーでロボットを操作しズシンズシンと地鳴らししながら基地へと戻っていく。
後日木嶋と美島は少し女子のことが気になりスズメノテッポウのせいでボロボロになったテーマパークに再び辿り着く。
立入禁止のテープが半壊寸前の門全体に貼付けされていた。
するとそこの前に1人の浴衣を着た老婆が佇んでいた。
「あの・・・」
木嶋がその老婆に近づき話しかけた。
「はい何でしょうかのぉ?」
「いや私防衛隊の者なんですが。ここで何を?」
「ここは昔とある街があったんじゃ」
「はい?」
老婆はボソボソと話し少し聞き直した木嶋を無視しながら話を続ける。
「そこには1人のわが町のアイドル的存在の女の子がおった。その子は動物を愛し愛されておった。だが突然謎の紳士が町に現れた」
老婆は浴衣の袖から1枚の古びた写真を取り出す。
そしてそれを木嶋に渡す。
「え!まさか!」
木嶋は驚愕した。
「み、美島さんちょっと!」
少し離れた場所にいた美島を呼び彼女は木嶋に近づく。
「どうしました?木嶋さん」
「これ・・・」
木嶋は美島に老婆から渡された写真を見せた。
「この子って!」
美島は写真に写っていた女の子がそうスズメノテッポウ近くにいた女の子だったことに驚いた。
「でもこの子がいた町って随分前ですよね?」
「そうじゃ。うん十年前じゃ」
木嶋と美島は顔を見合わせた。
老婆はそんな2人を無視ししゃがみ込んだと思いきや
目をつぶり両手を合わせた。
「その紳士が実は遊園地開発の関係者で町の者に出て行けと言いこの遊園地開発に携わるんなら出ていかなくて良いと言ったんじゃ。じゃがそれは嘘で開発者は次々に町の者を銃で撃ったんじゃ。」
老婆は立ち上がり木嶋に近づく。
そして木嶋が持っている女子が写っている写真を指差し続ける。
「この子を含む一部の町の者は近くの森へと逃げ切る事ができたがこの子だけがはぐれてしまいそれ以外は森を抜け今も生きておる」
「・・・雀の鉄砲」
「なんじゃと!何故その名を知っとる!」
「何故って・・・」
「それは代々先程言った森に祀り上げていた守護神の名じゃ。何故お主が?」
老婆は木嶋の腕を鷲掴みし顔を近づけた。
少し驚きを隠せない顔をした木嶋の横にいた美島は「あのぉ」と言い、ものすごくキッと睨みつけた老婆に怯まず続けた。
「雀の鉄砲って花の名ですよね。花言葉は楽しい時間」
「そうじゃ。代々神の名を花の名で表そうとし森で子ども達の楽しい時間つまり遊戯を見守っておる神だから雀の鉄砲と名付けたんじゃ」
「だからその遊戯を奪った恨みが発端となり今回事件を起こしたと?」
「そうじゃな。致し方ない」
木嶋の腕を掴んでいた手を離し帰ろうとした老婆。
「ふざけんな!」
帰ろうとした老婆に憤慨したのは木嶋ではなく隣りにいた美島であった。
「今回どのくらいの命が失ったと思いますか!致し方ないで済まさないでください!」
「そうだ!美島さんの言う通りだ」
木嶋は美島の意見に賛同した。
だが老婆は一瞬止まるが再び振り向くことなく足早と去って行った。
その日の夜木嶋と美島はしゃぶしゃぶを提供する店にいた。
美島の友人である絢子を誘い奥の座席で楽しんでいた。
話題はスズメノテッポウの事について持ち切りだった。
「その老婆結局何者なんだろ?」
絢子はビールを飲み片手で持った箸で牛肉を鍋でしゃぶしゃぶしながら言いその問に美島が答えた。
「さぁ。でも何で私達に昔話を話たんだか。謎多き人物だよ」
美島は少し不思議そうな顔をしながら鍋でしゃぶしゃぶした肉を食す。
「ところでその雀の鉄砲だっけ?それの背中にあったメリーゴーランドはどうしたの?」
「それはですね。一応調べたところ怪獣化した雀の鉄砲の体内にあった核がそれに移動されたといいますか・・・」
「どゆこと?」
「ですからね。雀の鉄砲が寝ている際に調べたときにあった球体の核がですね、透視検査した結果分かりやすく言うと丸からメリーゴーランド型になってたんですよ!つまり爆発の危険性があるためと詳しく調べるため基地に運ばれたということです」
熱燗1杯で若干酔いながらも説明した木嶋は肉を鍋でしゃぶしゃぶしポン酢を付けて食す。
その姿を見て美島は少し考え込み食すのをやめた。
そう美島は見ていた。
ロボットを操縦していた木嶋があのアマリリス事件で出会った宇宙人に変貌した瞬間を。
美島は確かにあの時意識が薄れていき気を失った。
だが少ししたら意識が戻った。
その時に宇宙人化し独り言を言う記事魔を見た。
女子が木嶋の脳内に語りかけてきたのだろう。
そしてその女子もスズメノテッポウと共に浄化したことも宇宙人である木嶋だからこそわかったのだろうと考察したためつい木嶋の嘘に乗っかった美島。
普通なら“あなた宇宙人だったのね。私を騙しやがって”と怒号するところだが愛した人の秘密は私の秘密。だから平常心でいよう、そして防衛隊の一員なら隠すことなく上のものに報告する所だが美島はそうはしない。
何故か?それはここで報告すれば彼が何されるか分からないしそれにそのことで彼の素敵な笑顔が見れなくなるのが一番嫌だと幼稚な考え方かもしれない。
だがそれが美島が辿り着いた考え方なのだ。
私達2人の幸せの時間を邪魔されたくないから誰にも言わないことを1人勝手に誓った美島であった。
「どうしたの?詠美」
少し酔いつぶれそうな木嶋をジッと見つめていたため絢子の一言でハッと気づいた美島は「な、なんでもないよ」と言った。
「ハハァン。さては彼氏の事を見つめていたんでしょ」
「な、何言ってんのよ!それにまだ付き合ってないし・・・」
絢子に言われ少し赤面した美島はビールを一気飲みした。
「ウソ!まだ告られてなかったの?いや。怪しいなぁ。私に嘘ついたでしょ!」
「ホントだって!いい感じにはなってたけど怪獣が現れたから」
「怪獣のせいにするんじゃないわよ!ったく」
絢子はハイボールをグイッと飲み干しながら更に続けた。
「そうだ!もう待ってられない!詠美から告っちゃいなさいよ!そうよそれがいいわ」
「わ、私から!」
「そうだよ。明日でもいいから告っちゃいなさいよ」
「でも普通男の人から告白しない?」
珍しくモジモジモードの美島に絢子はしゃぶしゃぶした野菜をポン酢に付け口に運び食す共に顔を近づけ人差し指で「チッチッ!」と言った。
「今はね女の方からも告白する時代なのよ!じゃないと他人から強奪されるよ」
「そんなぁ。それは困るなぁ」
「でしょ!だったら詠美から告白すんのよ!」
2人は視線を少し寝かかっている木嶋に移す。
その視線に気づいたのか目をトロォンとさせながら「どぅちましぃたか」と呂律が回ってないながらも言った木嶋。
「大丈夫ですか?」
「はぁい。なぁんとか」
「でも今日は無理ね!また今度あったら告ちゃったら?」
「だね!」
このお疲れ会は木嶋が酔っている時点で御開となったのだ。
つづく
すると球体全体がひび割れそのヒビから白煙が吹き出したではないか。
次に球体が崩れ中から二本足で立っている怪獣が現出。
「スズメノテッポウが進化した?」
進化したと考えられるスズメノテッポウは「グワァァン」と前よりも比にならないほどの大声で咆哮した。
進化したスズメノテッポウは四足から二足になり姿形がガラリと変わっていた。
手は黒色のムチ状になっておりズンズンと地鳴らししながらロボットの方へ突進したスズメノテッポウ。
ロボットに自らの頭をぶつけそれは倒れた。
スズメノテッポウはロボットを倒しそしてゆっくりと門に向かって歩き始める。
「なんてこった。ロボットが・・・」
木嶋は倒れ動かないロボットを見て進化したスズメノテッポウを睨んだ。
それはノロノロ歩きながら門を壊し市街地へ向かって歩き出す。
「怪獣を市街地に向かわせるな!」
杉道率いる5人の隊員達がその怪獣にめがけて銃を撃った。
だが背にあるメリーゴーランドが急速回転し緑色のシールドらしき物体を発生させたためその銃弾はカンカンと音を鳴らしながら弾かれた。
「グワァァン」
「何!弾かれただと!」
スズメノテッポウは弾かれる銃弾を無視しながら侵攻を進める。
木嶋と美島は倒れているロボットを見つめた。
「木嶋さん・・・。このロボットの中に入れることは可能ですか?」
「えっ?」
木嶋は美島の突然の発言に驚きを隠さずにいらなかった。
「何故ですか?」
美島は木嶋を何かを訴える眼でジッと見つめる。
「まさか美島さん!あのロボットに乗る気ですか!」
「はい!」
「そんな無茶な!でもあの進化したスズメノテッポウを止めるにはこの手しかないか・・・」
木嶋は暫く考え込んだ。
「よし!美島さん!今すぐ乗りましょう」
「はい!」
2人はロボットの近くに行く。
だが近くにいったはいいものの入り方がわからない木嶋は美島に「入口って分かりますか?」と尋ねた。
「確か足元にハシゴがあたはずですが・・・」
2人はロボットの足元に行くと美島の言った通りそれの足のもも裏にハシゴがありそれを辿ると入口があり入る。
中に入ると美島が侵入した時とは内装が変わり中央にはおそらくAIが搭載されてるであろうPCがあり画面がロボットの全体図を映し出されてるではないか。
「私が侵入した時とかなり違う・・・。結構改造したんですね」
「そんなに違いますか?」
「ええ。特に私が撃った弾丸の痕跡がないんですよ」
「じゃ噂は本当だったんですね」
木嶋は腕を組み自分で納得した感の顔をした。
「先とは違う噂ですか?」
美島は木嶋に質問し彼はそれに答えようとした瞬間PCが突然光りだした。
「なんですかあれは!」
突如光りだしたPCが女性の声で“このままでは立ち上がれません。自動操縦から手動操縦に切り替えてください”と2人に話しかけてきた。
「木嶋さんどうしましょうか?」
「とにかく手動で動かしましょ。そこら辺に何かありませんか?」
美島はキョロキョロしながら辺りに使えるのがないか探した。
「木嶋さん!これ使えませんか!」
美島は両手に操作できそうな2つの操作レバーを抱えながら木嶋に近づく。
「それ使えそうですね!流石です美島さん!これをこうすれば・・・」
木嶋はPCにレバーを設置しようとしPCに近づく。
「大丈夫ですか?手伝いましょうか?」
心配する美島をよそに木嶋は「大丈夫です!これをこうすれば・・・」と独り言を言いながら接続を試みた。
そして“接続完了”と先程の女性の声が鳴り響いた。
「よしこれでOKだ!」
PCに繋げたレバーを握りそしてそれを上げた。
すると倒れていたロボットがウィィンと音を鳴らし立ち上がった。
一方その頃市街地へ向かっているスズメノテッポウは逃げ惑う車を物とせず踏み潰しながら侵攻し続ける。
杉道の命令で最新型の戦車等がそれにめがけ発砲した。
スズメノテッポウは新型戦車の発泡に構うことなく進む。
そして市街地へとようやく辿り着いたそれは「グアァァン」と再び雄叫び観覧車を高速回転させながら今度はムチを赤く発光させ高層ビルを真っ二つにし崩壊させた。
「なんてこった!」
戦車に搭乗していた若崎心珠が驚愕した。
破壊活動を辞めないスズメノテッポウの後方からズンズンと足音が近づいてくる、
ロボットAPEカスタムだ。
その操縦しているのはもちろん美島と木嶋の2人だ。
ロボットは地鳴らししながら歩くのをやめ天高くジャンプした。
それを後ろに振り向き顔を見上げ見ているスズメノテッポウ。
木島と美島の操縦で頭をスズメノテッポウに向けそのままそれに向けて斜めに落下した。
ロボットの頭突きを受けたそれの背中は道路とキスをした。
「グワァァン」
痛みがあるかのような咆哮をしたスズメノテッポウはすぐさま立上がった。
頭突きをし着陸したロボットはというとすぐさま立ち上がりこちらに猛突進するそれを待ち受ける構えをした。
操縦席にいた木島は美島に言った。
「美島さん!スズメノテッポウが迫ってきます!どうしましょうか?」
「目には目を!あちらが突進してくるならこちらも突進でいきましょう」
「分かりました」
木島はPCのキーボードを叩きレバーを上げた。
するとロボットは突進の構えをし猛スピードでスズメノテッポウに向かった。
お互い頭突きをし睨みつける。
「グワァァン」
スズメノテッポウは咆哮しながらロボットを押し倒そうとしている。
木島らが操作するロボットも負けじとそれを頭で押そうとしている。
勝敗は神のみぞ知る。
だが圧倒的にスズメノテッポウの方が力強く徐々にロボットの方が体ごと後退しているではないか。
「クソッ!なんて力強いんだ!」
木島と美島はスズメノテッポウに押し出されぬようレバーをグイッと上げようとしたが途中で硬くなりレバーが今以上に上げることなできなかった。
それの力によってロボットは押し返された。
よろけてすかさずスズメノテッポウは手であるムチをロボットの足に引っ掛け引っ張った。
その反動で倒れたロボットの操縦席にいた2人はレバーから手を離し壁に背が当たった。
「美島さん大丈夫ですか!美島さん!」
美島は頭を壁にぶつけたらしく呼吸はあり気を失っているだけだと確信した木嶋は手を強く握った。
木島は怒りによって本来の姿である宇宙人の姿へと変貌した。
「この怪獣がぁぁ!」
本来の宇宙人の姿になった木嶋はレバーを握った。
「動けロボットォォ!」
その言葉が届いたかは知らないが先程まで目の色が黃であったロボットは赤に染め立ち上がった。
スズメノテッポウは立ち上がったそれに再度突進してきた。
「させっかよ!」
ロボットは赤く染まった眼から怪光線を放つ。
それがスズメノテッポウにヒットした。
爆発しながらもそれは突進してきたがロボットは片手で突進を止めた。
片手でスズメノテッポウの頭を持ち足を曲げ膝でそれの顎に当てた。
その事によって怯みロボットから離れたスズメノテッポウにそれは怪光線を浴びさせた。
少し苦しみ始めたスズメノテッポウはまた背にある観覧車を高速回転させ口の中を光らせ破壊光線を放った。
ロボットを本来の姿で操縦している木嶋は「そっちがその気なら!」と独り言を言いながらPCのキーボードを叩く。
ロボットは口を開け粒子を口に集め粒子砲を放つ。
スズメノテッポウが放った破壊光線とそれが放った粒子砲がぶつかりあいそれが渦を巻きながら上へと宇宙に舞い上がった。
「やるなぁ!雀の鉄砲さんよぉ!」
「これ以上スズメノテッポウをイジメないで!」
聞き覚えのある声が宇宙人化した木嶋の脳内に先程出会った女子の声が響き渡った。
「じゃこれ以上雀の鉄砲を暴れ出さないようにしてくれ!」
ロボットを操作しながら女子に言った木嶋。
「それは無理。もう私が知っているスズメノテッポウじゃないから」
「なんだと!」
木嶋はロボット越しにスズメノテッポウをジッと見つめる。
ゆっくりとロボットめがけ進行するそれをロボットは目から近づけまいと怪光線を放ち続ける。
だがスズメノテッポウは体がボロボロになりながらも歩きロボットの所まで辿り着く。
「グワァァン」
スズメノテッポウは足でロボットを蹴ろうとするが木嶋はすかさずロボット操作しそれの足を持ち転ばせた。
そして再び怪光線を放ちスズメノテッポウを立ち上がらさせないようにした。
だがスズメノテッポウも反撃を開始する。
ロボットの怪光線を浴びながらも立ち上がり何度目かわからないが高速回転させる。
また破壊光線を出そうとしていた。
「させるか!」
ロボットは口に怪光線を当てそれが破壊光線を出さぬようにした。
だが手の代わりであるムチを再度足に引っ掛け引っ張る。
怪光線を放ちながらすっ転んだロボット。
「クソッ!同じことを繰り返しやがって!」
木嶋はロボットを直ちに立ち上がらせる。
同時にスズメノテッポウも立ち上がりロボットを睨みつける。
睨みつけられたロボットはスズメノテッポウめがけ走り出す。
「グワァァン」
スズメノテッポウも走り出す。
お互いぶつかりそうになったその瞬間ロボットはかわしそれの後ろに回り背の観覧車を掴む。
そうロボットは高速回転させまいと掴むのだ。
スズメノテッポウは振り向こうと体ごと動かすが同時にロボットも動くので埒が明かず観覧車を動かそうとする。
だがロボットの力が強く回すことができない。
なので発光して技を繰り出すことができずなんとかしてロボットの手を離そうともがくそれ。
ロボットはスズメノテッポウから観覧車を引き離そうと力強く引っ張る。
「グワァァン」
少し苦しみ始めたスズメノテッポウは長い尻尾をロボットの首に巻き付けギシギシを音を鳴らしながら強く締め付ける。
「抵抗しやがって!」
木嶋は再度ロボットの目から怪光線を放つように操作した。
怪光線を自らの首を締め付けているスズメノテッポウの尻尾に浴びさせ爆発しそれが2つに分断した。
「グワァァン」
ロボットは首に締め付けられた尻尾を地面に叩きつけた。
少し尻尾から流血し地面が青く染まりしゃがんだそれ。
「よし!少し弱ってやがるな!」
「やめてやめてよ!スズメノテッポウがなにしたっていうの?」
宇宙人化した木嶋は女子の問に答えた。
「何をしただって?周りをよく見てみろ!こんなに街や物を壊しといてよく言うぜ!」
「だって・・・」
女子の言葉が詰まり少し沈黙した。
「どうした?だんまりを決め込もうってか!」
「違う!だって私達の町を壊した大人たちが憎い!だからだよ」
「何の話をしてんだ?」
「あの遊園地の所に私達の街があったんだ!それを大人達が壊してそれを作ったんだ!そして・・・」
女子は続ける。
「スズメノテッポウと約束したんだ!遊園地を破壊してそれを作った大人たちを懲らしめてくれるって!」
女子は声を荒げながら木嶋に言った。
「もう十分だろ。見てみろ!雀の鉄砲も弱ってるじゃぁねぇかぁ」
「そんなぁ・・・」
残念そうな声で言った女子は涙声で更に続けた。
「ごめんねスズメノテッポウ。もういいよありがとう。静かに眠ってね」
女子の声が届いたかは神のみぞ知るがそれの体が淡い黄色に光だし粒子となりそれが宙に舞い上がった。
だがメリーゴーランドだけが残りズシンと地面とキスした。
キスしたそれは何故か突如ゆっくりと動き出しそしてゆっくりと回転をやめその後動かなくなった。
「まるで雀の鉄砲が“こちらこそありがとう”と言っていたみたいだな」
女子に話しかけたつもりが何も応答がなかった。
「・・・浄化したか」
木嶋の体はいつの間にか人間の姿に戻っていた。
木嶋は後に振り向き気絶した美島に近づいた。
「美島さん!しっかりしてください!美島さん!」
「う、うぅん」
唸りながら目を開けた美島は眼の前にしゃがんだ木嶋をみて驚愕した。
「き、木嶋さん!」
動こうとした美島に木嶋は「大丈夫ですか!美島さん。あまり動かないほうが・・・」と言った。
「大丈夫です!木嶋さんこそ大丈夫ですか?」
「僕は大丈夫です」
「そうですか。あ、雀の鉄砲は?」
「雀の鉄砲は・・・」
木嶋は美島が気絶してからロボットで応戦しそれが粒子となり儚く散ったと彼女に伝えた。
「そうですか・・・。あの女の子は?」
木嶋はおそらく浄化したと思いますと言いかけたがなぜそんなことが分かるのかと疑問持たれても困るし宇宙人化したからわかったとも言えないため美島に言うのをやめた。
だが何故小説 #宇宙人に恋をして
美島にもあの女子の声が聞こえたのだろうと疑問に思った木嶋。
「木嶋さん?」
考え事をしたためかかなり渋い顔をしていたらしく美島が呼んだためハッとして普通の顔に戻る。
「すみません。少し考え事を。何でしょうか?」
満面の笑みをした美島は木嶋の頬に手で触れ言った。
「木嶋さんに渋顔は似合いませんよ」
「美島さん・・・」
木嶋は自分の頬に触れている美島の手を触り口を開く。
「そうですね。美島さんの言う通りです」
満面の笑みになった木嶋。
「よしこのままこのロボットで基地に戻りましょうか?」
「そうですね。戻りましょ」
木嶋はレバーでロボットを操作しズシンズシンと地鳴らししながら基地へと戻っていく。
後日木嶋と美島は少し女子のことが気になりスズメノテッポウのせいでボロボロになったテーマパークに再び辿り着く。
立入禁止のテープが半壊寸前の門全体に貼付けされていた。
するとそこの前に1人の浴衣を着た老婆が佇んでいた。
「あの・・・」
木嶋がその老婆に近づき話しかけた。
「はい何でしょうかのぉ?」
「いや私防衛隊の者なんですが。ここで何を?」
「ここは昔とある街があったんじゃ」
「はい?」
老婆はボソボソと話し少し聞き直した木嶋を無視しながら話を続ける。
「そこには1人のわが町のアイドル的存在の女の子がおった。その子は動物を愛し愛されておった。だが突然謎の紳士が町に現れた」
老婆は浴衣の袖から1枚の古びた写真を取り出す。
そしてそれを木嶋に渡す。
「え!まさか!」
木嶋は驚愕した。
「み、美島さんちょっと!」
少し離れた場所にいた美島を呼び彼女は木嶋に近づく。
「どうしました?木嶋さん」
「これ・・・」
木嶋は美島に老婆から渡された写真を見せた。
「この子って!」
美島は写真に写っていた女の子がそうスズメノテッポウ近くにいた女の子だったことに驚いた。
「でもこの子がいた町って随分前ですよね?」
「そうじゃ。うん十年前じゃ」
木嶋と美島は顔を見合わせた。
老婆はそんな2人を無視ししゃがみ込んだと思いきや
目をつぶり両手を合わせた。
「その紳士が実は遊園地開発の関係者で町の者に出て行けと言いこの遊園地開発に携わるんなら出ていかなくて良いと言ったんじゃ。じゃがそれは嘘で開発者は次々に町の者を銃で撃ったんじゃ。」
老婆は立ち上がり木嶋に近づく。
そして木嶋が持っている女子が写っている写真を指差し続ける。
「この子を含む一部の町の者は近くの森へと逃げ切る事ができたがこの子だけがはぐれてしまいそれ以外は森を抜け今も生きておる」
「・・・雀の鉄砲」
「なんじゃと!何故その名を知っとる!」
「何故って・・・」
「それは代々先程言った森に祀り上げていた守護神の名じゃ。何故お主が?」
老婆は木嶋の腕を鷲掴みし顔を近づけた。
少し驚きを隠せない顔をした木嶋の横にいた美島は「あのぉ」と言い、ものすごくキッと睨みつけた老婆に怯まず続けた。
「雀の鉄砲って花の名ですよね。花言葉は楽しい時間」
「そうじゃ。代々神の名を花の名で表そうとし森で子ども達の楽しい時間つまり遊戯を見守っておる神だから雀の鉄砲と名付けたんじゃ」
「だからその遊戯を奪った恨みが発端となり今回事件を起こしたと?」
「そうじゃな。致し方ない」
木嶋の腕を掴んでいた手を離し帰ろうとした老婆。
「ふざけんな!」
帰ろうとした老婆に憤慨したのは木嶋ではなく隣りにいた美島であった。
「今回どのくらいの命が失ったと思いますか!致し方ないで済まさないでください!」
「そうだ!美島さんの言う通りだ」
木嶋は美島の意見に賛同した。
だが老婆は一瞬止まるが再び振り向くことなく足早と去って行った。
その日の夜木嶋と美島はしゃぶしゃぶを提供する店にいた。
美島の友人である絢子を誘い奥の座席で楽しんでいた。
話題はスズメノテッポウの事について持ち切りだった。
「その老婆結局何者なんだろ?」
絢子はビールを飲み片手で持った箸で牛肉を鍋でしゃぶしゃぶしながら言いその問に美島が答えた。
「さぁ。でも何で私達に昔話を話たんだか。謎多き人物だよ」
美島は少し不思議そうな顔をしながら鍋でしゃぶしゃぶした肉を食す。
「ところでその雀の鉄砲だっけ?それの背中にあったメリーゴーランドはどうしたの?」
「それはですね。一応調べたところ怪獣化した雀の鉄砲の体内にあった核がそれに移動されたといいますか・・・」
「どゆこと?」
「ですからね。雀の鉄砲が寝ている際に調べたときにあった球体の核がですね、透視検査した結果分かりやすく言うと丸からメリーゴーランド型になってたんですよ!つまり爆発の危険性があるためと詳しく調べるため基地に運ばれたということです」
熱燗1杯で若干酔いながらも説明した木嶋は肉を鍋でしゃぶしゃぶしポン酢を付けて食す。
その姿を見て美島は少し考え込み食すのをやめた。
そう美島は見ていた。
ロボットを操縦していた木嶋があのアマリリス事件で出会った宇宙人に変貌した瞬間を。
美島は確かにあの時意識が薄れていき気を失った。
だが少ししたら意識が戻った。
その時に宇宙人化し独り言を言う記事魔を見た。
女子が木嶋の脳内に語りかけてきたのだろう。
そしてその女子もスズメノテッポウと共に浄化したことも宇宙人である木嶋だからこそわかったのだろうと考察したためつい木嶋の嘘に乗っかった美島。
普通なら“あなた宇宙人だったのね。私を騙しやがって”と怒号するところだが愛した人の秘密は私の秘密。だから平常心でいよう、そして防衛隊の一員なら隠すことなく上のものに報告する所だが美島はそうはしない。
何故か?それはここで報告すれば彼が何されるか分からないしそれにそのことで彼の素敵な笑顔が見れなくなるのが一番嫌だと幼稚な考え方かもしれない。
だがそれが美島が辿り着いた考え方なのだ。
私達2人の幸せの時間を邪魔されたくないから誰にも言わないことを1人勝手に誓った美島であった。
「どうしたの?詠美」
少し酔いつぶれそうな木嶋をジッと見つめていたため絢子の一言でハッと気づいた美島は「な、なんでもないよ」と言った。
「ハハァン。さては彼氏の事を見つめていたんでしょ」
「な、何言ってんのよ!それにまだ付き合ってないし・・・」
絢子に言われ少し赤面した美島はビールを一気飲みした。
「ウソ!まだ告られてなかったの?いや。怪しいなぁ。私に嘘ついたでしょ!」
「ホントだって!いい感じにはなってたけど怪獣が現れたから」
「怪獣のせいにするんじゃないわよ!ったく」
絢子はハイボールをグイッと飲み干しながら更に続けた。
「そうだ!もう待ってられない!詠美から告っちゃいなさいよ!そうよそれがいいわ」
「わ、私から!」
「そうだよ。明日でもいいから告っちゃいなさいよ」
「でも普通男の人から告白しない?」
珍しくモジモジモードの美島に絢子はしゃぶしゃぶした野菜をポン酢に付け口に運び食す共に顔を近づけ人差し指で「チッチッ!」と言った。
「今はね女の方からも告白する時代なのよ!じゃないと他人から強奪されるよ」
「そんなぁ。それは困るなぁ」
「でしょ!だったら詠美から告白すんのよ!」
2人は視線を少し寝かかっている木嶋に移す。
その視線に気づいたのか目をトロォンとさせながら「どぅちましぃたか」と呂律が回ってないながらも言った木嶋。
「大丈夫ですか?」
「はぁい。なぁんとか」
「でも今日は無理ね!また今度あったら告ちゃったら?」
「だね!」
このお疲れ会は木嶋が酔っている時点で御開となったのだ。
つづく
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